表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議なソーシャルゲームに嵌ってしまいました。  作者: 秋之 蠍
スマートフォンに機種変更した日
2/4

オレ、召喚士じゃ無いんだ。

 どうしたことでしょう、スマホを買ってソーシャルゲームの登録をしたら、ゲームの中?どんなファンタジーだ。ただ、そのまま理解できないままでいるわけにも行かない。


「おねーさん、ログアウトの方法を教えてもらえるかな?」


社会人必殺奥義営業スマイル、どんな人も邪険にしなくなり、好意を抱いているヒトからは更に受けがよくなるこの秘技は、しかしてこの不思議ななりのお姉さんにも有効だったようだ。にへら、と笑ったお姉さんが答えそうになる。


「それはですねー、ってだめですだめですー!」


…なんだろう、凄いフレンドリー。とてもプログラムで動いているとは思えない。仕方ない、順応しよう。ここはゲームの中だという体で考えてみようじゃ無いか。


「そうか。じゃ君は一体?」

「やっと聞いてくれました!私はナタ!ここでの案内役を務めます!よろしくお願いしますね。」

「うん、よろしくね、ナタさん。ところでここから帰る方法なんだけど…」

「だからそれはあと、あとですっ!」


うーん、やはりフレンドリー、そういうプログラムなのか?まぁいい、これ以上帰りたいといっても聞いてはくれないな。帰り方が無い風な言い方もしていない。まぁ、ある程度進めばログアウトの方法も教えてもらえるんだろう。別の疑問をぶつけてみるか。


「わかったわかった。で、このゲームは普通こういうゲーム方法なのかな?ちゃんとチュートリアルで、ログイン、ログアウトまで教えてもらえるんだよね?」


命というかどうかそういうものに関わるような気がするんだ。だからちゃんと聞いておきたい。営業スマイルを崩さずたずねてみよう。


「はい!それはもう!!では、折角だから、一から説明しましょう!貴方はこのエンドレスワルツというゲームの指揮官の一人です。一般的な探索を行って、モンスターを倒して、カードを手に入れて、敵と戦う。そうやって全国の人たちと遊ぶゲームですよ!戦闘中に持てるカードは20枚です、基本的に対戦相手の所持カードは戦闘前にわかるようになっています。バトルに使用するカードは5枚、補助に使用できるカードは3枚使えます。」


ふむふむ、読みの介在するトランプゲームのようなものか。読みが有る分、ほかのソーシャルゲームより続いたというのは、うなずけるはなしではあるが…。


「うんうん、ということは、キャラクターによって、地域によって特色が違ったりとか言うこともあるのかな?あと、相性とかもあったりしそうだねぇ。」


折角だ、聞き出せるだけ聞き出そう。おそらく、コンシューマーのネット対戦のような相性はあるはずだ。それに、こういうネット要素が絡むと、イベントとかで国を攻めたりとか、逆に守る専用イベントがあったり、多人数で参加するものだからね。


「おお、詳しいですね!正にその通り!…とまでは行きませんが。まず、国の説明から…」


ナタさんの言うには、3国はハチェット国(H国)、インセンス国(I国)、ボースケット国(B国)というらしい。ハチェット国は戦争大好きな暴君チックな王様が治める国。インセンス国は妖しい女王様が治める国。ボースケット国は若き王様が治める国となっていた。国の特色として、H国は内政ミッションが少なめ、戦時ミッション(侵攻、防衛)が多い。I国は内政ミッションはそこそこ、戦時ミッションは侵攻が多め。B国は内政ミッションが多く、戦時ミッションは防衛がほとんどと、特色があるらしい。それを見越して選んでもらうらしい。だが、ナタさんは、ここで一息ついた。


「-というわけなんです。ですが、今回、くろっく様は4000万人目と言うことで、2つの特典と一つのイベントに参加していただきます。」


…ん?今なんていった?何故、何故だ?ここで逆接が入る?


