第01話
窓から見える空は青く、とても綺麗です。
だけど窓よりこっちの世界はとても悲しいです。
悲しく、辛くて、何度も泣きました。
あっちの世界に行くことが出来たなら、自分は幸せになれるでしょうか。
もう泣かなくても済むでしょうか。
空を見上げる度に、何度も何度もそう思いました。
あっちに行こうとした事もありますが、空とこちらの間には窓と鉄格子と鎖があります。
それに、それよりももっと自分を縛るものも。
どれだけ頑張っても、この間にあるものを取り除くことは出来ません。
ただ、身体が痛くなるだけです。
思い知りました。頑張っても、自分はあっちの世界に行くことは出来ません。
どれだけ願っても、どれだけ頼んでも。
例え何があろうと。
自分は命じられた事をするしかないのです。
それだけが生きる意味なのだと言われながら。
それに反して外へ行こうとすればするほど、どんどんこちらの世界は悲しくなっていきます。
最初は自分もあちらの世界にいたのに。
どうしてこうなってしまったのでしょうか。
今はもう思い出せません。
どれだけ嘆いても世界は変わりません。
悲しいのは嫌です。楽しい方がいい。
だけどどうすればいいのでしょうか。
考えて悩んで苦しんで、ある日気づきました。
そうだ、笑おう。
どれだけ悲しくても笑おう。
そうすれば、いつかきっと……
楽しい世界が自分を迎えに来てくれるはずなのだから。