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魔術学校の糸使い  作者: タカノ
合宿編
40/43

vs リゼ Ⅰ 色欲の魔槍

 

「おっと! 」


 鋭く振るわれる手刀を躱し、距離を取る。


「とんだイカれ野郎だな。流石にアソコを切り取られるのは御免だぜ」

「大事にするわよ」

「そういう問題じゃねえ」


 俺は青糸で岩をいくつか持ち上げる。

 さっきのスティーヴンスの攻撃で砕けた地面の一部だ。

 それをリゼの頭上に持って行き、糸を離す。

 当然、重力に従い岩は落下する。

 しかし、


「あら? 」


 岩は不自然な変化を起こし、リゼを避けるようにして落下した。


「何をしたの? 」


 リゼが問いかけてくるが無視。

 今のでも駄目となると、いよいよ手詰まりだな。


「聞いてるの? 」

「聞いてねえよ」

「聞いてるじゃない」


 リゼは言うと、炎弾を放ってくる。

 俺はそれを片手を薙ぐようにして振り、かき消す。

 するとリゼが吹き出した。


「何だよ」

「いえ、素手で炎弾をかき消す様な人間がいるとは思わなくてね。どんな身体してるのかしら」

「さぁな」

「ますます興味が出てきた……わっ! 」

「ちっ……」


 リゼは一瞬で距離を詰め、手刀を突き出してくる。

 俺は手首を掴み、投げ飛ばそうとするが、それすら出来ない。


「面倒くせぇ」


 手首を離し、距離を取ろうとするが、リゼがすぐに接近してくる。


「逃がさないわよ! 」


 手刀、炎弾、熱線。

 リゼから繰り出される、ありとあらゆる攻撃を避けまくる。


「ハァ……ハァ……。凄い身のこなしね……。当たる気がしないわ」

「奇遇だな。俺もしないぜ」


 軽口を叩いてはみせるが、状況はあまり良くない。

 このままずっと奴の攻撃を躱し続けるのは容易い。

 それで奴の体力、魔力切れを狙うのも良いだろう。

 ただ問題は、今はこの場にいないスティーヴンスとジェロームだ。

 スティーヴンスが来た場合は横取りされちまうかも知れない。

 ジェロームが来た場合は2対1だ。

 この状況でそれはいくら俺でもきつい。

 つまり、どっちが来ても厄介だ。

 となると、今の内にリリスを使って仕留めるか?

 思考を巡らせる俺に、リゼが攻撃を再開してきた。


「だから、当たらねえって」

「本当にそうみたいね」


 リゼはそう言うと攻撃を止め、静止する。

 そして裾から、紅色の長槍を取り出した。


「どうやって収納してんだよ」

「これは普通の槍じゃないの」

「何? 」

「これはね、魔宝(オーパーツ)よ」


 魔宝(オーパーツ)

 確か魔術を内包した武器とかの事だ。

 製造者も製造方法も全く判明していない謎に包まれた物で、遺跡とかで良く見つかるらしい。


「で? その槍が何だよ? それで刺そうってか? 」

「刺すんじゃなくて、刺さりにくるのよ。貴方がね」

「は? 何言って……」

「フフ……」


 リゼは微笑みながら、槍の鋒を俺に向ける。

 俺は当然、槍を見る。

 すると、足が勝手に動き出した。


「は? おい! 何してんだよ! 」


 自分の足に怒鳴るが、当然返事はこない。

 ゆっくりと、だが確実に、俺の足は突き出された槍へと向かって行く 。


「どうなってやがる」

「この槍の名は色欲の魔槍(ハスタ・デ・ルクスリア)。この槍を見た者は、この槍に貫かれたいと自ら歩み寄るの」


 俺の足は一歩一歩、槍に近づいて行く。


「フフフ……。この槍で貫いて、その後は下の槍でも貫いてあげるわ」

「糞みたいな下ネタ吐いてんじゃねえ」

「あら。貫く方が好み。私はどちらでも構わないわよ」

「そういう意味じゃねえ! 」

「フフフ。焦ってる顔もセクシーだわぁ……」

「誰が焦ってるってぇ!? 」


 俺は緑糸を展開。

 そしてそれを、


「リリス! その糸に身体を着けろ! 」

「ええ~。何でですかぁ? 」

「いいから早くしろ! 」

「しょうがないですねぇ」


 リリスが自ら緑糸に触れる。

 それにより、緑糸とリリスが繋がる。

 俺は腕を振り、リリスを引き摺る。


「わわっ!? 」

「リリス! 足を振れ! 」

「ええ!? もぉう! 」


 俺の指示通りにリリスが足を振る。

 俺はタイミングを合わせ、リゼの近くにリリスを動かす。

 それにより、


「っ! 」


 リリスの足がリゼに命中。

 右腕で防がれたが、初ダメージだ。


「へっ。最初からこうしときゃ良かったぜ。さぁ、お人形遊びといこうぜ」

「私は人形じゃありませぇん! 」







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