人助け
再びユウキ視点
ユウキとツムギの思い出話はいつか書く予定
ワイバーンはドラゴンと同様、空飛ぶトカゲみたいな生物である。
尖った尻尾には毒があるらしく、毒を注入されると体が動かなくなり、数時間ほどで体中から血を噴き出して死ぬらしい。
なので、最優先で尻尾を切り落としてから戦うのが主流だそうだ。
まぁ、攻撃される前に仕留めるつもりだから関係ないけどな。
「しっかし、本当に足場悪いよな、ここ」
『ワイバーンは湿気が多い場所を好んで住処にしますからね』
「もし転んだりしたら服が大変なことになるよな…」
現在いる場所は、じめじめとした森の中だ。
地面がぬかるんでいるため、とても歩きづらい。
『そこを左にしばらく行ったら、ワイバーンの巣が…』
「ひいいいい!だ、だれかあああ!!!」
「『!?』」
左の方から男の叫び声が聞こえた。
その方向には、羽ばたくワイバーンと、必死に逃げる金髪の男がいた。
「ギャオオオオオオ!!!」
「いや、いやだ…!うわあっ!?」
男は泥に足を取られて転んでしまった。
ワイバーンは尻尾を男に向けると…
「危ない!!」
「え…?ぐっ、ああああああ!?」
避けられず、男の腕に尻尾が刺さった。
『まずいです!ユウキさん!早くワイバーンを倒してあの人を…!』
「わかってる!でもあのままだったらあいつにも被害が……おいネム。あいつを回収してきてくれ」
『…へ?』
「お前も狼人なんだから運動はできるんだろ。戦闘しなくていいからあいつ回収してここから離れてくれ。早くしないとアイツが食われちまうぞ」
『ううううう…わかりましたよ!!』
そういうと、ネムは俺の身体から出て、男のもとに走り出した。
「う、うごけな…ああっ!」
「口を閉じてください!舌嚙みますよ!」
男を抱えたネムが走っていった。
それを見た俺はAT−4ロケットランチャーを創造し、安全ピンを外した。
ネムを追おうとしているワイバーンの注意を惹くために声を出した。
「こっちを見ろおおお!」
「ッ!?キシャァアアアア!!!」
照準をワイバーンに合わせ…
カチッ
ドゴオオオオン!!
~~数分後~~
「はぁ、はぁ、お疲れ様です、ユウキさん…」
「おう、そっちもお疲れ…生きてるよな?」
「毒で体は動かないみたいですが、何とか生きてるみたいですよ。話せますか?」
「うあうー…」
舌も動かなくなったのか、喃語のような言葉しか出ていない。
「えっと…あった。これだな」
俺は爆散したワイバーンの身体から核を毟り取った。
「それで、この人はどうするんですか?背負って帰るのはさすがに…」
「安心しろ。サイドカー付けたバイクなら乗せられるはずだ」
ここに来るまでに、どれくらい道が整備されているのかは確かめておいた。
思ってた以上に整備されていたので、問題はないはずだ。
「なるほど…ユウキさん、バイクなんて運転できるんですか?」
「おう、普通二輪免許は持ってたから安心しろ」
「へー…なんか意外です」
ずっと乗ってなかったし、身長も低くなってるからどうなるかわからないけどな。
まぁ、いけるだろ。
普通ならそれなりに強かったりするモンスターも、少なくともこの章ではほぼワンパンで沈んでいくのであまり戦闘シーンに期待はしないでね。