第二章:ギルド3
酒場はいつにもまして騒がしい。朝から酒 を飲む者や、仕事への愚痴を述べる者など 様々な人が集まる。
人は不安があれば忘れたいと思う。だか らここに来て騒ぎどっぷりと酒に浸かる。
しかし、その賑わいは安堵を覚える賑わいだ。
「……魔武器か」
「ああ、多分な。昨日の騒ぎはそのせいだろ う。それに最近になってルートがまた出来た らしい」
その賑やかさを隠れ蓑にして有らぬ話をする者たちがいた。
その会話の主達は周囲の賑やかさをを気にしていない。初老の男性と一際背の高い白髪の少年の二人だ。
初老の男はカウンターの端の席に座り、少年はその隣だが座って向いている方向は入口 側。
互いに逆の方向だ。
「また魔武器のルートを作ったか。面倒だな……」
「だな。お前さん達が精一杯潰したのに連中、悪知恵はよく働くようで」
初老の男は苦笑し、少年は軽く舌打ちをし た。
「この前みたいにアースガルドからの増援は 期待出来ない。動くならヘレンと俺だけだ」
戦力としては非常に心もとない。いや、バ トルスタイル的にヘレンを戦力に加えるか 迷った。
前回はアースガルドからの一時的な増援があ り、何の問題も無くルートを潰す事が出来た。
しかし、今回はそれが出来ない。