表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/98

河童編・後日談1




 朝に目が覚めると、まだとと様とかか様は眠っていた。

夏の暑い時期は、涼しい朝早くに行動するに限るので、

最近の私は早起きになる。


 もそもそと、かか様の背中から滑り落ちて、

巣の外をのぞいてみる……今日もいい天気だ。



「キュイ」


 お出かけびよりだな。



 龍青様は日の出より前に起きて、

仕事を始めているらしいから……もう起きているはずだよね。

地面にがりがりと字を書いて書置きをし、

私は早めに龍青様に会いに行くことにした。


 こんなに早いのなら、私以外には誰も起きてはいないだろうし、

別に見送りに誰かが居なくても……。


――なんて思っていたら。



「――おい、そこの小娘、ちょっと待て」


「キュ?」



 手まりを持って巣から出たところで、

小さな緑色の物体、まめ河童の緑王が居て、呼び止められた。

ちまっと子ども姿になった緑王、元ハゲつるピッカのおじさんは、

あれからずっとハゲつるピッカのちびっ子になっている。


 子どもになってもハゲているなんて、

ちょっと可哀そうなヤツだな……とは思ったが、

私のように、生まれつき他とちがうこともあるので、

そういうのも居るのだろうと黙っていた。

……余計なお世話かもしれないが。


 それにしても、こんな朝早くから起きていたのか。



「キュイ?」


 なあに?


 私は一応このいじめっ子よりえらいはずなのに、

「おい」なんてしっけいなヤツだな。

まあ今は私よりも小さいし、仕方ないのかな。

いつかちゃんと、ごあいさつについても教えなくてはいけないな。



「小娘、今から龍青の奴の所に行くのだろう? 」


 腰に両手を当てて、ふんぞり返っている河童は、

私のことを見上げながら話しかけてくる。



「キュ」


 こくんとうなずいて、そうだよと返事をした。


「では、余も一緒にそこへつれて行け。

 幼子の身で、なぜ毎日毎日と泥臭い畑の仕事をしなければならないのだ。

 さっさと余を元に戻してもらわねば困るではないか」


「キュ」



 やだ。それが私にお願いをする態度か。



 私は「子どもなのに可愛くないから、やだ」とぷいっとそっぽを向いて、

手まりを持ったまま駆け出す。どうせなら可愛い妹か弟が欲しいな。

こいつ、私について来て、また龍青様のことをいじめる気なんだろう。

龍の子どもはね、いやな事をされたらよく覚えているのだ。

私は、龍青様にしたことを忘れたりしないぞ。


 だから私は、今でもすご~く根に持っているので、

連れていく気なんてさらさらない。抱っこしてもらうのは私だけだからな。



「キュ!」


 いつもはお供に誰か連れて行くところだけれど、

みんなが起きてくるまで待つ気分じゃない。

うろこの薄い私は、夏の暑い季節も過ごすのは大変なのだ。

だから涼しいうちに行って、水の底にある龍青様の屋敷に避難するのが一番いい。


 緑王があきらめてくれるか、とと様達が起きるまで待っている気はないので、

私はそそくさと先を急ぐことにした。今のヤツは弱いからな。


 とてとてと歩きなれた坂道を登っていくと、

後ろから「待てえっ!」と言いながらヤツが付いてくる。

私よりも短い手足なので、追い付くのは大変なのか、ちまちまと歩いてくるぞ。

どうやら陸の上で歩くのは苦手のようだ。水のあやかしだもんな。



「ひい、ま……またんか……ひい……」



「……キュ」



 言いつけられた畑仕事がいやで、

龍青様に自分を元に戻すように言いたいらしいな。


 今の小づちの主は私だから、

私が「いいよ」と言わない限り、勝手には使えない。

だから、龍青様から私の方に力を貸すように言わせたいようだ。

でもお兄さんをいじめるヤツを元に戻すのは、絶対にいやなので、

私はぷいっとそっぽを向いて無視した。


(だって、あの姿って龍青様を襲った“ばつ”なんだもの)