「ちょ、ちょっといいかな?ここで、『ですが』って変だよね?さもオレが3勢力の何処にも入らない様な、言い方をしているけれど」

「ええ、その通りです!よくお気づきになられましたね!貴方には4000万人目特典として、新興勢力『ネクロノス』を率いてもらいます。これが特典1です。」

「ちょーっとまて、うん、まとうか。新興勢力?!聞いていないんだけれど。」

「はい、今言いました!」


頭が痛くなってきた。むふー!と鼻息の荒い美少女ナタさん。この謎の現実感が、オレが生きていることを表しているともいえるが…うーん、俄かに受け入れ難い。まぁ、でも、受け入れまいが、はなしが進みそうな雰囲気だ。


「まぁ、どうしようもない事は解った。4000万人イベントとして、1国増やしてリニューアルという事だな?仕方ない、そういう特別な事自体は嫌いじゃ無いからね。」

「助かります!理解も早いし、懐も深い!正に王の貫禄ですね!」

「いや、そういうのはいいよ。」

「えー。」

「はいはい、で、特典は2つあるっていってたよね?2つ目は?」

「はい!それはですね!役職です!」

「…はぁ?」


あくまで、今言ったネクロノスの長というのは4000万人イベントのための特典らしい。このエンドレスワルツなるゲームには、キリ番特典があるらしい。それが、役職というものらしい。今までも4人いるのだそうだ。最初の登録者と1千万人毎。オレが4人目らしい。半分ゲームマスターに近いことをしているらしい。これまた、俄かには信じ難い。


「いいのか、オレで、そもそも役職ってなんだ?!」

「はい、今回は屍術士という役職になっていただきます。」

「はぁ?ね、ネクロマンサー?」

「はい!良く解ってらっしゃる!」

「解ってらっしゃるじゃ無いよ!なんだよ!」


若干ヒステリーになりかけたオレに、いい加減詳しい解説をしてくれた。


「詳しく説明しましょう、貴方には役職に応じた特殊能力が与えられます。普通の人々は召喚士という役職に就いています。最初のカードで、敵を倒し、倒した敵がカードになってゲット!となる訳です。ゲットになったカードを強化して、新たな敵、そして敵国と戦うわけですね?しかし、今回貴方はネクロマンサーとして、あなた自身がカードとなります。あ、もちろんログアウトの方法もありますから、閉じ込めるとかは無いですよ?自身のカードは戦闘カードから外せません。そのかわり、初期能力値は最上位、このゲームでオンリーワンのカードとなります。」


少し冷静になってきた、自分の名前のカードを戦闘カードとして出すことが出来ると、割と痛い能力じゃ無いのか?まぁ、カード自体の能力は高いらしい。貰って損とは思えないので、うなずいておく。ナタは、まだ終わりじゃ無いのか、言葉を続ける。


「そして、ここからも重要ですよ!今回はただの役職ではない、ネクロマンサーとして、別に能力を発動させることが出来ます。それは、ネクロマンシーと呼ばれる能力です。戦闘能力では有りませんが、貴方のオリジナルカードを最短で毎日1枚作ることが出来ます!そのカード作成自体に制約はありますが…」


とんでもない能力だな。チートに近い能力じゃ無いか。国の長である事を鑑みるに、負けないということは当たり前なんだろうか。大雑把に以下の制約があるらしい

一つ、ほかの世界(ゲーム等)からキャラクターを持ってくる場合は、真名を理解されてはならない。

二つ、戦闘相手に真名を理解されているキャラクターカードはコール(召喚)出来ない。

三つ、召喚可能なキャラクターは、ほかの世界で死亡、再起不能であることが必要である。

四つ、召喚可能なキャラクターは、自分で召喚されることに応じる契約が必要である。

五つ、ネクロマンサーの思い入れの強さに能力は比例する。

まぁ、他世界にもぐって、カード化できる志望者を探して契約するって事のようだ。おおむねは理解できた。細かすぎるのは、あとで何度でも説明してもらえるので、おいておこう。


「じゃ、早速屍術を使え、ということかな?」

「はい!この屍術こそが、貴方のこの世界での通常ミッションとなります。対人以外はこの行為が必要になりますね!」

「解ったよ、じゃ、早速だけど、この端末、使っていいんだよね?」

「おおっと?!いきなりやる気になりましたね!」

「うん、折角だから、楽しまなくちゃね、ナタさんだって、そのほうがいいでしょ?」


にこっと、ここで営業スマイル。ナタさん、顔が赤いですよ?


「ええ、もちゅろんです!それでそれで!召喚へ向けてどなたを…?」


噛んだ。まぁ、噛んだ顔もかわいいな。ピ、ピ、と電子音がある一個のゲームが明滅していた。ぽふん、問い浮きの抜ける音とともに、灰色のカセットが飛び出す。それを手に取った。


「ここの中にいる、まずは二人の騎士に会いたいんだ。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジー ソーシャル カード ゲーム
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