捨ててもいい人生
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今日の講義が全て終わり、クラスが盛り上がる中、俺は速攻で教室を出た。そして大学の玄関まで行くと、目の前の光景に一瞬足がたじろいだ。
キャンパスの中央にそびえ立つ、高さ3メートル噴水。その周りの広場では、パリピ感丸出しの男女が、大声で笑いあっていた。隣にある芝のグラウンドからは、サッカーサークルのかけ声が聞こえる。青春を謳歌し者達が、充実した顔で大学生活を送っている。
俺には、無縁の世界。お前ら全員死ね。
玄関の前にある階段を駆け足で降りると、顔を俯かせ、早歩きで広場を抜けていった。木々が立ち並ぶ校門までの道も、すれ違う人をジロジロ見ながら颯爽と歩いていく。視界をできるだけ狭め、世界と自分を遮断をするように歩き続けた。
このFラン私立大学は、Fランク大学としての全ての条件を満たしている。無駄な学費の搾取、無駄な設備投資、無駄なゴミども、無駄な講師・・・etc.
このキャンパスの広さは無駄な設備投資によるものだ。校門まで早歩きで3分かかるのは、本当にきつい。
ようやく校門に着き、自動車が行き交う道路沿いに出た。
まだ帰る人が少ないようだ。人通りが少ない。
全身が汗でびしょぬれになりながらほっと一息つくと、左に曲がり、ゆっくりと歩き出した。
あの講師のババアマジで死ね。俺が楽しく3Pする夢見とっら、いきなり当ててきやがった。大学生にもなって、朗読して何になるんだよ。しかも、俺が焦って噛んだときのあのパリピどもの顔。俺を見下しやがって。どうせあと二年もしたら、お前らブラック企業に入って家畜みたいに働かされるんだよ。
「お、そうだ」
俺はそう言うと、スマホを右のポケットから取り出した。しかし、スマホを電源をつけた瞬間、あることに気がつく。
「チッ」
舌打ちを打つと、電源を勢いよく切った。データオーバーで、さっきの講義の時間、Twitterを出来ずに寝ていたことを思い出したのだ。
まあ確かに、1コマの講義で30ツイートもしていたら、そりゃあデータオーバーするかもしれない。
俺はそのままスマホをポケットに突っ込んだ。Twitterで発散するつもりだった鬱憤が溜まっていく。それが、照りつけるうざったい日差しと相まって、さらに苛立ちが増してきた。今すぐにでも吐き出したい。
「例えば・・・」
俺は顔を上げた。すると、前の方から、身長が俺より少し低いくらいで、黒髪のロングヘアの制服を着た、高校生らしき女の子が歩いてきた。スマホに夢中で、おそらくこちらにも気づいていない。
スカートの下から歩く度に少し覗く白くい太もも。そこから靴までスラッと健康的な肉の付き方をしたふくらはぎ。少し汗のしみた、今にも透けて見えてしまいそうな白いシャツ。俺の下半身の熱気が高まっていった。
もう俺には捨ててしまっていい人生しか残っていない。どうせこのまま何もせずに死んでいくなら・・・。
女子高生との距離が縮まっていく。それと比例して、俺の足が止まっていった。
今やれば・・・せめて胸くらいは触れるだろうか。もう捨てていいんだ。もしかしたら、今の息苦しい生活よりも楽になるかもしれない。
俺は一歩を踏み出した。徐々に、2歩3歩と歩き始める。もう距離が、頑張れば手の届く位置まで近づいた。膝が、体全体が震えだす。心臓が、張り裂けそうなくらい高鳴った。
もう、やってしまおうか
手をのばしかけたその瞬間、女子高生がチラッとこちらに目を向けた。おそらくただ前を確認しただけだが、その瞬間俺の動きは止まった。
俺は、そのまま車が行き交う音を呆然と聞きながら、心に重い何かがのしかかったのを感じた。女子高生の足が遠のいて行く。
踏み出せなかった。あと一歩が。
俺には何もできない。
「クソッタレ!」
俺は小さめにその声を発すると、足早にその場を立ち去った。
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