 あの姿で「ごめんなさい」と心から反省して、

たくさん働かないといけないから。元に戻したらだめになる。


 それに畑を手伝うのは、この郷で生きる者の「おきて」なのだ。

私だって毎日ではないが、仕事はちゃんと手伝っているんだぞ。

いつもは勉強したり、龍青様のお膝ですんすんするのに忙しいけどさ。


 今は子どもでも、この河童は悪いことをして神様じゃなくなった。


 同じ水神仲間を襲おうとしたこと、

神様としてまつられた時に、民と交わした盟約をたがえたせいだ。

だから子どもの姿でたくさん働いたり、苦労しながら、

えき」とやらを返していかなければいけないんだって。


 なので、私が助けてあげる必要なんてないもんね。



「待たぬか!」


「キュ!」



 しつこいな、後ろを振りかえったら、ぜえぜえ言いながらまだついてくる。

水がないと生きていけないヤツにしては、

この陸地で過ごすのは大変だろうに……。


 途中で「み、水……」と言って足元がふらふらし始めたので、

きっともう限界なのだろう。


 神通力が全然使えないあやかしって、こんな感じなんだ。


 しかたがないので、足を止めて鈴を鳴らし、お水を出してあげた。



「お、おおお、水、水か!」


 玉になって宙に浮かぶ水をごくごくと飲み始め、

頭のお皿にも水をかけていく緑王。実に生き生きしていた。


「ふいー助かったわ」


「キュ」



 おっといけない。龍青様のお土産にお花をつんでいこう。

この季節は色のきれいな花がたくさん咲くから、

龍青様は喜んでくれるんだよね。どれがいいかな?


 ぷちぷちと道のわきにあった白いお花をつんで、また走り出す。

すんと匂いを嗅ぐといい匂い。ふふ、甘い匂いがしてとってもおいしそう。



「こ、小娘、そんなものどうするのだ……っ、ひい」


「キュ」


 龍青様にあげるんだよ。私はしっぽを振りながら答える。

お兄さんが花は季節を感じられて良いねって言ってたんだよ。

いっぱい持って行くとね、花冠はなかんむりを作ってくれたりするの。

水に浮かべたりしてもきれいだよね。


 それを聞いて、緑王はちょっとばかにしたような顔をしてきた。



「はっ、そんなものをあげて、大の雄が喜ぶとでも思っているのか?

 それともヤツは、雄のくせにそんなになよなよして……」


「キュ、キュイ」


 手まり、行って。


 私が花を持ったまま後ろに合図をすると、

手まりが緑王の顔にすぱーんと当たって、私の方へころころと戻ってくる。



「うがああっ!?」


「キュ!」



 しっぽをぴんっと立てて私は怒った。

……おまえ、今、龍青様のことを悪く言っただろう?

龍青様の悪口なんて言ったら、私も手まりもしょうちしないからね!

そう言いながら、私がしゃきんと爪を伸ばしてヤツへ向けると、

緑王は飛び上がって震えていた。



「う……うう」


「キュ」



 まったく、助けてやったのになんてヤツだと、

くるっと背を向けて、また道を上っていく。


 キュッキュ、とてとて、キュッキュ、とてとて……。



「ま、待てと言うとるのに――っ!」



 するとものすごい勢いで追いついてきた緑王が、

無理やり私の小さなしっぽをつかもうとした。

あ、だめっ! 私がキュイっと悲鳴をあげようとしたとき。



――“俺の姫に気安く触るな!”


 龍青様の声がどこからか聞こえてきたかと思えば、

私の額が青白く光り、近づいて来た河童のちびっ子を跳ね返した。



「ぎょえええっ!?」



 ごろごろと坂道をすごい勢いで下っていく、まめ河童の姿……。

頭を抱えて「いたいいたい」とか言っているから、

こないだ着けた金冠が締め付けてもいるのだろう。

一応子どもの姿なのに、やっぱり声も可愛くないな……。



「キュ?」



 それはそうとして、龍青様? どこ?

辺りをどんなに見回しても、大好きな龍青様の姿はない。

でも確かに今……龍青様の、お兄さんの声が聞こえたのに。

会いたいよう、と私が耳を下げて空を見上げると。



――“姫、大丈夫だから滝の前までおいで、迎えに行くから”。


 お空から龍青様の声がする。やっぱり気のせいじゃなかった。

私はキュイっとうなずいて坂道を歩き出す。龍青様が守ってくれたんだね。


 そこへ、後ろから小さな風が吹いてきた。

おや……と振りかえると、そこには知り合いのスズメの子が居て、

私が緑色の変なヤツに襲われていると思ったのだろう。

起き上がって、また私について来ようとしたヤツの頭を、

持っている小さなくちばしで「かかかかかーっ!」と突っついていた。



「キュ!」


 スズメさん!


「チュン!!」


「うぎゃあああっ!? なんだこいつはぁっ!!」



 なんだって……私の飛び友達だよ。

子どもなのに空を飛ぶのがすごく上手でね。

私はまだちゃんと飛べないから、いろいろ教えてもらっているんだ。


 最近は、人間の暮らす村にも飛んで行っているそうだから、

あまり会えなかったけど、元気だった? と手をあげたら、

スズメはこくりとうなずいて、また緑王を攻撃し始めた。


 やがて地面に倒れて、ぴくぴくと動かなくなった河童を見て、

スズメの子はやれやれと言った顔で、

私の頭の上にちょこんと飛び乗ってくる。



「キュイ」


 助けてくれてありがとう、

龍青様の……ここの水神様の所に行くんだけどあなたも行く?

