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魔術学校の糸使い  作者: タカノ
入学編
9/43

VS.ズィトウィッキー兄弟

ようやく、まともな戦闘です。

感想・アドバイスなど、あったらよろしくお願いします

 

 重い足取りと憂鬱な気分で、闘技場へ来た。

 そこには既にシリウスと取り巻きのマッチョ、デュアルハゲの計4人がいた。


「よぉ。ちゃんと逃げずに来たみたいだな」


 腕を組み、偉そうに言うシリウス。

 けっ。


「お前からなんて逃げるかよ。雑~魚」

「てめぇ……。そんな態度でいられるのも今のうちだぞ」

「そりゃ楽しみだな。おら、さっさと来いよ」

「慌てんなよ。まずはこいつらが相手だ」

「はぁ? 」


 俺は思わず呆れる。

 こいつらってのは取り巻きの3人の事だろう。

 何故そいつらと戦わなきゃならんのだ。


「何でだよ」

「お前が俺と戦うに相応しいかのテストだよ」


 こいつ、本当に馬鹿だな。


「お前さぁ……1回負けといて何言ってんの? 頭おかしいんじゃね? 」

「――っ! だから、あれは負けじゃねえって言ってんだろうがっ! この屑が! やるのか、やらねえのかどっちだ! 」

「屑はお前だろ……。おまけに頭もおかしい」

「あ゛ぁっ!? 」


 俺は溜め息を吐いて、頭をかく。

 面倒くせえなぁ……。


「やりゃ良いんだろ? やってやんよ」


 馬鹿らしくなって来たから、さっさと終わらそう。

 俺は舞台に上がる。

 シリウスはデュアルハゲに何か言ってる。

 あいつらが最初の相手か。


「我らはズィトウィッキー兄弟。我は兄のバレル」

「我は弟のダレル」


 デュアルハゲがいきなり名乗る。

 あっそ、としか言えない。

 名乗られても、全く見分けがつかない。

 どっちか、髪植えろよ。


「先ずは、我らズィトウィッキー兄弟が相手をしよう。どちらと先にやる? 」

「やる? 」

「台詞の量は均等にした方が良いんじゃないか」

「そんな事はどうでも良いだろう! 質問に答えろ! 」

「答えろ! 」


 はぁ……。

 本当に面倒くさい。

 俺は右手の人差し指と中指を立て、デュアルハゲに見せる。


「2人で来い」

「……舐められたものだな」

「……だな」

「後悔しても知らんぞ」

「知らんぞ」

「お前らこそ、俺に喧嘩売った事後悔すんなよ」


 デュアルハゲが舞台に上がる。

 シリウスはニヤニヤとこっちを見てる。

 待ってろ、銀河系最強馬鹿め。

 すぐにぶちのめしてやる。


「こちらから行くぞ! 」

「行くぞ! 」


 デュアルハゲが同時に突っ込んでくる。


「ていっ! 」

「はぁっ! 」


 何て事は無い、ただのパンチ。

 両方のパンチを、それぞれ片手で受け止める。


「ぬぅっ! 」

「むっ! 」


 奴等はすぐさま飛び退く。


「なるほど。口だけでは無いようだな」

「だな」

「ならば、本気で行くとしよう」

「しよう」


 そう言うと、デュアルハゲは何か変な構えを取る。

 そして、兄ハゲが右の拳を思いっきり突き出す。

 すると、そこから巨大な水の拳が発生し、俺に向かって飛んできた。


属性武術(エレメンタル・アーツ)(ウゥーター)水拳(スイケン)

「んだ、こりゃ」


 俺は飛んでくる水の拳に蹴りを喰らわせる。

 それにより、水の拳は飛散。

 濡れない様に、その場から飛び退いた。

 つっても、右足の半分はやっぱ濡れた。

 糞ぅ。


「ぬぬっ!? あれをただの蹴りで! 」

「落ち着け、バレル。アイツは風属性だ。その力を使ったんだろうよ。ただの蹴りでお前の水拳は破れねえ」

「シリウス。そうか、風か」


 馬~鹿。

 ただの蹴りで破ってやったわ。


「風ならば、こちらにもいる! ダレル! 」

「うむ! 」

 今度は弟ハゲが拳を思いっきり突き出す。

 すると、巨大な風の拳が発生し、さっきと同じように飛んできた。


属性武術(エレメンタル・アーツ)(ウィンド)風拳(フウケン)

「またか……」


 完全にさっきのリプレイなので、俺も同じようにまた蹴りをかます。

 それにより……言わなくても分かるよな?


