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第一話 浅草散財

たぶん完結まで10年?20年?

脱三日坊主なのでね。←期待薄

がんばります!

うーん、眠い。

起きたくない。


布団の中で眠気とたたかう。


うう、強敵・・・

勝てない・・・






「んー、よくねたぁ。」


よく通った鼻筋にすこし薄い黒の二重の目、長い黒髪の14の少女、その名を愛華。

洋風の内装に洋風の家具で、大きな日本風の屋敷に一人暮らしだ。

時計を見ようとベットから降りる。


「えーとっ、10時27分・・・?」


愛華の思考が止まる。


(まって、まってまって。集合時間ってぇ・・・)


「8時半っ!」 


マットレスごと蹴っ飛ばし、ドスドスドスと大急ぎでキッチンに入って行った。


パン入れをひっくり返した・・・が前日に買っていたパンは無かった。


「ごはん抜きじゃん!」


パンを諦め、ダッシュでクローゼットは向かう。

時間はないので一番簡素な巫女服をさっと着ろうとする。


「あぁぁもう、なんでこう言う時に限って帯がないのよっ!」


一番上の引き出しに入れていた帯をこの前全部、一個下の引き出しに押し込んだ事を愛華は知らない。


「あーもうこれでいいやっ」


引っ張り出した洋服のベルトでサッと結び、何にも入っていない肩掛けバッグを壁からむしり、ボサボサの髪で駆け出したのであった。




とあるこぢんまりとした建物の中。

とは言っても愛華の隣の家である。


そこでは2人の少女が殺意たっぷりで座っていた。

畳が痛むほどぎゅっと拳を押し付けているが、畳が負けるのも時間の問題である。 


その2人の少女は巫女服を着ていて、

肩空きの巫女服の方は髪をお団子にし、

ずっと伸びた紫色の切れ目の長いまつ毛、愛華ほどではないが鼻の筋がとおっている。

雰囲気は水商売の沙夜香。


たいしてパキッとした巫女服の方は髪を低く結び、

朱色の花飾りで留めている。

大きくてくりっとした淡い色の目は澄んでいて、

顔は整っている。

真面目系の感じの朱莉だ。


走って建物に向かい、そっと戸に手を掛ける。

ふぅぅぅ、と息を吐き、そっと開ける。



がだっ…



大きな音が鳴る。

またそっと愛華は部屋をのぞく。


(ひええええ)


顔が怖い2人を見て、内心悲鳴をあげているようだ。

愛華はそっと戸を閉める。




ギギシィィィィ・・・




今度もまた大きな音が鳴る。

愛華は一歩下がり、なんとも言えない顔になった。


(よしっ、スライング土下座しよっ!)




ガララララララララララララララッ




戸が勝手に開いた。

正確には沙夜香が開けた。

つまり・・・



「「なぁにぃ、遅刻してんのぉぉ!!!」」

「わぁぁぁ!!!」



最後にごめんなさーい、と愛華の叫びを残して戸は閉まったようだった。













「ったくねぇ、何時間遅刻よ?」

「2時間12分です・・・」

もう30分も朱莉に怒られている愛華。

「朱莉ぃ〜、そんな事より金平糖食べよぉよぉ〜」

早く朱莉のお土産の金平糖を食べたい沙夜香。 

(なんなんだよ、この朱莉と沙夜香の温度差・・・)

「ねぇねぇ〜、そんなに怒んなくてもいいじゃぁん〜」


「その通りその通り」


愛華は思った事が口に出たようだ。

「あっれれ〜愛華ちゃん、今・・・」

(やべぇぇぇっ!)

「じょっ、じょーだんっ!

 ご、ごめんっ、ねっ?」

しどろもどろの愛華である。

 


「まぁまぁ、愛華の遅刻最高記録は11時間56分だしさぁ〜ねぇ、2時間くらいいいじゃん?」



(それは私が半日間違えた時のっ!)



