表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

前門の虎、後門の狼

累計100名ものの方々がこの小説を読んでくれたようです!他の先生の作品と比べたら少ないのでしょうが、単純にら100人という数字はとても多く、そんなにも沢山の方々が私の作品を読んでくださったと思うと感激です。同時に不安でもありますが(笑)


 これからも宜しくお願い致します。

 あぁ答えは決まったさ。


 生きよう。走馬灯は今見るべき場面じゃねぇ。本当に死ぬ寸前で見るものだ。生きるという選択肢があるときに見るもんじゃないさ。

少し冷静になれば迷うまでもない問いかけだった。今も痛いが、俺の決意が決まったせいだろう。未だに悲鳴を上げたくなるほど痛いが、余計な痛みは飛んでいった。

今の決心でアドレナリンが分泌されたようだ。

普通の生活をしていたときは痛みに強い自信があったのだが、所詮は現代日本の中でと但し書きがつく程度だったのだろう。

決心一つで変わる痛みで死のうと考えていた自分が馬鹿馬鹿しい。


 ふと冷静になって周りを見れば陸だ。打ち上げられていたのだろうか。よくよく考えれば波にゆらゆらと揺られる感覚も無くなっている。そんなことにすら気付かなかったのかと数分前の自分に苦笑する。


 と、色々なことを考えている間にも息が出来ない時間は続く。口内に溜まった水を飲んで息が出来るようにしなければ。


 水を飲んだ。一瞬激痛が走り、再び視界が真っ白になる錯覚を覚えたが根性で耐える。そうして息をする為に飲んだ水は美味かった。何でこんな美味いものを飲まなかったんだろう?口を開けたままでいて、完成に乾き切った俺にとってのオアシスだ。自分の怪我も死にかけた、とか言っておいて大方、日常生活の死ぬ死ぬって言っているのと対して変わらなかったんだろう。


 急に水を飲んだため体がびっくりしたのだろう。まるで気管に入ったときのように咳き込んだ。


 「ぉゔぇあ!、ぉはっ!ごぶっふゔぅっ!」


 物凄い激痛とともに吐くときのような声を出しながら俺は溜まっていた液体を吐き出した。…実際吐いてるな。吐くときのようなではなかった。


 そうして吐き出した液体は血だった。……前言撤回。普通にヤバイ怪我だわ。確か胃とか十二指腸とかあと、消化器系のどっかが外傷を負うか、全身を思いっきし打ち付けたストレスで胃潰瘍やら何やらが発生して吐血になるんだっけか。胃潰瘍の方なら良いが…胃潰瘍でも充分ヤバイか。


 やけに冷静だ。あの殺人未遂神のところでもそうだったが。普通ここは泣き喚いたりする場面ではないのだろうか?昔の俺だったら普通にそうしただろう。なんか魔法をかけているとは言っていたが…。


 俺は再び咳き込むのも覚悟で、口内に溜まった水を飲む。今回は咳き込まずに済み、とても美味かったが飲み込む動きにより激痛が走る。

何をするのにも痛みが走るため少し感覚が麻痺してきたようだ。同じ動作をするのに従って全身からくる激痛は段々と控えめになって来ている。


 人間は精神が極限に追い込まれたりすると壊れてしまうので、防衛反応が働いて痛みを抑えているのだろう。ただの憶測だが。こんな短期間で相当ヤバイ大怪我が治ってくれる程俺は自分に期待していない。

異世界転生・転移ものは主人公チートなものも多いが、最近は少なくなってきているし、俺が物語でいうチート系主人公だったら水に落ちた程度でこんなにダメージを負ったりはしないだろう。

アニメの世界にいったら秒で退場。画面の端に死体として転がっているモブになるだけだろう。日本では余程のことがない限り喧嘩で負ける気はしなかったが、ここは異世界。俺より強い奴など腐るほどいるだろう。


 俺がこの世界での強さを考えているときに「答えを教えてしんぜよう。」と言わんばかりに歩み寄ってきた奴がいた。いや、しんぜようは好意を持っていう言葉だ。

奴はそんな好意も悪感情もどちらも持っていないだろう。


 俺たちの間にあるのは自然の条理、ただそれのみだ。喰うか喰われるか。


 …俺は喰えないし喰えても喰わないのでので喰う選択肢はないか。


 俺の目の前に現れたのは薄茶色の毛並みに包まれた兎だ。その情報だけならただ可愛いで済むのだろうが、そいつにはユニコーンのように角が生え、俺の知っている兎より倍は長く鋭い前歯が生えている。


 前門の虎、後門の狼とは良く言うぜ。笑えねぇ。

 

体の大きさは赤ん坊くらいだ。その中で角は10センチじゃくと言ったところか。長い。体長と角の長さの比は約5:1。俺の知っている国民的RPGドラゴ○クエストの雑魚敵いっかくうさぎと似ているが体のバランスが違う。

 

 「魔物」というやつなのだろう。見た目で見るなら角を掴めば勝利が確定しそうだがそうも行くまい。


 おまけに体はボロボロ。今は幼稚園児と殴り合いをしても負ける気がする。


 動かない俺を獲物と定めたのか、はたまた路上に落ちている餌と同等に見てきたのか何の警戒もない様子で近づいてくる。


 一歩ずつ。一歩、また一歩。一歩一歩一歩。再び極限まで俺の集中力が高められ周りの動きが遅くなる。だが動かない俺にとってそれは死が直ぐに来るか、じわじわと来るかの違いであり、どちらかというとじわじわ来る方が精神的に辛い。


 一角兎との距離はあと奴の二十歩分か。一角兎という名の死神が俺に死のタイムリミットを距離で示している。





 直ぐそばで打ち付ける波と風で揺れる木々が俺を嘲笑っている気がした。

物語に関係はないのですが…作者名がコロコロ変わっているのはお気付きですか?気付かれてないならそれで良いのですが…。今まで、思いつきでメルメル、クロットと名前を変えて来ましたが、それは既に両方ともメルメル先生とクロット先生がいらっしゃり、名前が被ってしまったのです。


 今回の名前は被らないでほしいな〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