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魔術学校の糸使い  作者: タカノ
合宿編
28/43

女湯覗き隊~ベイと不埒な仲間達~

 

「ふぃ~」


 露天風呂にゆっくりと浸かる。

 もうすぐ消灯だから、あんまり長湯は出来ないけど。


「よ~、ニコ」


 くつろいでいると、ベイを先頭にクラスメート達がやって来た。

 露天風呂はそんなに広く無いので、20人も入るといっぱいいっぱいだ。


「しかし、ギルクリストはやっぱり強いな~」


 クラスメートの1人が言うと、他の奴等も呼応する。


「エプスタイン先生をぶっ倒しちまうんだもんなぁ」

「エプスタイン先生といえば、学校やめたらしいな」

「マジで!? 」

「知らなかったのかよ! 」

「何か可哀想だな……」

「俺はむしろ、ざまぁみろって思ったけどな。ルナホークさんの事いじめてたし」

「お前、ルナホークさんの事好きなの? 」

「ち、違えよ! 」


 ワイワイと騒ぐクラスメート達。

 まぁ、こういうのも良いか……。


「ギルクリストが強いのは分かっていたが、ブレイディも中々強いな」


 アルステッドが言う。

 ベイは月を見ないためか、バカみたいに大きいシャンプーハットをしてる。

 つっこんだり笑ったりしたら負けな気がするのでスルー。


「まぁな。てか、ベイで良いぜ。俺もエミリオって呼ぶから」

「分かった。ギルクリスト、お前の事も名前で呼んで良いか? 」

「おお。俺も名前で呼ぶよ」


 俺とエミリオがそんな会話をしてると、他の奴等も次々に「俺も、俺も! 」と入ってきた。

 うむ。

 大分、打ち解けてきたんじゃないか。


「エミリオお前、皆が打ち解けれる様にアレを? 」


 俺が言うとエミリオは微笑する。

 やっぱり……


「いや。やりたかっただけだ」


 違いました。


「なぁ。それよりさぁ……女風呂、誰かいるよな? 」


 ベイの言葉に、場が静まり返る。

 耳を澄ませると、確かに女湯の方から微かに声が聞こえる。

 男湯と女湯は竹の壁の様な物で仕切られている。

 高さは4メートルほど。

 俺達は顔を見合わせる。


「行くか……」

「いや、やめとけって」


 立ち上がり、覗きに行こうとするベイを制する。


「何だよ、ニコ。興味無いのか?」

「いや、興味はめちゃくちゃある」

「なら良いじゃん」

「……嫌な予感がする」

「何だよソレ」


 ベイは俺に取り合わず、竹の壁に向かう。


「隙間は……さすがにねえか」


 ベイはそう言うと、上を見る。

 月見ちまうぞ。


「やっぱり、上から行くしかないな。チャンコ、ちょっと肩貸してくれ」

「どすこいっ! 」

「おい、マジでやる気かよ? 」

「当然だろ? 男のロマンだぜ」


 男のロマン。

 その言葉に他の奴等が「おお……」と感嘆の声を漏らす。

 いやいや。


「お、俺も行くぜっ! 」

「俺も! 」


 結局、俺とエミリオ以外の皆が行ってしまった。


「お前は行かないのか? 」


 俺の問いはエミリオに。

 奴は当然だろとでも言う様に肩をすくめてみせる。


「興味無い。そういうお前は行かないのか? 興味あるんだろ? 」

「いやぁ……ああいうのは大抵ろくな目にあわねえからな」


 言いながら、ベイ達を見る。

 チャンコの肩に乗り、壁の上から覗こうとしてる。

 危ねえなぁ、おい。


「もう少し……」


 チャンコの肩の上で背伸びをするベイ。

 ベイの身長は俺と同じくらいだから180くらい。

 チャンコにいたっては多分2メートルはある。

 ベイが手を伸ばせば、余裕で壁を越える。

 まぁ、そんな事したらすぐにバレるだろうけど。


「おい、ベイ! まだかよ! 」

「早くしろよ! 」


 後ろに控えてる奴等がベイを急かす。


「分かってるってっ! 」


 ベイは必死に背伸びをする。


「どうだ! 見えたか!? 」

「待って……湯気が……」


 ベイとチャンコが壁に寄りかかり過ぎた為、竹の壁から凄い不吉な音がする。

 おい、ヤバいんじゃ……。


「くそっ! 湯気晴れ……うおっ! 」


 竹の壁が一気に崩れる。

 それにより、男湯と女湯の仕切りが無くなった。


「な……!? 」


 女湯にいたのは、ウィルヘルミナとセリーン。

 あ、これ終わりましたね。


「ななななななっ!!?」


 セリーンは顔を真っ赤にしてタオルを体に巻く。

 まぁ、俺は湯気なんて関係無くバッチリ見ましたがね。

 一方、ウィルヘルミナは……


「……君達は何をしているんだ? 」


 何かオーラの様な物を放出しながら、仁王立ち。

 湯気があるから見えないと思ってるのか、タオルも何も巻いてない。

 確かにベイ達には見えてないだろうが、俺には見えてる。

 スケスケだぜ!


「……話せば分かる」

「問答無用! 降雷(サンダーボルト)! 」

「ああああああああああああああああああああああああっ! 」


 ベイと不埒な仲間たちに、雷が降り注ぐ。

 エプスタインも同じ術使ってたけど、こっちの方が強力だ。


「行こう、セリーン! 」

「あ、うん! 」


 プスプスと音を立てて焼け焦げてる屍達を残し、ウィルヘルミナとセリーンは足早に出て行った。


「アホだな、こいつら……」


 エミリオは呆れた様に言いながら、お湯をかける。

 しかし、ウィルヘルミナめちゃくちゃスタイル良かったな。

 胸も大きかったし。

 良いもの見れたぜ。

 ただ……


「これ……どうすんの? 」


 崩れた竹の壁を見る。

 絶対、怒られるだろう。

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