02 『あまり戻ってこないS級魔導士』
「……? 桜音ちゃんがなんだって?」
「あ、帰ってきてたんだ」
背後から声を掛けてきた優しそうな顔立ち、少し髭を拵えた40代前中半くらいの男性。
「さくならさっき咲と一緒に水辺に行ったよ。行きたいなら行けば……?」
「は!? なんでわかったの!?」
「あんたがこっち来たってことはそう言うことだからでしょうが」
「…………。」
「図星かよ」と魔理沙。
トムリアは耳を赤くしながら桜音と咲が向かった水辺へと黙って歩いて行った。
「ほんと隅に置けないよね。あれでS級なんて信じられない」
「実力は本物なんだけど、さくらに対しては甘いから仕方がないさ」
トムリアは霊夢と魔理沙が言っていた水辺へとポケットの中に手を入れながら淡々とした表情で歩いていく。
近くの水辺に着き、2人の姿を見つけたあと河川敷に座り、マジマジと桜音の顔を見ていた。
「水華!!」
咲は右手を前に出し、水で出来た花を辺りに散らばらせた。花が自然に消えると同時に大量の水が鋭い刃として桜音の目の前にある石を一発で砕いた。
「……これが咲の実力? こんな魔法で私に弟子入りしたい? だったら“さよ”の雷と氷の魔法の方が威力があって凄まじいかな。あの子に弟子入りを求められたら私は一発で合格出すよ」
「……」
「運も実力のうち。って言うけどさ、あんたはまだ、その土俵にすら立ててない。……出直して」
その光景を見ていたトムリアはニコニコしながら拍手をする。
「!」
「トム……帰ってきてたんだ」
「咲はさ、桜音ちゃんの言ってる言葉を理解出来た?」
「え……」
「トム、咲には考える時間が必要だから。やたら無闇に私がこう言いたかった、ああ言いたかった。って簡単に言わないで」
「ほんとに手厳しいよね、君は」
「トムが誰にでも優しいだけ。少しは厳しい目で見たほうがいいよ、それがトムの為でもあるから」
「……っていうと咲は?」
「…………“見込み無し”」
桜音のその言葉を聞いた瞬間俯いてしまう咲は、「ほら、やっぱりその程度。」と横目でそう言う。
「あんたは私からの『支持』が欲しいだけ。S級である私の弟子になれば、何かと都合が良いもんね、咲は」
「……」
「あー図星? そりゃそうか、私の支持があればS級なんてトントンだもんね。……やっぱりあんたも私のことを『希少なアルビノ種だからS級』だとしか見てないんだね。もういいよ。あぁあと、咲は魔法の才能ないよ。いっそ、魔導師やめたら?」
そう言うと、桜音はそのまま水辺を後にした。




