第一話 職業
遂に何年も何年も待ちに待ったこの時がやってきた。
この時の為に五年間必死に毎日努力してきた。
その努力が今日報われるか報われないかが分かるんだ。
どんなに弱くても戦闘職でありますように…
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僕の名前はライヤ。冒険者に憧れるごく普通の男の子だ。
この世界にはダンジョンがあり、ダンジョンに潜りモンスターを倒してモンスターの素材や魔石を売ることによって生計を立てるのが冒険者だ。
ダンジョンには様々な難易度があり、難しいのからS級で順番に難易度が下がっていきA>B>C>D>E>F>GとG級まで存在している。
そして冒険者にもそれぞれランクがあり踏破ダンジョンのランクに沿って冒険者ランクが上がっていくシステムだ。
現在の冒険者のトップ層はA級ダンジョンを攻略中だ。
だから僕は初めてのA級ダンジョン踏破者になることが目標だ!
冒険者になるためには必ず必要な条件が一つだけある。
それは職業が戦闘職であることだ。
この世界では十二歳になるときに神殿で一人ごとに職業を与えられるのだ。
職業は千差万別でありカテゴリーに分けると、商人等の商業職。鍛冶師等の職人職。農夫等の農業職。そして僕が目指す剣士等の戦闘職。
それぞれ職業には特徴があり、その分野の人とそれ以外の人では天と地と程の差が出ると言われている。
例えば戦闘職の特徴としては常人とは思えない程の身体能力を得ることだ。
それに加えて自分の職業にあった身体能力が手に入る。
これが冒険者が戦闘職でないとなれない理由だ。
二十年剣の修行をした農夫と剣士になって半年修行した少年だと少年が勝ってしまうのだ。
また、職業にはレベルが存在しレベルを上げることで転職が可能なのだが戦闘職の人は戦闘職にしか転職できないので十二歳で今後の人生が決まるようなものなのだ。
少し脱線してしまったが僕が冒険者を目指したのは、Cランクになったら貴族扱いになるとかお金持ちになりやすい。とにかくモテる。
とか色々あるが一番は最強になりたいから!初のA級ダンジョンを攻略したいから!!
僕は七歳のころに街にB級冒険者が来られとにかくカッコ良かった。
そして僕はその人に声をかけたのだ
「どうやったら貴方みたいにそんなに強くなれるの?」
と、そういったら冒険者の人が
「例え遠回りだとしても努力を怠らないこと。焦る必要は無い。コツコツ積み重ねる事が大事なんだよ」
と教えてくれた。
そこから僕は十二歳になって戦闘職だった時の為にトレーニングを開始した。
ジョギング、筋トレに加えて剣士系の為に素振り、魔法士系の為に魔法の詠唱の勉強やモンスターの勉強を毎日どんな日でもサボらず続けてきた。
三年間が経過し毎日トレーニングをしていて思ったが、けして僕は天才のタイプではないことは分かった。
最近は素振りに加えて脳内のイメージでモンスターと戦っているがいつも同じところで攻撃を食らったりするし全然魔法の詠唱覚えられないし…
でも焦る必要は無い。コツコツと積み重ねる事が大事なんだ。
僕は焦ることはせずに確実に毎日積み重ねていった。
そしてさらに二年が経過した。
今ではもし今戦闘職を手にしたら確実にG級ダンジョンをソロで踏破出来るであろう実力は手に入れることが出来た。
だが慢心するつもりもないしサボることもしない。
誕生日まであと一か月を切った。
僕の運命が決まるのもうすぐなのだ。
僕はもし戦闘職になれなかったら、そこできっぱり諦めると決めていたが公開はしたくないので最後までトレーニングを続けていた。
そしてあっという間に一か月は過ぎて運命の日になった。
僕は十二歳の誕生日になると両親に祝福された後、街の教会に行った。
協会に行き、牧師さんに、
「今日で十二歳の誕生日になりました」
というと、
「それはおめでとうございます。では職業の儀を行いましょう。神のご加護がありますように」
僕は牧師さんに連れられ奥の部屋に行き、神様の像がある部屋に入り神の像に祈りを捧げるように言われた。
(遂に何年も何年も待ちに待ったこの時がやってきた。この時の為に五年間必死に毎日努力してきた その努力が今日報われるか報われないかが分かるんだ。どんなに弱くても戦闘職でありますように…)
僕は祈りを捧げるように神の像の前に跪いて目を瞑った。
「終わりましたよ」
時間にしては数秒かもしれないが僕にとってはとても長い時間が牧師の言葉により終わりを告げた。
「ステータス。と念じてみてください。そしたらあなたの職業とレベルが表記されると思いますよ」
僕はステータスと念じるのがとても怖かった。
だって当たり前だがこの五年間の努力が一瞬にして崩れる可能性があるからだ。
でもいつまでもグズグズしてもしょうがない。
ぼくは腹を括って
(ステータス)
と念じると、目の前に透明なステータスが映ってきた。
そこには、
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ライヤ 12歳 剣士 LV1
スキル
『冥冥之志』
『大器晩成』
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良かった。本当に良かった。
職業は凄く一般的で強い当たりとは言えないが戦闘職ならどうにでもなるし、僕には努力があるから何年経とうが最強になってやる!!
最初の方は説明口調が多くなるかもです…