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男の聖女はダメですか?  作者: 茉小夜
ドラコニア王国
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第54話 神様のやらかし その2

神界での模擬戦という名の神様たちのモルモットで心に傷を負った俺は奥さんたちに甘やかされて立ち直り、全力とうぼーー再び異世界へ。


と、いきたい所だったのだが少々というか、いやかなり思う事があって神界に急ぎ引き返した。


そして、そのまま創造神たちが働いているであろう執務室に直行してーー。


「てめぇええーーっ! 俺の身体に何をしやがった!!」


「ごはっ!?」


奴(お義父さん)を見付けるや否や飛び蹴りをかました。


「ちょっ!? いきなり何をするんだい!? そもそも君は向こうに行ったんじゃなかったのかい!?」


「そうね。私もそう思っていたんだけど、何かあったの?」


父親が蹴り飛ばされた事には気にも留めず、『また、何かやらかしたな』とソフィアさんたちはジト目を向けた後、心配そうに聞いてきた。


「ええ、どうしてもコイツに聞かないといけない事があったんで全力で引き返しましたよ」


ことの発端は実家でのやり取りにある。





「お兄〜、次はこの服を着て!」

「いや、こっちが先でしょ!!」

「2人とも喧嘩しないの!いつも通り、どっちも着て貰えば良いのよ」

「「それだ!さすが桜兄!私たちの漢ねぇちゃんなだけはある!!」」


我が家恒例のファッションショー。異世界に行ってる間にまた溜まった様だ。全くそんなに買ってどうするのだろうか?


「この服なら……このポーズだな(きゅるん♪)」


異世界での経験を得てた俺は何気なしに家族へと最高に可愛いと思うポーズを披露した。


ふふっ、どうよ? 可愛いだろ?


「「「………」」」


だが、期待とは裏腹に家族は氷付いた。それはまるで伝説の時魔法の如く。


「おっ……」


「お?」


「お兄が壊れたぁあああっ!!」

「熱はない!異世界で変な食べて当たっちゃった!? 病院行く!?」

「お母さん!ノアちゃん!急いで来て!!ミヤビが大変なの!!」


「いや、驚き過ぎだろ!!」


「だって、ノリノリじゃん!?」

「自ら進んで可愛いポーズをとるだなんて…っ!?」

「それに最初から少し違和感を感じていたんだけど……そういえば、いつものイヤイヤ感が全くないのよね。それにもっと驚きなのはーー」


「「「目が死んでない!? 輝いているだと(のよ)!?」」」


酷い言われようである。


「まったく、あんなに大声で騒いで一体何があったの?」


「実はーー」


騒ぎを聞き付けノアたちがやってきた。兄が代表して説明すると母親までが驚愕し、すぐに救急車を呼ぶことを検討されるもノアがいるので魔法による診察が実施された。

その結界は、当然ながら正常。という事で皆は一応落ち着きを取り戻し、聖女になった影響かと納得。ただこれを機に自身を客観的に見たことで、異世界に行ってからの言動に違和感を感じる様になった。


