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第2話① 北の都は地下迷宮都市

 二人はギルドを出ると、目抜き通りを渡り、向かい側にある大聖堂へと向かった。


 陽のもとで軽やかに歩く少年のことを、ラルはつぶさに観察する。

 背丈は彼女よりも頭一つ分低く、その手足は森の奥に住むエルフの如く白く細い。冒険者としては軽装となる、質の良さそうな革の胸当てに革ブーツ。傷一つないそれらの装備には、多種多様な付与魔法が掛けられているようだった。


 ――私の鑑定魔法でも全部読めない? 鑑定士には負けるけど、私の鑑定魔法もそれなりに高レベルなんだけど……。


 「でも……可愛い。まるで神々の園に咲く清き華のよう。こんな子が居たなんて。はぁ眼福」


 金髪の少年を見つめるラルの頬がポッと赤くなる。


 (主よ、熱病にでもかかったか?)

 ――ある意味、熱病かもね。


 大聖堂の入口で手招きをするサントを見て、ラルは小さく溜息を漏らした。


 大聖堂。

 町の中心地にあり、歴史を感じさせる石造りの建物。その地下に迷宮への入り口があった。


 まだ昼過ぎという事もあり、建物内の地下迷宮広場には多くの冒険者たちが溢れている。

 冒険者だけではなく、彼ら目当ての露天商や行商人も軒を連ね、広場には活気あふれる声が響いていた。


 見慣れぬ魔術師の姿に気が付いた冒険者たちが、ヒソヒソと何かを話している。

 いや、ラルの姿というよりも、足手まといのサントを引き連れた、変わり者がいると話しているようだった。


 サントは出掛けに言われた、ギルド長の言葉を思い返していた。


「性格に難が有るかも知れんが、五つ星の実力は間違いないから心配するな。パーティーを組んで悪い事はない」


 ――本当にこの人と一緒に行って大丈夫なのかな……?

 サントは首を傾げた。


「あの、ラルさんは準備をするとか……。その、不安は無いんですか? 通常だと迷宮に潜る前の数日は、買い出しとかの準備期間に当てるパーティーがほとんどですけど……」


「あら、あの大男たちが行けるレベルなら、朝食前の散歩と変わらないわ。それよりも君の方は例のポーションを持ってきているの?」


「えぇ、カラフルポーションなら、あと5個ぐらいは有りますよ。それに深度計も持っています。あっ、手続きが完了しましたよ……って、アレ?」


 サントが振り返ると、ラルがなにやらブツブツと考え込んでいた。


「二人で買い物? よくよく考えたらこんなイベント滅多に無いんじゃないの……」


 ちらりとサントを見遣るラル。その目に妖しい光が灯っている。少年はまだその光に気が付いていない。


「やっぱり迷宮に入る前に買い物をしましょう! サント君の装備も少し見直したほうが良さそうだしネ」


「わっ、分かりました。でも僕はそんなにお金持っていないですよ……?」


「そこは大丈夫。お姉さんに任せなさい」


 迷宮広場には様々な露店が軒を連ねていた。


「この辺りは北の都にあるお店の出店が多いんですよ。うちの出店もそこに有りますから」


「サント君のお店?」


「ええ、僕んちは冒険者向けの道具屋なんです。今は母さんが定着魔法を使って加工した道具類や装備品を販売しています。僕も地上の店の隣に加工所(ラボ)を持っていて、研究開発しているんですよ」


「そうしたら、サント君の家のお店から行ってみましょうか? 足りなければ他のお店も回ってみるという事で」

 

 サントが少し恥ずかしそうな表情を見せる。


「うちのお店はちょっと変わっているので、ラルさんの趣味に合うか心配ですけど……」


「趣味?」


「えぇ。あっ、そこの少し派手なお店がそうです」

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