とっても優しいお兄さんなんだよ。私、大好きなの。

顔を見上げてそう聞いたら「心配だからついてってやるよ」と言わんばかりに、

チュンチュンと鳴いて応えてくれていた。


 そのまま頭の上にスズメの子をちょこんと乗っけたまま、

手まりと花を持って、滝の前で待ってくれている龍青様の元へ。



 とてとて、キュッキュ、とてとて、キュッキュ。



 私が滝まで着くころには、言っていた通りに龍青様が着いていて、

私のことを笑顔で迎えてくれた。



「――おはよう、姫が郷の者以外を連れてくるのは珍しい。

 ずいぶんと仲良しだね……お友達かい?」


「キュ」


「ふむ……どこかの神の加護持ちか。

 この俺にもあまり動じないところを見ると、陸の道祖神の使いかな?」



 どうそじん? 聞けば災いから守ってくれる陸の神様の事らしい。


 龍青様が手をそっと差し出すと、

スズメさんは心得たように、お兄さんの手の上にちょんっと飛び乗って、

翼をパタパタしながら頭を下げ、ごあいさつをしている。

龍青様は小さなその頭を指先でそっとなでた。



「スズメは虫を鎮める役目もあるからね。

 田畑の神でもある俺とも相性はいい。

 さっきは姫のことを守ってくれてありがとう、

 お礼に少しだが俺の加護を分けてあげようね」


「チュン」


「もし、姫に変な悪い虫が付きそうだったら、

 その力で守ってやってくれるかい?

 特にさっきみたいな奴なんかが居たら、遠慮なく倒してくれると助かる」


「チュンチュン」



 スズメの子はそう鳴いた後、

またなと言いたげに、私の周りをくるくる飛んで去っていった。


 一緒に連れて行っても良かったんだけどな……とは思ったけれど、

龍青様が神様の使いをしているのなら、

あまり長くはいられないだろうと言われた。

そうか、あの子も神使なんだものね。


 ハクお兄ちゃんでも、神使の仕事が忙しいって言っているし、

子どもなのに仕事しているなんて大変だな……。

あ、ハクお兄ちゃんみたいに実は中身が成体とか?



「それより姫、怪我はなかったかい?

 すぐに追い払ったつもりだが、心配していたんだ」


「キュ」



 私はうなずいて、龍青様に持って来た白い花を差し出す。


 だいじょうぶだよ。あのね?そういえばさっき、

私の額が何か光ったんだけど……って話したら、

龍青様は私の頭をなでてから、花を受け取ってくれた。



「それは姫に鈴を与えた時に、印を額に刻んだからね。

 俺の加護、神通力の一部を姫に与えて鈴が使えると同時に、

 姫に何かあれば、それが姫を守ってくれるように力が働くんだ。

 例えば、俺に姫の安否を知らせてくれるとかね」


「キュイ」


「先日はあの河童にひどいこともされていたし、

 姫が眠っている間に、もう少し使いやすくしておいたんだ」



 そっか、じゃあそれでさっきは助けてもらえたんだね。

龍青様に抱っこされて水面を見ると、私の額にふしぎな青い印が付いていた。

いつもはこんなものは無かったから、さっきの事で力が働いたのかな。

両手でなでなですると、すっと消えて私はほっとする。

この印、とと様が見たらきっと「今度は何事か」と驚いちゃうよね。


 龍青様につれられてお屋敷に来ると、みんなが出迎えてくれた。

おはようとキュイっと鳴いてごあいさつをし、

手洗いを済ませ、朝餉あさげをもらいに行くことにした。


 夏の間、この水の底はひんやりとして、過ごしやすいので助かる。

帰る頃には涼しくなっているといいなと思いながら、

私は龍青様の膝の上によじ登った。



「――主様、おはようございます。本日もよろしくお願いします」



 しばらくすると、神使のハクお兄ちゃんがやって来た。

海の上にあるやしろでのお仕事もあるから、

そちらを先に済ませてから、白蛇一族の水域の管理もしているので、

ちょっと遅めの仕事始めになる。私がおはようと駆け寄って片手をあげると、

ハクお兄ちゃんは膝を曲げて手を重ねてくれた。



「ああ、おまえ大人しくしていたか? 

