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影の殺し屋

皆さん、周りにコロナの感染者はいらっしゃいますか?

幸い、自分の知人に感染した方は未だいません。

周りに感染者が居る方も居ない方もどうか自宅で歳を越すようにしてください。


今日の話が年内最後の投稿になります。来年は良い年になりますように


 俺は眠りから覚めた。体は先程よりも幾らか楽になっている気がする。疲労が取れたのだろう。


 ふと周りを見渡してみると人型の濃い影が見えた。誰か人がいるのだろうか?救助に来てくれたのだろうか?

そう思い凝視するとあることに気付いた。


 影はあるのだが、影をつくるものが何処にも見当たらないのだ。それに影は地面に映るものなのにも関わらず立っているような錯覚を覚える。いや、錯覚ではなく立っているのだろう。地味に立体感があるし。


 あれは打撃が通じるのだろうか?明らかに今までの敵とは違う。一角兎は角が生えている点を除けば、普通の生物だし、土人形も何で動いているかも分からず紫色の煙を吐いて土色の魔石に変わる原理は分からないが、戦闘力的にはそこそこ強い一般人程度で実体があった。


 しかし、こいつには実体があるのかどうかが怪しい。魔法やら何か特殊な聖剣などでならダメージが入りそうなものだが、そんなものは持ち合わせていない。『創造』の能力は色々な用途がありそうだが、使いこなせない。


 手詰まりだ。ならば今までのように周りの状況を確認することから始めよう。


 そこで周りを見渡すとあることに気付いた。濃い影と薄い影が点在しているのだ。しかもかなりの数。首がカタカタしているのは先程の土人形だろう。

 濃い影は最初に見たやつか。闇影(シャドウ)とでも呼んでおこう。

 

 俺は今こいつらに囲まれている。眠っていた間に囲まれたらしい。襲われなかった分だけマシかというべきか。いや、こんな状況でマシもへったくれもないわな。


 とにかく逃げる方法を探そう。一応俺は、中学1年生の頃は50m走は6.5秒とそこそこ早い方だった。2年生のときは腰を痛めたせいで6.7秒まで落ちてしまったし、それからは測れていない。


 多分、昔よりも足は速くなっているはずだから、6.3秒ということにしておこう。そのくらいで走ったらどのくらい突き放せるのだろうか?


 このスピードで走れるのは200mまででそれ以上は無理だ。土人形は振り切れるだろうが、闇影(シャドウ)の速さが分からない以上下手に全力疾走をして体力切れを起こすのは止めておいた方がいいだろう。


 大体敵との距離は平均して半径10m前後。闇影(シャドウ)が13体、土人形が9体か…多すぎるぞ。


 配置はバラバラで闇影(シャドウ)が固まっているところもあれば、土人形が固まっている所もある。土人形が固まっているところが狙い目だ。


 俺は魔石を拾って迷わず土人形が2体固まっているところへ向けて全力で駆けた。最善手では無いかもしれないが、時間が経てば経つほど状況は悪くなっていく。ならとっとと行動した方がいい。


 俺が走り出した途端、周りの敵が追いかけてくる。が、遅い。歩くようなスピードで土人形は追いかけてきているし、闇影(シャドウ)は土人形よりかは速いものの、精々ジョギング程度の速さだ。


 俺が土人形に近づくと1体が最初の倒した土人形と同じように手を伸ばしたくるが、それを腕の届かない距離を見極めて土人形を迂回することで避ける。


 もう1体が目の前で手を伸ばしてきていたが、両足タックルをすることで倒して無力化させる。テイクダウンを取ったが、土人形1体に構っていてもしょうがないのですぐに離れて逃げる。


 全力疾走をする必要は無さそうだったのでランニングのスピードで体力を温存しながら距離を取っていった。


 10分程度駆けたころにはもう先程の集団は見当たらなくなっていたが、道中で出会った土人形と闇影(シャドウ)が追いかけてきていた。


 その土人形と闇影(シャドウ)に意識を取られていたところ、右腕に鋭い痛みが走った。


 間隔が狭く人間より少し高めの呼吸音、4足歩行で俺の腕に噛み付いている。


 それは真っ黒な犬だった。目は細く赤く光っている。土人形と違って淡い光ではなかった。何故この暗い環境でこいつに気付かなかっだろうか?


 その答えはすぐに分かった。


 噛まれた右手を振り払いながら噛み付いている顔を目掛けて左フックを放ち当たったと思ったのだが、パンチが空振った。


 右腕をみると先程まで噛み付いていた犬のシルエットはない。


 代わりに目の前で影が集まり犬の形を象っていく。そしてすぐに先程噛み付いた犬が現れた。



 こいつも影でできているらしい。そして闇影(シャドウ)と交戦をしていないので分からなかったが、俺の打撃は通らないらしい。


 影犬(シャドウドッグ)とでも呼ぼうか。影犬(シャドウドッグ)は低く唸りながら、こちらの様子を窺っている。1mくらいの距離がある。こちらから攻撃を加えることが出来ない以上、逃げる以外の選択肢はない。


 そう考えた俺は今度こそ全速力で逃げた。脇目も振らずに走った。ただ真っ直ぐ突き進んだ。


 背中を撫でられるような殺気を感じる。


 走って


 走って


 走った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 どのくらい走ったかは分からないが、やつは振り切ることが出来たようだ。どうにか逃げ切ったことを確認した俺は、その場に座り込んだ。


 「はぁ、はあっ、冗談じゃねえぜ、あんなの。」


 独り言をぼやいた。文句でも言っていなければやっていられない。

 

 そして念の為に再び周りを確認すると、影犬(シャドウドッグ)が4匹周りを囲っていた。


 4匹とも低く唸ってこちらを威嚇してくる。


 俺が手元にある魔石を握りしめたのを皮切りに影犬(シャドウドッグ)犬は一斉に飛びかかってきた…

 

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