監獄
「…ハッ、なんか面倒なことになってんな」
ぽりぽりと頬を掻き、思わず苦笑した。
目を覚ましたら、こんな所にいるなんて誰も思わないだろ…
周りにはばちばちと燃え盛る木々。
そしてゾンビのような足取りでこちらに近づいてくる十数人の人間たち。
「動くな。そこで止まって質問に答えてくれ」
「………」
あー、うん。
だいたい分かってたけど止まるはずないよな。
俺は銃を創造し…創造し…?
待て、創造が出来ない。
クソッ…この人数に素手で挑むのは流石にキツイ。
一旦逃げるか。
前方の男に向かって走り、勢いよく跳躍。
男の顔を踏み台にして、もう一度跳躍。
茂みの中に転がり込み、走って逃げる。
周囲の燃える木々が相当熱い。
息を吸うと肺が焼けるほど痛いが、いつまでもここに留まる訳にはいかない。
我慢してこの森(?)を抜け出そう。
──────────
「…わっ、すごい汗にゃ。気づけなくてごめんにゃ…」
メレス様はアンソルス様とどこかに行き、1人で看病していたが、ついウトウトしてしまっていた。
ユウキ様の額の汗を拭き、上半身を起こして服の中も拭いてあげる。
「これでよし、と…」
再びベッドに寝かせ、布団をかけていると扉が開いた。
「ミーナ…代えのお水、持ってきたよ」
「ありがとうにゃ、アニスちゃん。丁度お水を代えに行こうと思ってたところにゃ」
水の入った桶を置いたアニスちゃんが、私の隣に座った。
その顔はいつにも増して心配そうだ。
「…もうっ、みんな心配してるから早く起きるにゃ。早くしないとアニスちゃんが泣いちゃうし、魔王様もまともに仕事できないにゃ」
──────────
「はぁっ、はぁっ…やっと、抜けた…」
焼ける森を抜けた…と思ったら、次は監獄のような場所に…監獄?
「あれ…俺ってどうやってここに?」
なぜ森から監獄へ?
意味のわからないことだらけだが、とりあえずここは安全…
「…ぎッ!?」
背中に鋭い痛みと衝撃を感じ、地面に倒れた。
後ろに何かが乗っていて、激しく動いている。
「キキケケケケ!!!」
「な、んだ…!?う、ぐッ!ぎ、があッ!!」
腹の方から、カリカリ、ガリガリと、地面を削るような音が聞こえ始めた。
激しい痛みで頭がどうにかなりそうだ。
腕に力を込めて起き上がり、後ろに乗っている何かを押し飛ばした。
「キキャッ!」
「ぶふッ!う、ぇあ…!」
ビタビタと口から血が流れだしている。
腹からは金属のような光る何かが飛び出している。
「はぁッ、はぶッ…ぅ、あッ!」
やばい、血が止まらない。
口から、腹から一気に血が流れ出していく。
脚に力が入らない。
死ぬ、これは死ぬ。
ひゅー、ひゅー、と細い息をしながら血溜まりへと倒れこんだ。