 また主様の仕事を邪魔していないだろうな?」


「キュ」


 してないよ。今日も良い子だよって言ったら、

「本当かよ」と言われた。


 あとでままごとしようね。遊んであげる。

すっかりハクお兄ちゃんは私の遊び仲間だと思っているけど……。


「ぼ、ぼくの方が遊んであげているんだからな!?」



 顔を真っ赤にして怒鳴られた。


 べつに、どっちでもいいじゃないか。



「おっす。おはようさん……嬢ちゃん元気そうだな」


 それからミズチおじちゃんが、眠たげな眼をしてやって来て、

水神様の仕事が始まる。


 子どもの私は食事も終わり、これからがお昼寝の時間だ。

水神様のお仕事は昼には終わるので、起きた頃にはみんなと遊べるよね。


 本当は龍青様のお膝の上が一番いいけど……。

ハクお兄ちゃんがこっちをじいっと見ているから、邪魔してきそうだ。

しかたがないので人形の龍青様を抱っこして、

手まりも連れて一緒に部屋を出る。


 そのままとてとてと歩いて寝床へと向かう……が、

それは私の部屋じゃない。



「キュイ」



 しっぽを振りながら行ったのは、龍青様の寝床のある部屋の前。

部屋の入り口には侍従のお兄さんが待ち構えるように立っていた。

いつも私に龍青様の文を届けてくれる、山吹色の着物を着たお兄さんだ。

でも私を見つけると「やっぱり今日も来たんですか!?」と身構え、

すごく困った顔をしていた。


 じりじりと近づき、右へ行けば通せんぼ、

左に行けばまた通せんぼをされる。

そう、今のこのお兄さんは、私がここへ来るのを邪魔する役目なのだ。


 無言で私はお兄さんの顔を見上げた。



「ひ、姫様。何度も申し上げますが、こちらは公方様の寝所でして……。

 未婚の若い娘がですね。そう何度も殿方の寝床に侵入するのは……その……」


「キュイ」



 知っているよ。でも来たのだ。そこに龍青様の物があるから!

この程度の邪魔で、私があきらめるわけがないのだ。

侍従のお兄さんが、しゃがみ込んで止めようとする声もどこ吹く風で、

お兄さんの足の間をさっとすり抜け、目の前の御簾みすをぺろんとめくる。


 最初は「龍青様の脱ぎたての着物」を見つけるべく、

もぐりこんでいたのだけれど、みんながお仕事に夢中になる時間は、

邪魔されずに、ゆっくりとごろごろしやすい事に気づいた。


 つがいになっていないと、

雄と雌は同じ寝床で寝てはいけないとか言われているけど、

私はもう嫁として過ごす気なので、ここをなわばりとして使わせてもらうのだ。


 だから、少しずつ私のものを運びこんでは、せっせと自分の場所を作ったり、

私の匂いをすりつけては、ごきげんに過ごすのが私の日課になっていた。


 もちろん、それがすんなりと許してもらえるわけでもない。


 気づけば私が持ってきた物は、運び出されていたりするのだ。

だから、北の方の部屋に戻されては、またせっせと運びなおし、

根気よく、私のなわばり作りが続いている。


 私はあきらめない。ここを本当に私のものとするまで、

この攻防戦はきっと末永く続くのだろう。




「あああ、姫様」


「キュ」


 やだ。ここで寝る。寝たい……龍青様の寝床が好きなんだもの。


「キュイキュイ?キュイ?」



 私はぷるぷると震えながら抗議する。

侍従のお兄さんは、いつもなんで私にいじわるするの? 

私のこときらいなの……? 


「……うっ」


 そのまま、じいっと泣きそうな顔で侍従のお兄さんを見つめたら……。



「ちょ、ちょっとだけです……よ?」


と言われたので、私はこくっとうなずいていざ侵入。


 よし、”げんしつ”だっけ? は取ったぞ。

何か言われたら、侍従のお兄さんも許してくれたと言おう。


 未だにこのお兄さんが私を止められないのは、

いつもこんなやり取りだからだ。

今日も私は、山吹色の着物のお兄さんに勝った。

顔を合わせるたびに私が泣きそうになるので、

気にしているようなのだ。


 いそいそと一段上の畳の上に人形を先に乗せ、

私もよじのぼり、目的の場所へ……。

龍青様の寝床で巣を作ろうともしているが、

まずはここで、当たり前に寝ることを許してもらわねば。


 寝床にある寝具用の着物をぺろんとめくって、

先に人形の龍青様をまくらの傍にそっと寝かせ、ぽんぽん、なでなでしてから、

私も着物にくるんと包まって寝転がった。


 ころころころ……。


 ころころころ……。



「キュイキュイ」


 まだ龍青様の匂いがするーっ! うれしいいっ!!


 顔をうずめて、すんすんと匂いを嗅ぐ。

ただ、残念ながら温もりはなくなっていた。はあ、すごい幸せ。


 それにしても、今日も龍青様の脱ぎたての着物は見つからないな。

あのお兄さんは用心深いからか、そういう所は全然すきとやらが無い。


 ……やっぱり、ぬくもり付きの脱ぎたての着物を手に入れるには、

龍青様から直接、引っぺがすしかないのかな?

と、小さな手をわきわきと動かして思いながら……。


 私は龍青様の寝床の上で、幸せな時間を過ごしていた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