「むぅっ! 」

「ぬぬっ! ダレルの風より奴の風の方が強いというのかっ! 」


 風じゃねーよ。

 ただの蹴りだよ。


「だが、まだ終わらんぞ! 水掌波(スイショウハ)! 」


 兄ハゲが水の掌を打ち出す。

 それは途中で形を崩し、小さな津波の様に俺に押し寄せる。


「おいおい」


 濡れるのが嫌なので、跳躍。

 しかし、これはまずかった。


「かかったな! ダレル! 」

風斬刃(カザキリバ)


 弟ハゲが右手を振る。

 すると、無数の風の刃が飛んでくる。

 俺は無理矢理、身体をねじって躱す。


「よっと」


 津波の消えた舞台に着地。

 靴は濡れるが、まぁ良いか。


「今のを躱すとは……。先程の風拳(フウケン)の時にも思ったが、貴様まさか風の攻撃が見えているのか? 」

「あ? 」

「風の最大の利点は、不可視である事だ。無論、ただの風では無く魔力による風の為、魔力感知能力が高ければ躱す事も可能……。しかし、先程のお前の躱し方は、風の刃そのものが見えているようにしか思えん」

「普通に見えてるけど、それが何だよ。お前ら見えてねえのか? 」


 俺の言葉にデュアルハゲはおろか、向こうにいるシリウスまでポカーンとしてる。

 アホ面が更にアホになってるぞ。


「常識はずれも良いところだ」


 兄ハゲはそう言って、また変な構えを取る。

 失礼なハゲだ。


「うるせえよ、ハゲ」

「ハ、ハゲだとぉ!? これはスキンヘッドだ! 」

「だ! 」


 何の気なしに言った言葉だが、まずかったらしい。

 顔を真っ赤にして反論してくる。


「ハゲは皆そう言う」

「言わんわ! 許すまじ! 究極奥義をお見舞いしてくれるっ! 」


 兄ハゲは激昂し、変な構えを更に変にする。

 俺の貧困なボキャブラリーではとても表現する事が出来ない。

 そのくらい変な構えだった。


九頭十八牙水蛇咬殺拳(クズジュウハチガスイジャコウサツケン)! 」


 兄ハゲが長ったらしい技名を叫ぶと、9つの頭を持ったデカイ水蛇が出現した。


「デカっ! 」

「デカイだけでは無いぞ! 」


 そう言うと、兄ハゲは片っ方の靴を脱ぎ、放り投げる。

 それに、水蛇の頭の1つが食らいつく。

 2本の牙を噴射させ、綺麗に靴を3等分にした。


「高圧水流か……」

「左様! 鉄ですら切断するぞ! 」


 どや顔の兄ハゲ。


「お前、それを俺に教える為に自分の靴を切ったのか? 」

「……安物だ」

「そういう問題じゃ無いと思うんだが」

「やかましい! 鉄ですら切断する水の牙! それが18本! 防げるものなら防いでみろ! 」


 兄ハゲが叫ぶと、呼応する様に水蛇が動く。

 まずは、3つ向かってくる。

 高圧水流の牙を噴射させ、噛みつこうとやって来る。


「喰らうかよ」


 俺はそれを華麗に躱す。

 華麗にな。


「ふむ。やはり良い動きをする」


 上からハゲ。

 まだ全然、全力じゃねえっつーんだよ。


「ならば、9頭全部ならどうだ! 」


 水蛇の頭が全てけしかけられる。

 さすがに、これを全部躱すのは……出来ないって事は無いが、面倒臭すぎる。

 “アレ”使った方が早いな。


「行くぜ……アリアドネ」


 俺は小さく呟く。

 それに応える様に、右手の甲に刻まれた蜘蛛の刻印が輝く。

 俺は右手を振る。

 その瞬間……


「何ぃぃぃぃぃ!? 」


 水蛇は、その全身を細かく切り刻まれ飛散した。


「な、何をっ……かっ!? 」


 驚愕に顔を染める兄ハゲ。

 言葉を言い終わる前に、素早く詰め寄り腹パン。

 1撃で意識を刈り取ってやったぜ。


「なっ! き、きさぎゃっ!? 」


 次の瞬間には弟ハゲにパンチ。

 こいつは腹じゃなくて顔。

 特に理由は無い。

 何となく。


「よっと」


 気を失ったハゲ兄弟を舞台から投げ飛ばす。

 そして、ゆっくりとシリウスの方を向く。

 奴は、驚きと怒りが混じった様な表情を浮かべてる。

 俺は少しだけ口角を上げ、視線をマッチョに移し、


「次はてめぇだろ? 来いよ、おら」


 右の人差し指をクイクイッと動かした。

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