愛華も沙夜香も相変わらずだ。

流石に朱莉も負けたようで、はいはいと言って金平糖の箱を開けた。


「んで、本題に入るよ。」

朱莉は墨でかかれた文字を読み上げていく。

「今月  浅草定期巡回明日2月3日10時から10日間この部屋の宮当番の掃除、あとは雑魚処理5件と白神山地の異変調査。」


[愛華たちは巫女である。

 ただ、普通の巫女とは違って

  妖怪を倒す事を生業とし、

    カクレノミヤという隠された集落に

     住んでいて、基本的に5才になったら

      宮に移り住むのだ。

       この宮は上位の巫女が住む。

        所在地は奥多摩。]


「とりあえず沙夜香は部屋の掃除と雑魚処理二件よろしく、私は残りの雑魚処理と愛華の貯めてる書類を片付けるわ。」

みんないいよ、と言う。


「それじゃ、愛華は浅草と白神山地よろしくね。

 はい、解散!」



 

(ん?今なんて言った?)


「じゃっ愛華よろしく★」

「お疲れ様でしたぁ〜」  


笑顔の朱莉と沙夜香。

綺麗に嵌められた事を悟った愛華は諦めて浅草への用意を始めた。





11日後。


茶色と黒のチェックのワンピースに黒いブーツ。

お団子の髪にチョコレート風の髪飾り。

顔は20歳くらいに誤魔化している愛華。

「っちえ、流石に10日も暇を潰さないよ。」

普通10日ほどの巡回なんてメンバーで分ける。

(多分私が寝てる時に企んだな、アイツらめっ)

愛華はイライラしながらも仲見世から少し外れた道のカフェでラテを飲んでいた。

(寝坊した私が悪いからなぁ)

愛華には怒れる理由がない。

諦めてラテを一気に胃に押し込んだ。

お会計を済ませて、財布をみる。

中には硬貨が数枚しか無い。

数えてみると620円だった。

(50000円も持ってきたのになぁ・・・)

正直浅草観光も目的だったのでお金も多めに持ってきたはずだった。

愛華は時計を見る。

3時46分、終了の5時までまだまだだった。

仲見世に入り、神社までゆっくり歩く。

ウインドブレイカーがサワサワと音を立てて、

パタパタと足音がいきかう。

ぴゅゅぅと風の音。

(生ぬるい・・・)

生ぬるくて不快な風だった。

渦を巻いて気持ち悪い。

(()()()()()()())

何かに気付き、サッと戦闘用意をする。

(浅草は人が多い、何か人がいない所に・・・)

見つけた裏道を覗く。

そこには数人が座っていた。

(くそっ、人に見られたら面倒なのに・・・)

愛華はだっと走り出す。

ワンピースの裾がサワサワと五月蝿い。

それすらも心音で遮られる。

(なんなのアイツは・・・存在感・・・本当にヤバい・・・)

やっと人のいない路地を見つけ、サッと入る。

10枚もの札を異次元から取り出す。

紙製の札で墨で文字がいくつも書いている。

精巧な作りだ。

神力を込めると、札が光って愛華の手から浮いた。

「天国ヘノ誘イ」

グリュリュリュと札がゆっくりと回り始めた。

「神よ神よ!邪悪を連れ去れ!」

愛華が力強く唱えると札が激しく回り、ギィィィィィと音を立てはじめた。

(浅草全域にかからせれば倒せる・・・!)

札が白い光を残して消えると同時に、浅草の空には美しい白い光が舞い降りてきた。

(殺った、勝った、これでなんとか・・・)


[巫女は神力という力を持つ。

 簡単にいうとよくある異世界物の魔力だ。

  巫女が倒すのは妖怪。

   妖怪が出すのは妖力で生ぬるい風を起こす。

    その風の範囲が大きいほど強い。 

     先程の妖怪は浅草全域に程だ。

      それほどの妖怪を大妖怪と言う。]


キラキラと光が輝く。

美しい、美しい光だった。

月一目指してます。

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