第3話
「とりあえず、基本的な説明は以上になります。もしご興味がおありでしたら是非ご相談ください。ご利用を希望でしたら、次のステップとしてご家族の方々に来ていただくか、こちらから訪問してご家族の方全員と相談させていただくこととなります。そこで最終的に合意が得られ、ご家族の方々の人格や犯罪歴、経済状況などに問題がないか審査を行い通れば契約となります。長々と話してしまいまして失礼しました。」
「いえ、こちらこそ親切に説明してくださりありがとうございました。紹介された時はちょっと胡散臭いなと正直思ってたんですけど話を聞けて良かったです。」
和也は苦笑いをしながら
「あはは、まぁ当然そう思いますよね。あまり家族を交換するなんて一般的ではありませんし。でもご質問やご利用を望まれるのでしたら是非気兼ねなくご連絡くださいね。」
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「ふぅ~、、」
九条さんを見送った和也はため息を吐きながら近くの書類を流し読みした。
「さて、九重さんは利用してくれるかな。。」
そう独り言をいうと食器を片付けるため席を立つ。
部屋を出て廊下の先の左手にある台所のようなところに入ると、そこにはチョコンと椅子に座りながら焼き芋を口いっぱいに頬張る食いしん坊な妹を発見してしまった。
「う~ん、色々言いたいことはあるんだけど、、お前さ、何やってんの。。お客様もお見送りしないで。。」
「え?お腹すいちゃったのよ?仕方ないでしょ?」
「マイペースすぎませんかね。。」
「それよりお見送りってことはもう帰ったの?あのお客様は」
「あぁ、一通り説明してさっきお帰りになったよ。契約してくれるかはわからないけどね。」
「ふ~ん」
妹は興味があるのかないのかわからない口調で話を終えると改めて焼き芋を食べ始めてしまった。
「ちなみに俺の分は?」
チラッと和也を見たものの何事もなかったかのように冬美は食べ続けた。
「、、、」
「はぁ、仕方ないわね、、はいどうぞ。」
そういって焼き芋の皮だけ兄に渡す世知辛い妹に
「泣いていいですか」
と肩を落とす兄をちょっとかわいそうだと思ったのか
「わかったわかりました。全く。」
一口分の焼き芋を千切って渡してきた。
「ありがとう!冬美は優しい妹でおにいちゃんうれしいです。」
笑顔で軽いお世辞を言ってパクリと焼き芋を食べ終えて
「さて、それじゃもう一仕事始めますか!」
そう気を引き締めて、今日も忙しなく斡旋所は回っていくのであった。