第4話
夜、斡旋所から帰ってきた明日香はさっさと着替えてもらった資料を何度も読み返しながら、う~む、と唸り声をあげていた。そうしているうちに覚悟が決まったのか
「よしっ!」
気合を入れながら部屋を出で両親のいる今に向かったのだった。
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ピピピー、ピピピー
暗い部屋で目覚ましの音が木霊する。
ピピピー、ピピピー
「うーー」
水無瀬和也は一瞬目を開けたが眠さに負けたのか、また目を瞑った。しかし、しつこく鳴り響くその目覚ましの音についに我慢の限界を迎えたらしく
「うがーーーーーーーっ」
とまるで怪獣ような大きな声を出してベットから起きると鳴り響いていた目覚ましを止める。
そこでふっと気づいた。
おかしいな?6時にセットしておいた目覚ましの針が既に7時を指している。
「いやいやまさか」
、、、遅刻だぁぁぁ!
大急ぎで身支度を整え急ぎバイクに跨る。
「やばいやばいやばい」
呪詛のようにヤバイを連呼しながら職場に向かうも、途中からなぜかもうどうせ間に合わないし、、ちょっとくらいいいよね、、、などともはや諦めムードからコンビニに立ち寄り、最近のマイブームであるコンビニスイーツをイートインスペースで食べ始め食後のコーヒーまでいただく始末。何度か職場から電話がかかってきていた気もしないでもないが、まぁ気のせいだろうと思うことにしてバイクで意気揚々と我が愛する職場に到着するのであった。
ドアを開けたら修羅が居た。
あ、間違えた、妹だった。
「おはよう!いい天気だね!今日も一日頑張ろう!」
そういう和也を鬼の形相で睨むかわいい妹は
「死ぬ前に言い残すことはそれでいいの?」
なんてチャーミングなジョークを言うので即座に正座を披露した。
「いやぁ、あれだね!あれ!もう大急ぎで来たんだよ!でもさ!事故、、そう交通事故があって通行止めだったんだよ~いやぁあれじゃ我ながら遅刻しても仕方ないと思うわけですよ!いやほんとまじで!」
正座をしながらとりあえず言い訳をしてごまかそうと試みる兄に対して妹はポケットからスマートフォンを取り出し何やら操作し始めた。
「これを見てください」
そういってスマートフォンの画面を自分に向けてきた。
「ふむふむ?GPS追跡アプリ"ワカルンデス"?、、、」
、、、ほほう、どうやらターゲットの誰かのスマートフォンにそのアプリをインストールしてあるんですね。。
一体誰のスマホにいれたんだろ。。分かりたくないな。
全身から冷や汗をかきながらとりあえず主張しなければならない。
「僕は無実です」
その言葉を聞いた妹のはピクリと眉を少し上げ
「交通事故ですか、そうですか、このアプリによると家を出る時間がとてもおかしいんですが。」
「僕は無実です」
「ついでに何故かコンビニに結構な時間滞在しているようですが。」
「ぼ、ぼくは無実です」
「死刑!」
「いやぁぁぁ!」
本日もこの斡旋所は通常営業であった。