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魔術学校の糸使い  作者: タカノ
入学編
15/43

申し込み

 

「さて、行くか」


 俺は現在、A組の教室の前にいる。

 校舎が無駄に広く5階建てだから、教室は各階に1つずつ。

 物凄く無駄の多い間取りだが、今はそんな事どうでも良い。

 俺は扉を開く。

 今は朝のホームルームの時間。

 俺はフェルガス先生に特別に許可を貰い、抜け出してる。

 A組の教室は、当然だがB組と何ら変わらない。

 クラスの連中は一斉に俺を見る。

 もちろん、シリウス達もだ。

 だが、アイツらには用はない。

 俺が用があるのは……


「何の真似だ? ニコラス・ギルクリスト」


 俺を見て不快そうに顔を歪める金髪オールバック野郎だ。


「今はホームルームの時間だが? 」

「知ってますが? 」


 眉間に皺を寄せるエプスタイン。

 こいつはシリウスと同じタイプだな。

 煽られ慣れて無いんだろう。


「エプスタイン先生にお話があって来ました」

「……何かね? 」

「まず、俺は退学なんでしょうか? 」

「退学させる程では無いかもしれない……そう思っていたが、今しがた考えが変わった。何故か分かるかね? 」

「いえ。お腹の調子でも悪いんですか? 」

「貴様……」


 エプスタインの眉間の皺が更に深くなる。

 本題に入るか。


「退学させる気なんですね? 」

「そうだ。学年主任には懲戒処分の権限がある。私の権限で君をハイバリーから追い出してやろう」

「そうですか。なら俺も生徒に与えられた権利を行使します」

「何? 」

「先生に退学を賭けて、決闘を申し込みます」

「……何だと? 」


 A組の連中がざわつき出す。

 エプスタインはそれを手で制する。


「自分が何を言っているか分かっているのか? 」


 俺は言葉を返さない。


「……質問を変えようか。君は私に勝てると思っているのか? 」

「はい」


 今度は即答。

 A組の連中がまたざわつき出す。

 エプスタインはそれを制する事無く、不愉快そうに顔をしかめている。


「決闘の相手は自由に選べるが?」

「知ってますよ。だから、1番勝てる確率の高そうなエプスタイン先生にお願いしてるんです」


 その言葉にエプスタインは顔を真っ赤にして、俺を睨み付ける。


「私が1番、与し易いと? 」


 怒りに打ち震えた声で言うエプスタイン。

 もう1押しだな。


「はい。俺は貴族のピストリウス君に勝ったので、“偽”貴族のエプスタイン先生なら余裕かなって」


 ちょっとだけ、シリウスに視線を送る。

 アイツは忌々しげに俺を睨んでた。

 エプスタインは……


「“偽”貴族だと……!? 」


 顔を真っ赤にして、わなわなと震えていた。


「良いだろう。受けて立ってやる」


 エプスタインは怒りを噛み殺す様にそう言う。

 よっしゃ。

 上手くいったぜ。


「決闘は今日の放課後だ。場所は言うまでも無く闘技場」

「分かりました」


 俺はそう言って、エプスタインに背を向ける。

 A組の連中は俺を呆然と見つめている。

 まぁ、そりゃそうだろ。

 俺はたくさんの視線を受けながら、A組を後にした。






「よぉ、どうだった!? 」


 教室に帰ると、真っ先にベイが駆け寄ってきた。

 それに続き、セリーンにウィルヘルミナ、クラスメート達も俺の元に来る。


「上手くいったよ。今日の放課後だとさ」

「おぉ、そうか! よっしゃ、皆で応援に行くぜ! 」


 ベイが拳を上げながら言うと、クラスメート達も「おー! 」と拳を上げる。

 こいつら何か楽しんでるような……。

 まぁ、良いか。


「本当にすみません。私のせいで……」

「だ~からっ、お前のせいじゃ無えって言ってるだろ? 」

「あぅ……」


 まだ謝ってくるセリーンに軽くチョップをかます。


「俺は大丈夫だ。心配すんな」

「……はいっ! 」


 不安気な顔のセリーンだったが、俺の言葉を信じ笑ってくれた。


「私達に何か出来る事があれば言ってくれ」


 ウィルヘルミナが言う。

 ふむ。


「何でも良いのか? 」

「あぁ。私に出来る事なら」

「わ、私もニコラス君の為ならっ! 」

「そうか……」


 何を頼むべきだろうか?

 特訓の相手をしてもらうか?

 それとも、エプスタインの偵察でもしてもらうか?


「ニコラス君? 」

「ニコラス? 」


 腕を組んでウンウンと唸る俺に、2人が心配そうに声をかける。

 よし、決めた!


「セリーン! ウィルヘルミナ! 」

「は、はいっ! 」

「な、何だ!? 」


 俺はバッとセリーンとウィルヘルミナの肩に手を置く。

 そして言った。


「おっぱい触らしてくれ! 」








「何が問題だったんだ? 」

「いや、問題しか無えだろ」


 今は1時間目の授業中。

 呟く俺に、ベイが呆れたように言う。

 うるせえ。

 独り言だってんだよ。

 先程、セリーンとウィルヘルミナにした頼みは叶わなかった。

 ウィルヘルミナは顔を真っ赤にして「君がそんな人間だとは思わなかったぞ! 」とか言って、席に戻っていった。

 セリーンはウィルヘルミナと同じように顔を真っ赤にしながらも、触らせようとしてくれた!

 だけど、肝心のおっぱいが無いに等しかった。

 合掌。

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