「一体何時からだ? 女装に違和感が無くなったのは? それに率先して可愛いアピールする様になったのは!? おっ、俺はなんということぉぉぉぉ!」


頭に過ぎるは異世界で行った可愛さアピールの数々。思い出したら恥ずかしさのあまり床を転げ回ってしまった。





「ーーという事が有りました」


「【最上級女神権限にて、この場にいる全職員にミヤビのアカシックレコードへのアクセスを許可】!! 各班、ミヤビの履歴を精査しなさい」


ソフィアの宣言で傍付きの天使さんたちが空間のディスプレイを操作する。


「ステータスの数値に問題なし。レベルアップの速さはおかしいですが……」

「ブリギッテ様のアイテムによる経験値増加による影響では?」

「しかし、この上昇スピードはそれだけで片ずけるには少々……」

「スキル習得にも違和感あり。まるでか《・》ら《・》しており、忘れたものを思い出したかのような取得状況です」

「っ!? これはっ!? 聖女としての性能が戦闘の度に変化して安定していません!!」

「他にもーー」


報告を聞く度に青筋浮かべるソフィアさんの背後で怒る般若の幻想が濃くなっていく。


えっ、このまま実体化とかしませんよね? 天使さんたちも引いてますよ。


「お父様。天秤の女神ソフィアの名において、隠しステータスの開示を請求します。さっさと承認してくれますよね?」


「あの……はい」


詰め寄るソフィアさんの圧力に屈してのか、あっさりと承認され、彼女の目の前に新しいパネルが出現した。


「なになに……やらかすにしても限度があるでしょうがぁぁ!!」


「ひじぃ!?」


見事なまでの肘鉄が顎にクリティカル。これにより悪(創造神)は討たれた。もう彼女が創造神で良くない?


「あの〜、結局何が原因か教えて貰う事って出来ますか?」


「そうですね。色々不味いことが分かりました。とりあえず、原因は隠しスキルにある様です。まずはこれ」


教えてもらったスキルがこちら


〈虚像再現〉

心に思い描く対象を再現する。それが例え現実と掛け離れたものであったとしても関係ない。全ては本人がどう思うかが重要である。


「スキル説明だけだと分かりずらいのと思うから実際の例を挙げるわ。ミヤビが女装して動く際に女性らしさを意識する。そういう場合は、何かしらの例となる人物や人物像を思い浮かべるものでしょ? そうするとあなたはその行動を再現できる様になるという事なの。これは他にも応用が出来てーー」


要は、成りたい人物になりきれるという事。


例えば、ゲームの勇者。

あらゆる魔法を使いこなし、あらゆる武具も一通りは扱える。


しかも、具体的な人物を思い浮かべればさえすれば、その動きを全く知らなくても、それらしく動ける様になる扱える様になるらしい。


「ただし、再現と言っても肉体には限度が有るから腕とか伸びないし、魔法を再現するなら既存のものから選択され、威力はスキルレベルに依存するわ。カンストしていた場合でもそれ以上の出力を再現することは出来ないわね」


それでも十分チートなスキルだと思うよ。


「そして、これが一番の原因でしょうね」


〈思考誘導・可愛い私〉

もっと自分に自信を持っていいんだよ。君は可愛い。さぁ、世界にアピールするのだ。


「……」


あっ、うん。これが一番悪さをしてますね。

二つのスキルが合わさった結果、可愛いポーズを率先して行っていた様だ。消せないかな?


「……隠しステータスの再設定は、魂と肉体の両方に調整が必要な為、生誕前もしくは死後にしか調整出来ません」


「よし、もう一度蹴ろう。死体蹴り上等!」


「ちょっ、暴力反対!暴力反対!!ほら、よく見て!他にもオマケで有用なスキルを付けてるから!!」


隠しステータスが書かれてディスプレイを見せ付けられた。


〈固定経験値獲得〉

レベル制限を受けずに最大経験値を獲得出来る。パーティーリーダーの場合は、最大経験値で計算し分散する。


あっ、これは素直に嬉しい。レベルアップの速さにも納得が行くな


〈天眼〉

鑑定時にアカシックレコードへのアクセスを許可。深度3まで閲覧可能。


鑑定がMAXになると作成に必要な素材などを見る事が出来るが、それに加えて入手場所や経路を知る事が出来るらしい。


〈魅了〉

モーションに魅了補正が入る。常時"微"状態でパッシブ発動。任意による強弱が可能。


「厄ネタじゃねぇか!そりゃあ、絡まれますわな!!」


魅了なんて国レベルで危険視されかねない。一応、隠しステータスだから他人に見られる事がないのが唯一の救いだ。


しかし、これらのスキルとは一生付き合わないといけないらしい。これからの俺の人生はどうなるのやら?


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