第二章:ギルド4
「最近、アースガルドで魔武器関連の事件が あったからか?」
「ああ、逆に引っこ抜かれて人手不足だ」
少年は困った様子で溜め息をつく。その様 子を見ていた初老の男はグラスに酒を注ぎ軽く一口。
「そういや。ヘレン嬢ちゃんがいねぇな?ど うした?」
「今頃気づくか。ヘレンとは今日別行動だ。 人探しを頼んでる」
「人探しとはね。あの娘またチンピラに絡まれてたりしてな」
初老の男はいつもの連れがいない事を今更 尋ねた。そして理由を知ると面白くない冗談 を言った。
少年は、本当に面白くないから困った。
あのヘレンだからあり得るのだ。
そう思いつつ、少年は席を立つ。
「悪い。時間だ。金は置いとく」
少年はカウンターに金を置くと酒場から出ていった。少年が出ていった後、初老の男はいくつか酒と肴を注文した。
※
「……魔武器か」
また出回り始めたのかと少年は考える。あの忌まわしい存在が悪人の手に渡り、何の罪もない人が殺されるのかと……。
その事を思うと今すぐにでもそれを売る商人やそれを使う人間を殺してやりたいくらい憎しみと怒りが溢れてくる。
しかし、今そんな感情を抱いても無意味だと悟り、直ぐ様冷静になる。