15/15
エピローグ
雨は、まだ降り続いていた。
律は歩きながら、掌を開いた。
そこに何もないことが、重さになっていた。
ノートも、記憶も、未来も――
置いてきたものは、戻らない。
メトロノームの音は、もう聞こえないのだ。
でも、その刻みは、律の胸で続いていた。
選択のリズム。
希望と絶望の比率。
それが、次の一歩を決める。
雨粒が、肩に落ちる。
その冷たさが、現実の証だった。
境界の光は消えたが、その余韻が骨に刻まれている。
進むのが地獄でも、それは救いでもある。
希望と絶望は、次の一歩の両輪なのだ――。
律は顔を上げた。
灰色の空が広がっていた。
その色が、現実の色だった。
そして、歩き続けた。
雨の中へ。
選択の余韻を胸に抱えながら。
読んでくださりありがとうございます!
こちらで完結となります。
お付き合いいただきありがとうございました。
面白かったらブックマークや感想をいただけると、とても励みになります。




