第二章:ギルド5
――魔武器。
名の通り魔の力を持つ武器の名称。
具体的に言えば、魔剣や魔槍に一部の魔導書 が該当する。
魔武器は非常に強力な力を有しているが、 その力を使えば最後。
使用者は欲の亡者となり、人を殺す事すら 躊躇わない。さらにそれがエスカレートする と“魔物”と呼ばれる存在と化し、二度と人と しては生きられない。
その危険性からかどの国でも、採掘、販売、所持、使用の全てが禁じられている。
もしこれ等を破れば問答無用で極刑だ。
しかし、近年使用者が増加しており、各国は頭を悩ませている。
街を歩きながらしばらくその事を少年は考える。だが、いくら考えても今は無意味と思 い、頭の片隅に置いて考えるのを止めた。
ギルドにでも戻るかと少年が歩を進めた時だ。
「ん?あれは……」
先の道で見慣れた声が聞こえた。一応だが 知らない声も聞こえる。
よく見れば桃色の髪の少女を複数の男達が取 り囲んでいる。
またかよ。――少年はあきれ果てる。これで何回目だろうと。
助けに入ろうと思ったその時だ。急に少女の前に黒衣を纏った人物が割って入った。
その後、その人物は男達と言い争っているよ うに見えた。
このまま、あの人物に任せようと思ったが流石にあれなので少年は、ゆっくりとではあるが騒ぎのある場所へ歩き始めた。