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魔術学校の糸使い  作者: タカノ
入学編
25/43

監視員

 

「え~、この時期にと言うか、まだ新年度始まったばかりで非常に珍しいんだが、編入生だ! 自己紹介よろしく」


 協会に行ってから1夜明け、朝のホームルーム。

 ストライカーさんの言ってた通り、監視員とやらがやって来た。


「は~い。えっとぉ。リリス・キャンベルで~す。よろしくお願いしまぁ~すっ! 」


 監視員はまさかの女だった。

 しかも暗部組織とか言うから殺し屋みたいな奴かと思ったら、偉く軟派な感じだ。

 肩当たりで切り揃えられたピンク色の髪。

 瞳は大きく、肌は白くて綺麗。

 小柄だがスタイルも良い。

 何が言いたいかって言うと、ベイ始め、野郎どもが煩いって事だ。


「ウェルカムトゥザハイバリー! 」

「天使キター! 」

「か、彼氏は! 彼氏はいるのですか!? 」


 興奮して叫ぶ野郎ども。

 女子がドン引きしてるぞ。

 後、何か立ち上がって拍手してる奴。

 お前は一体何なんだ。

 初めて女の子を見たのかよ。


「うるせえぞ、お前ら。んじゃあ、キャンベル。空いてる席座れ」

「は~い」


 キャンベルは席に向かう。

 各列4人ずつ座ってるが、座ろうと思えば5、6人は座れる。

 キャンベルは1番後ろの列に座った。

 行く途中にチラッと俺を見てくる。

 一瞬だけ目が合った。

 う~む。

 確かに可愛いな。


「さて、と。来週からクラスマッチに向けての合宿に行く訳なんだが、行く場所はブリタニア島に決まった」


 クラスメート達から歓声があがる。

 ブリタニア島っていうのは、トラフォード王国最南端の島で、世界中の文化が混合した何とも奇妙で愉快な島……らしい。

 らしいっていうのは前にアルバスに話を聞いただけで俺は行った事が無いからだ。

 正直、合宿なんて面倒臭いと思ってたが、これは楽しみだ。


「ブリタニア島には船で行く事になる。船酔いしやすい奴とかは……頑張れ」


 おいおい。


「まぁ、そういう事だ。じゃあ、今日も1日頑張れよ」


 フェルガス先生が教室を出ていくと、クラスメート達の殆どがキャンベルの元に集まる。

 俺も話を聞きに行こうと思ったんだが、後にするか……。

 そう思ってると、セリーンとウィルヘルミナがやって来た。


「よう。どうした? 」

「聞いたか? 」

「何を? 」

「エプスタイン先生の事だ」


 エプスタインの名を聞き、ギクッとなる。


「辞めたんだろ? 」


 興味無さげにベイが言う。

 俺は話を振られない様に存在感を消す。


「あぁ。何があったのだろうか」

「先生側には、負けてもペナルティは無い筈ですよね……」

「あれだろ。生徒に負けたのが恥ずかしくて、自分から辞めたんだろ。あの先生、滅茶苦茶プライド高そうだしな」

「確かに……」

「その可能性が1番高そうですね」

「ニコラス。君は何か聞いていないのか 」


 くそっ!

 やはり、俺の巨大な存在感は隠しきれないのかっ!


「ニコラス? 」

「え? あ、あぁ。いや、何も聞いてないな」

「そうか……」


 どこか腑に落ちない表情のウィルヘルミナ。

 俺が泉を斬ったからなんて結論には至らんだろうが……。


「んな事よりさぁ~。合宿超楽しみじゃね? ブリタニア島だぜ! 」


 ナイス、ベイ!

 ベイの言葉で話題は合宿の事になった。


「私、前から行ってみたかったんですよね~ブリタニア島。凄く楽しみです」

「だよな! 俺も行った事無いからめっちゃ楽しみだわ」

「どういう場所なんだ? 」

「あぁ、ウィルヘルミナはアリアンツ人だから知らねえよな。ブリタニア島は色んな国の文化がごちゃ混ぜになってる島でさ。その島だけで世界旅行出来るって言われてる様な場所だ」

「それは楽しみだな」


 3人はすっかり、合宿の話で盛り上がる。

 凄い切り替えの早さだな……。







 今は昼休み。

 俺は、この間シリウスに喧嘩を売られた中庭にいた。

 1人で……じゃ無くキャンベルと。


「まさか、監視員が女とはね。男が来るものとばかり思ってたよ」

「男性の方が好みでしたかぁ? 」

「いや、それちょっと意味が変わってくるよね? 」

「学校に無理無く編入できるのが私しかいなかったんです」

「何歳なの? 」

「13です」


 年齢詐称してんのかよ。

 まぁ、そんくらい簡単に出来る組織って事か。


「これから、よろしくお願いしますね? ニコ君」


 ニ、ニコ君……。


「あ、あぁ。よろしくキャンベル……」

「リリスで良いです。てか、リリスって読んで下さぁい」

「……何か暗部組織の構成員って気が全くしないんだけど」

「良く言われますねー」


 髪を指でくるくるしながら答えるリリス。

 本当、今時の普通の女の子にしか見えない。


「監視っていつまで続くんだ? 」

「さぁ? 」

「さぁってな……」

「そもそもぉ、ニコ君を監視しなきゃいけない理由も良く知りませんしぃ」

「はぁ?マジかよ?」

「マジでーす。何か危険だから何とかって言われましたぁ」

「お前絶対ちゃんと聞いてなかったろ……」

「それより、合宿楽しみですねー。私ぃ、学校生活っていうのに凄く憧れててぇ。まぁ、諦めてたんですけどぉ、ニコ君のお陰で叶いましたぁ! ありがとうございまーす! 」


 本当に嬉しそうに言うリリス。

 完全に舞い上がってる様にしか見えない。

 協会よ。

 人選しくじってるぞ。

  俺はそう思い、空を見上げる。

  また、面倒事が起きそうだ。

これで第1章は終わりです。

次からは第2章、合宿編に入ります。

これからも、よろしくお願いいたします。

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