前夜 邂逅 -猫又のつぶやき-
孤独のなかで、
憎しみのさきで生まれたいのちは、
どこへゆくのだろう……
あたしの出逢った今回の事件の前日譚。
ネットワークの幾つかのゲームで、ゲームユーザーの意識が戻らない出来事が起こっていた。
あたしはゲーム運営側からの人物の依頼で、その件に対する調査、解決の対策を行っていたのだ。
それらについて、初めはAIのバグやエラー、サイバーテロなどによる犯罪などを疑っていたのだけれど……
どうやらそれは人為的なものでは無くて、ネットワークに生じた意識体、電子生命とも言える存在が犯罪を起こしていることを知ることとなった。
鬼の性を持つそれは、元は人か、それに類するものである確率が高く、人としての怨念を核とするものは電脳世界に生じた人を喰う怪異、あやかしとも言える存在でもあるものだった。
そうしたものは、人の世界にとっても、知られず人の世の影に棲む、あたしたちのような住人たちにも脅威となる。
速やかに粛清、あるいは捕縛、管理されなければならない。
あたしはその鬼の足取りを追いつつ、ついに人の意識を喰らう鬼へと追いつき、鬼となった彼と邂逅する。
今回の物語はここから始まる。
※ ネトコン11、12と書いた、『電脳の鬼』の物語の続編。
今回は人物の視点を変えた物語です。