終わり
「僕。あの三枚目の先に行ってみるよ。きっと誰かいると思うんだ。」
「やめた方がいいわ。三枚目の雨は四枚目から来ているんだもの。」
「でも僕は誰かを1人っきりにするのは嫌だよ。」
モジはつぶやきます。四枚目にいる誰かのことを思うと胸が苦しくなってきます。
「えっ!?うそ。モジ、あなた左足がにじんでるわよ!」
「え!」
「何?」
ピツの叫び声を聞いたモジが左足を見ると、足の先っぽが水で少しだけ薄くにじんでいます。
「ボウズ大丈夫か?お前は鉛筆で書かれた文字だったんだな。」
「うん。隠してるつもりはなかったんだけど、言いだせなくて。ごめんね。」
「でもそれなら・・・」
ピツは何か言いかけます。けれど猫によって止められてしまいました。
「行かせてやりな。」
「わかったわよ。けど安心して雨が止んだら必ず私達も追いかけるわ。」
「うん。ありがとう!!」
モジは雨の降る三枚目に飛び出します。池に浮かんでいた物に飛び乗るとふたりに向かって手を振りました。
それからモジは器用に物の上を乗り移って行って、四枚まで後少しと来たところで何かがモジに目隠しします。
「なんだこれ?」
モジが目隠しした物を見るとそれは、一枚の原稿用紙でした。原稿用紙には文字が書かれていてところどころ雨でにじんでいます。
「持っていこう。」
このときモジはどうして原稿用紙を持って行こうかわかりませんでした。だけど雨でにじんだ原稿用紙には何度も消しゴムで消した後があり、どうしても捨てて行くことが出来なかったのです。
四枚目に来ると、そこは小さな部屋でした。部屋の中は強い風と雨が吹き荒れています。
「シクシク。」
「え?」
「しくしく。どうせ私なんて・・・」
モジは声の下の方、部屋のすみの方にいきました。近づくにつれ雨風はもっと強くなり、モジの体はにじんでいきます。
「やっと見つけた。僕を書いてくれた人。」
「モジどうしてここに?」
「あなたを探しに来たの。」
「うわぁぁん。迎えに行けなくてごめんね。こんなににじんちゃって。モジは体がにじんでまで私を探しに来てくれたのに、私は何てダメなんだ。」
モジはやっと探していた人を見つけることが出来ました。だけどモジを書いてくれた人の様子は変。別れる時はとっても元気でいたのに今はなぜか悲しそうに泣いています。
「どうしたの?元気ないね。」
「コンクールに落ちちゃったんだ。これで△△回目だよ。自分の好きを出すと落ちるし、相手の好きを出しても落ちるんだ。もう夢をあきらめた方がいいのかな?」
「うん。やめてもいいんじゃない?十分頑張ったと思うよ。」
「え!?でもでもでもまだ頑張れる気がするし、もっと頑張ったら誰かに認めて・・・見てもらえるかも!!」
ふとモジを書いてくれた人は、顔を上げます。すると雨が止みました。
「これっ!」
モジは書いてくれた人に雨でにじんだ原稿用紙をさしだします。
「これ・・・私が捨てた原稿用紙。」
「いいじゃない?認められなくたって。好きにかけば。誰かの好きは、誰かの嫌いだよ。」
「うん。そうだね。」
「おーい!!」
「モジ!!」
「あ、みんなだ!来てくれてありがとう。」
こうしてモジの原稿用紙五枚分(超え)の冒険は終わりました。雨の上がった部屋の中は、明るくたくさんの花が咲き始め、そこにはミツバチがみつ求めて飛び回ります。
「きゃー」
「ハチ怖い。」
「魚の餌にできないか?」
「多分。出来ないよ。」
見ていただいてありがとうございます。モジの短い冒険はどうだったでしょうか?実はモジを書いてれた人の気持ちは、昔の作者の気持ちだったりします。今は趣味で書いてるので振り切ってますのでご心配なさらず。




