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男の聖女はダメですか?  作者: 茉小夜
男聖女爆誕
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第2話 神様、猫になる

「長くなりそうだからお茶でも飲みながら、じっくり聞きましょう。取り敢えず、正座」


ソフィアと呼ばれたメガネ美人さんが青筋浮かべて睨み付けると彼は直ぐ様ヤバいと思ったのか正座した。

彼女が手元で何か操作するとドアから天使さんが入ってきてお茶を配る。


"ズズズズーー…………"


めっちゃくちゃ美味くない? 今まで飲んだお茶の中でも最高なんですけど。


「うふふ、凄いお花が飛んでるわね。そんなに気に入ったの? なら後で分けてあげるわよ」


マジで貰えるの!? やったーーっ!!


「ありがとうございます!」


お礼を伝えるとソフィアさんも笑いながらお茶を啜った。


「あの〜……、私の分は?」


「有るとでも?」


「あっ、はい。大丈夫です……」


皆が一服すると話し合いが始まった。


「それではどうしてこの子を異世界から誘拐したか説明して下さい」


「……そっ、それはね」


ソフィアさんの圧に屈して彼が話始めた。


神様だって休暇は有ります。滅多に取れませんが、休暇は長くて数年から数十年、果ては数百年と取れます。

なので、彼はこう思いました。普段とは違うこと違う事がしたい。


そうだ、別の生を楽しもう!!


早速、彼は異世界の神に掛け合います。自分の世界では神の律に触れるので世界に降りる事が難しいのです。

早速、最近話題の世界を管理する神に会いに行きました。


「私を君の世界の獣にしてくれないか!」


当然、異界の神には止められました。


「獣はお止めなさい。人型で良いではないですか。私の世界に魔物やダンジョンは存在せず、当然魔法も既に失われています。栄えてる種族も人族。貴方の権能も殆どが封じられます。獣だと楽しむ余裕なんて有りませんよ」


「いつも種族は別として人型だからさ。獣になりたいのさ」


その後も必死な説得は続きますが、意思は変わらないので異界の神は諦めました。


「……分かりました。では、猫をオススメします。人族に好かれ易く、寿命も長く十数年。お試しとしては丁度いいかと?」


「向こうで死んでも本体に異常はないし。期間も僕の休みの1割にも満たない。よし、それにしよう」


「そうしてもらうと助かります。他の神々みたいに問題起こされても困りますから。猫なら影響も少ないでしょう」


とい訳で、猫になって異世界に降り立ちました。


「場所は日本。世界の中でも比較的治安が良く、食猫の文化は有りません。それにカルチャーの影響で多少変な現象を起こしてもここなら受け入れられ易いでしょう。他の神も人混みに紛れてたりしますから協力する事も出来るのでは? それでは私はこれで」


そう言って異界の神は去って行きました。

よ〜し、猫生を謳歌するぞ!


「…………」


猫って、どうやって食事を取るんだ!?

牙……いや、爪か? え〜っと、確か鳥とか食べるんだったか?

寝床は……なんかあの狭い所に入りたくなってきた。落ち着く。毛皮で寒くないし寝床にしよう。眠くなってきた。


「…………」


よく寝た。さて、獲物を探すか。


それから数十分後。

いや、なんで都会に降ろした!? 鳥が殆どいないのですが!?


それでも頑張りました。でも、鳥は居てもビルの高い所だし、公園はスッキリしてて隠れる所が少ないから素人ハンターには無理ゲー。諦めて、コンビニ裏などで残飯を食べる。


「にゃごぉおおーー……」


猫の体に合わないものが多いらしく、普通に吐きました。


なんとか、住宅か森にでも行かねば……それはどっちよ?


あてもなく歩き続けて、とうとう力尽きました。


「…………」


死体のふりしてたら鳥でもくるのでは? 鳥葬とかあるし、カラスなら食べれるよね?


「ん? 猫?」


鳥ではなく、人が来ました。


「にっ、にぁ〜〜」


生きるためです。全力で媚びます。足の間を八の字走行。片足に全身で抱き着きスリスリ。


「めっちゃ人懐っこいな。飼い猫か? でも、首輪ないし……。ふむ、家来るか?」


「にゃ、にゃーーっ!!」


そして始まる2人の共同生ーー病院?


「おっ、桜耳じゃないね。しかも雄。予防接種と去勢しましょうか」


「あっ、お願いします」


「に"やゃややーーっ!?(いやぁああ、たまたま取らないでぇぇ!)」


去勢だけは嫌だ!権能!我がけ権能よ、何か使えるのは無いかぁああーーっ!ピンチなんだよぉおおおーーっ!


「……注射だけしますね」


「……はい」


どうやら、必死の願いが届いて簡易な思考誘導は出来た様だ。助かった。


そして、今度こそ2人の共同生活が始まった。


「あぁ〜っ、今日も雅ちゃん最高ぉおおっ!」


「ねぇねぇ、こっち着て! はい、くるっと回ってポーズ!」


「あら〜っ、良いわね。私も着てみたわ」


「桜兄は胸筋で無理。諦めて」


「ふふっ、MIYABIのイン〇タは今日も絶好調。流石私の弟。略してさすミヤ」


いや、多いな!?

我が主は1人暮らし。なのに、毎日実家ですかと言うぐらい母親と兄弟姉妹が訪ねてくる。一人、ヤバいのがいるがスルーしよう。

そして、今日も今日とて主のファッションショーが開催された。


「…………」


ほう、和ロリというものか……良い。

ただ、主の死んだ目はどうにかならないものか?


「ミーゴちゃん。お風呂入ろう〜」


「にゃ〜(了解した)」


「今日も大人しく自分からお風呂に行くね。いい子いい子」


「にゃ〜(猫でなく神ですから)」


お風呂はよく主の家族と入る。主とも入るが、その家族との方が多い。そう風呂と言えば、主にものを申したい。


何故、上を隠さぬのか?


いつも下はタオルでしっかり隠すのに、上はまったく隠さぬのだ。それは女としてどうなのであろう。そのせいか、水滴も相まって妙にムラっとくる。


「にゃ〜(主よ。ワザとやってるのか?)」


それから3年。お試し故か思いの外寿命が短かったらしい。神故に自分の死期を悟った。

なので、例の計画を実行する。全ては主が悪いのだ。部屋ではしっかりしてるのに、滅多にないお風呂回では毎回毎回私を誘惑するから……。


故に、主を誘拐しよう。向こうに連れていってお嫁さんにするのだ。

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