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魔術学校の糸使い  作者: タカノ
入学編
8/43

ろんぐほーむるーむ

 

 6時間目の授業はろんぐほーむるーむってやつだ。

 相変わらず眠たげな瞳のフェルガス先生が教壇に立つ。

 もちろん口にはタバコをくわえてる。


「え~。ロングホームルームだが、これは学級活動の時間だ。まぁ、クラス内の色んな事を決めたり、行事について話し合ったりするわけだ。基本的に週に1回。何もする事が無い時は適当に遊んでろ」


 先生はそう言うと、椅子に座り教卓に足を乗せる。

 おいおい。


「1回目の今日やる事は、まず学級委員を決める。こう、神の怒りを鎮める為に捧げる生贄を選ぶ感じで。どうせ、誰もやりたがらねえだろ」


 どんな感じだよ。

 でも確かに学級委員なんてやりたい奴はいない……


「はい! 俺やります! 」


 と思ったら、いました。

 俺の隣に。


「ブレイディか。お前はダメだろ」

「えぇっ!? 何でですか! 立候補してるんすよ! 」

「そりゃお前、誰でも良いって訳じゃ無いだろ。何事にも最低ラインってもんがある」

「俺、最低ライン下回ってんの!? 」


 気づいて無かったのか。


「他に立候補する奴はいるか~? 」

「フランドリッヒさんが良いと思いま~す」

「私も~」


 立候補する者は他におらず、代わりに数人の女子がウィルヘルミナを推薦した。


「フランドリッヒか。確かにうってつけだな。どうだ、フランドリッヒ? 」

「別に構いませんが、留学生である私で良いのですか? 」

「あぁ、良い良い。気にすんな。よし、決定」


 神に捧げられる生贄……じゃ無くて、学級委員はウィルヘルミナに決定した。

 確かにウィルヘルミナなら問題ないだろう。

 真面目そうだしな。

 


「他にする事は……。あぁ、そうだ。来週からクラスマッチに向けての強化合宿に行くから。実家通いの奴とかは、ちゃんと親御さんに言っとけよ」

「先生。合宿って何処でやるんですか? 」

「未定だ」


 来週ならもう決めとかないとマズイんじゃ……。


「こんくらいだな。後は自由時間だ。お喋りでもしてろ。席は立って良いが、教室からは出るなよ」


 教師の言う台詞では無いが、生徒にとっちゃありがたい。

 俺は立ち上がり、ウィルヘルミナの元へ行く。


「よっ! 学級委員」

「ギル……。ニコラスか」

「あんな簡単に引き受けて良かったのかよ? 」

「問題ない。こういった役職に就くのは慣れている」


 役職って程のもんでも無いと思うがな……。


「ウィルヘルミナちゃんはアリアンツ帝国の貴族さんなんですよっ。人の上に立つべき人なんですっ」

「よしてくれ、セリーン。そんな立派な人間では無いよ」


 いつの間にかやって来たセリーンが言う。

 貴族か。

 そう言われれば確かに気品というか、それっぽさはある。

 俺は貴族があまり好きじゃないんだが、まぁ他所の国のだしな。


「しかし、何でまたアリアンツの貴族令嬢がトラフォードに? アリアンツにもハイバリーと同じくらいの名門魔術学校あるだろ。名前は……何つったっけ。ほら、あの、ヴェ、ヴェなんとか……」

「ヴェルティンス魔術学校か? 」

「そうそう、そこ。アリアンツのハイバリーみたいなもんだろ? 何でそこに行かず、ここに来たんだ? 」

「色々とあってな」

「色々って何? 」

「それは……」

「ニコラス君! そんな無理に聞いちゃダメですよっ! 」

「あ? 別に無理に聞いちゃいねえよ。言いたくないなら言わなくて良い。うん」

「すまないな」


 ウィルヘルミナが申し訳なさそうに言うもんだから、何か悪い事した気分になる。

 何となく居心地が悪くなってると、ベイが俺を呼んだ。


「じゃあ、俺行くな」


 そう言って、ウィルヘルミナとセリーンから離れた。





「さて、と」


 ロングホームルームが終わり、現在は放課後。

 クラスメート達は各々、別れの挨拶をして帰宅の途についている。


「うっし。帰ろうぜ、ニコ」

「悪ぃ。俺ちょっと用事あるから先帰ってくれ」

「用事って何だよ? 」

「何でも良いだろ」

「まさか女子に呼び出されたのか!? 」

「いや、違うけど……」

「良かった。もしそうだったらお前を半殺しにしなければいけなくなるからな」


えぇ……。


「じゃあ、先帰っとくわ。あんまり遅くなるなよ」

「おう」


ベイは手を振り、教室から出て行った。


「……俺も行くか」


シリウスの奴が待ってやがるからな。

あぁ、面倒臭い。

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