土人形の恐怖
投稿遅れてすみません。一回投稿したときに何かの手違いで消えてしまったようです。
書き進める度にこんなんじゃなかったはずと、書き直していたので逆にスピードが落ちてしまいました。
その人形は土で出来ているようだった。触ったわけではないので確信は出来ないが。
それが意味するのは打撃が通じるということだ。それに人形ということは柔術の関節技等も通じるはずだ。絞め技は呼吸をしているか怪しい分、効果があるのかどうか怪しいが。
今俺は仰向けに寝ている。普通の対人戦であれば、別に上に乗り掛かられた(ボトムになった)からといってピンチというわけでも無いのだが、いかんせん異世界の未知の生物(それすら怪しいが)だ。リスクは犯さずとっとと立ち上がった方がいいだろう。
そう考える立ち上がろうとするも、みすみす逃がす気はないようで腕を広げて上から覆い被さるように襲い掛かってきた。
そこそこ速い動きだったが防御もしないで突っ込んで来ているので逆にチャンスだ。
俺は下から顔面を蹴り上げると微かに赤く光る目を点滅させながら仰け反った。相当なダメージが入っただろうが、その分の衝撃が俺にもきてボロボロの体に響いた。
俺は痛みを堪えながら立ち上がった。土人形も体制を立て直したようだ。
俺は少し体制低めのオーソドックス(右の手と足を引く構え)に構えて左回りに回った。土人形は両手を広く構えているので隙だらけだ。
相手のパワーが分からない以上、掴まれるのは危険なのでL字ガードで構え距離を取りつつ右に頭を傾けながら左ボディージャブを放つ。相手の胴体はなかなかの強度でかなり鍛えている人の腹を殴っているような感触だった。
8、9発ほど当たると流石にガードをする素振りを見せるようになった。あまりに下手なのでまだまだ当たるのだが。
それからも何発も入れ続けると土人形が動いた。右の手を伸ばして掴みかかってきたので俺はダッキングをしながら右ストレートを顔面に放った。
土人形はあまり怯まずに連続で掴みかかって来る。流石に避けきれられず右の肩あたりを掴まれた。握力はまあまあ強く、60kg前後だろうか。掴まれたところが少々痛い。
俺は土人形の頭を両手で抱えムエタイクリンチの体制を取ると顔面に膝を左右1発ずつ叩き込んだ。土人形は嫌がり俺の胸あたりを突き飛ばしながら右の裏拳を放った。
土人形の手は下手なオープンフィンガーグローブより硬く俺の頬あたりにクリーンヒットし、かなり慣れた痛みを与え脳を揺さぶる。視界も揺れ、土人形の姿を見失った瞬間土人形に押し倒された。
トップのハーフガードの状態から何発も腕が振り下ろされる。パウンドはガードの上からも効き一撃ごとに意識が薄れる。力を振り絞り相手に組み付き、足も組み替えオープンガードクリンチに持ち込みダメージを回復させる。
土人形は俺を引き剥がして殴ろうとしてくるので組み続けたが、コツコツと打撃を加えられとうとう離れられてしまった。
意識がハッキリとしているときの土人形の攻撃はそこまで恐れることはなく、左のパウンドに対してオモプラッタを掛け全体重をかけた。
そうするとベコッという腕をへし折ったにしては似付かわない音が出て土人形の腕が変な方向に曲がった。
土人形はオモプラッタを掛けられた体制のまま右の裏拳を放ってきたので、体制を変え腕ひしぎ十字固めを描けるとまたベコッという音とともに土人形の腕が折れた。
土人形は蹴りを打つ素振りは見せなかったのでこれでダルマ同然。少し安心したところでふと気になった。
魔物を倒したら何が残るのだろう?と。経験値が貰えるかもしれないし、お金が貰えるかもしれない。はたまたその両方かもしれない。まぁ何も出ない可能性もあるのだけれども。
思い付いたら即実行。首を折る技は知らないが変な方向にフルパワーで捻れば折れるだろう。
力を入れると再びベコッという音とともに首が折れた。
土人形の目の明かりが徐々に消えていき、完全に暗くなると土人形は体全体から紫色の煙を放ち始めた。
それが治った後には土色の石が落ちていた。
魔石とかいうやつだろうか?何かに有効活用出来ればいいのだが…。
とにかく疲れた。家から次元の扉を突き破り花壇に上空から突き刺さり、神からの魔法をくらい、異世界に説明なしに放り込まれいきなり上空に放り出され、水面に叩き付けられ地獄の苦しみを味わい、角の生えた兎に襲われ、それから逃げた先で土で出来た人形に襲われる…。あまりに酷すぎるだろ。
ここで眠ってももう何も起こらない筈だ。絶対にこれ以上は何も無いはず。
そんなことを思いながら俺は眠りに落ちた。
今回の戦闘シーンは人型が相手なので格闘技用語がかなり飛び出してしまいました。
少々戦闘シーンは想像しにくかったでしょうか?
ですが、格闘技用語さえ理解できればかなり詳しく描けていると思っておりますので(その自信は何処から出た?)軽く調べてみて下さい。
よろしくお願いします。




