表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力が少なすぎると追放された僕、最強の妖刀を拾ったので最強を目指してみようと思います。  作者: umino


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/3

第1幕 阿紫花との出会い

「……やっぱり、1か……」


測定室に置かれた水晶板を見て、僕、神代迅斗は静かに息を吐いた。


《魔力量:1》


誤作動を疑って三度測った。


結果は、変わらない。1。最早ないも同じだ。


「お前という奴は……名門異戒師の一家に生まれながら……」


僕の一族である神代家は御三家と言われる名門の異戒師の一家。


僕はそんな家で当主の息子だったわけだが……


「魔力がここまで少ないものなどお前がこの一族で最初で最後だろうな。」


「……はい。」


「お前のような奴を何というか知っているか?無能だ。」




異戒師はダンジョンと呼ばれる歪んだ空間から出てくる魔獣を討伐する者の総称。


僕の父、神代家当主はため息を吐きながらつづける。


「子供が親の足を引っ張るなど……もういい。出て行け。」


冷え切った声とともに、迅斗は家を追い出された。


 ――追放。


それが正式な処分だった。


名門一族の恥。魔力を持たぬ欠陥品。


悔しくなかったわけがない。


必ず異戒師になる。あの家を見返してやる。



それが数ヶ月前の話。


夜の学校は、不自然なほど静かだった。


「……ついてねぇ……」


財布を忘れたことに気づいて戻ってきたのが、運の尽きだったようだ。


廊下は歪み、地面は黒い結晶のようなものに侵食されている。


「ダンジョン化か……」


ダンジョン化。

建物に魔力が溜まってしまいダンジョンとなってしまう減少である。

基本的には魔除けの魔道具をおいてそうならないようにするのだが‥‥


「まぁウチの学校ボロいからな……魔道具の効果も切れちゃったんでしょ。」


そのまま外へと戻ろうとした時、人の気配を感じた。


「……誰か、いる?」


廊下の奥に、人影。

非常灯の赤い光に照らされたのは、同じクラスの少女だった。


「……水瀬?」


一応、異戒師登録を済ませている生徒。


「神代くん……!」


顔色は青く、息はかなり荒い。


「大丈夫か?とりあえず出口に……」


「魔獣が……いっぱい……で……」


低い唸り声が、闇の向こうから響いた。

複数。しかもかなりの速度でこちらへと来ている。




「……走れるか?」


「……ううん。腰……抜けちゃったみたい。」


「しょうがねえな……」


僕は彼女を抱え、床を蹴った。


――爆発的な加速。廊下の景色が流れる。


僕は昔から魔力が少ない代わりに身体能力だけは高かった。100mを6秒で駆け抜け、大概の物は持ち上げられる。

だが、角を曲がった瞬間、天井から黒い影滴り落ち、そこから魔獣が出てくる。


「――!」


四足の魔獣。牙と爪を剥き出しにして襲いかかる。

僕は反射的に蹴りを入れた。

直撃。……なのに。

弾かれた。見えない壁を蹴ったような感触。


「くそ……!」


魔力が少ないとそもそも魔獣に攻撃が入らない。

魔力で出来た薄い膜のような物に弾かれてしまうからだ。


「神代くん!」


水瀬の魔法弾が炸裂するが、外殻を焦がすだけ。

廊下の奥から、さらに影。

三体、四体。


「……まずい……」


迅斗は歯を食いしばり、階段を駆け上がる。

屋上へ繋がるドアを蹴破り、屋上へとなんとか逃げ込む。

いつもと変わらぬ屋上、だが……


「……刀?」


一本の日本刀。

普段の屋上には、あまりに場違いな代物。

魔道具という言葉が思い浮かぶ。

魔道具とは魔力を含んだ武器、道具の総称である。それを使えば魔力がなくても魔獣を攻撃出来るらしい。

とは言っても大体が伝説級の物で僕は今まで見たこともなかったのだが。


『少年よ、私を抜いてください。」


声が聞こえた。落ち着いた女性の声。水瀬ではない。


「この刀からか?」

「だ、だめ……!」


僕が刀を手に取ろうとした瞬間、水瀬が叫ぶ。


「異戒師でもない人が魔道具を――!」

「僕は異戒師じゃない。魔力がないからな。」


迅斗は柄を掴んだ。


「だけど!魔道具を使えば話は別だろ!」


――瞬間。

背筋を撫でるような寒気。

同時に、胸の奥に熱が灯った。


「……?」


抜刀。

刃は淡く光っている。

屋上へ上がってきた魔獣がこちらへ突っ込んでくる。

迅斗は構えて踏み込んだ。

そして魔獣めがけて刀を振り下ろす。

――ズン。

黒い胴体が真っ二つに裂け、床へ落ちた。


「……え?」


驚いた声を上げる水瀬をよそに僕は次の魔獣に向き直る。

二体目。振り返りざまに刀を振る。

首が宙を舞った。。

三体目が跳躍。

間合いに入るタイミングと合わせ刀を振る。

顔が二つに割れ、魔獣は沈黙した。


「速……」


水瀬が息を呑む。

廊下から、さらに群れ。


「……まだ来るのかよ」


僕は口角を上げた。ちゃんと攻撃が通る。

今、僕は最高に異戒師をしている!


「今は調子がいいんだ。いくらでも切ってやるよ。」


床を蹴り、そして一直線に突っ込む。そして一振り。

二体沈んだ。

回転しながら突き。魔獣の脳を停止させる。

背後から迫った個体を、振り向きもせずに斬り払う。

廊下は死骸で埋まった。


「……全部……?」


僕自身が一番驚いていた。

――斬れる。魔獣が。俺の攻撃で。

その時


『――聞こえますか』

「……っ」


頭の奥に、直接響く声。


『魔力を持たぬあなた。少しだけ力を貸しました』

「……もしかしてこの刀、か。さっきも喋ってたもんな。」

『ええ。私は【阿紫花】(あしはな)。』


魔獣の残骸から、黒い霧のようなものが吸い込まれていく。


『私は魔獣を倒せば、私は微量ながら力を取り戻します』

「……それで?お前を使って魔獣を倒しまくれっていうのか?」

『察しがいい男は嫌いじゃありませんよ。』


迅斗は刃を睨んだ。


「強くなって、何をするんだ?」

『……ある存在を倒さねばなりません』

「誰だ?」

『今は、まだ。』


一拍。


『完全でない私では届かないのです』


迅斗は息を吐いた。怪しい。どう考えても。

だがこれがあれば僕は魔獣と戦える。異戒師になれる。


「それじゃ俺からも一つ。」

『そうですね。私ばかりでは不公平ですし。』

「俺が……あの家を見返せるくらい、強い異戒師になるまでお前を使わせて欲しい。」

『いいですよ。』


即答だった。


『先程私が話したある存在を倒すのも使い手がいないと話になりませんしね。』

「利害の一致ってやつかな?」

『それではまずこの局面を乗り越えましょうか。』


遠くで、また魔獣の咆哮。

迅斗は刀を構える。


『詳しいお話はこのダンジョンの主を倒してからですね。』


魔力が少なすぎて家を追放された僕。

――だが今夜、一人と一振りの出会いから大きな歯車が回り始めようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
面白そうな予感! 楽しみにしてます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