第三話 まさかの...
「社さん、昨日は"コスプレミスコン"があったんですよ?」
「ゑ!?」
ま、ま、ま、まさかっ!ね、ミスコンに出zy、出場とか、とかはないはず...と言いたい...私は寒気を感じながら話の続きを言うように促した。
「そのミスコンに社さん出場してましたよ...」
優君は溜息を吐きながらそう答える。え、いや、いやいや...私が...?ミスコン...に出た?いやいやいや、ただの勘違いでしょ、勘違...い?今日の男子たちの行動はそれでどう説明する?私は...私は、本当に出てしまったのだろうか...?私は茫然と立ち尽くした。そして恐る恐る聞いた。
「結果って...?」
また優君は溜息を吐いた。
「本当に覚えてないとは思いませんでした。社さんは優勝でしたよ?とても喜んでいたのに寝たら今日には忘れてるんですか?記憶力をよくするガムあげましょうか?」
うっ...優君に毒舌を吐かれながら「下さい...」と呟く。そうすると優君は鞄の中から取り出して私に渡してくれた。その間も私が...?私が優勝...?と頭の中で"優勝"という言葉と"本当に?"という言葉がグルグルと回っている。
「ねぇ...もしかして私がミスコン?に参加したせいで今日はこんな事になってるの?」
「はい、そうですね。けど、悪い事ばっかりじゃないと思うよ。ミスコンのお陰で生徒会長の評判は右肩上がりですよ!!」
そう言って優君は言っているが、優君は少し寂しそうだった。けどさ...
「正直言って...全然嬉しく無いんだよね...」
「え...?今なんて言ったの?社さん。」
...「今日みたいな事があっても私は嬉しくない。」
「そう、なんだ。」
優君は困惑している。私を告白されたら喜ぶ派だと思っていたのかもしれない。あまりにも失礼だ。
「私はさ、生徒会長としての仕事をきちんとこなして...生活をしたいんだよね、普通の生徒のような。生徒会長は先輩の推薦によってなっちゃったけど...」
そう言って私は遠くを見る。
「僕は、社さんの事を生徒会長として見てました。今まで。だったら僕のような人と関わりたくないですよね...そしていらないですよね?」
「!?」
「そんな事言ったら駄目だよ!!この世にいらない人間はいないよ!」
反射的にそう言って手を掴んでしまった。
「!?」
「あ、ごめん!」
そう言って、私は手を離した。優君が少し照れくさそうにしていたが気のせいだろう。
「それにさ...」
私は話を続ける。少しニヤッと笑って、
「私のこんな面白くもなんともない話を誰が聞いてくれるの?優君の他に」
優君はなーんだという顔をしている。優君が口を開く。
「そういえばなんで社さん僕の事を『優君』って呼んでるんですか?」
私ははっとなる。幼少期の時に『優君』という子がいてそれが移っているみたいだ。
「ご、ごめん。幼稚園の時?かな、その時に優君っていう子がいて、ちょっと癖になってるみたい...」
「別にいいですよ(笑)後僕も社さんが大切ですよ。」
「え...?」
どういう事ですか...?
「僕の話を最後まで聴いてくれるのは社さんだけですから。」
そう言って私がさっき笑ったようにニヤッと笑った。私はつられて笑ってしまった。けっしてニヤニヤ笑ったわけではない。「フフッ...」と漏れてしまっただけだ。そうすると、藤井君も一緒につられて笑っている。藤井君も笑っているのに、
「何か変な事ありましたか?」
とあたふたしている。藤井君はやっぱり優しいな。
「あ、僕の家ここなので、社さんさようなら。」
「え?もう一回言って?」
私はそう聞いてしまった。
「あ、その、家ここなのでさようならって言いました。」
藤井君はきちんと返してくれた。いや、それよりか、
「私の家、藤井君の家の隣なんだけど...」
「「え!?どういうこと!?」」
藤井君とハモった。藤井君も知らなかったみたいだ。
「一個聞いてもいいかな?」
「別にいいですよ。」
流石に違うだろうけど、生徒数が1000人超のあそこなら有り得るかもしれない。
「中学校ってさもしかして啓林中だった?」
違うかな...?
「はい、啓林中でしたけど...社さんが何でそれ知ってるんですか?」
あってるのかい!自分で突っ込みを入れてしまった。知らなかったなぁ...
「社さん、もしかして小学校は秀学小でしたか?」
「え?何で知ってるの!?」
と話が盛り上がって行ってしまった。声が大きくなっていたのだろうが、家から親が出てきた。
「綾音うるさいわよっ!!...って優君じゃーん!」
「「え!?」」
「大きくなったわねー!」
中学校も小学校も一緒だったんだけど...と伝えると
「え!?じゃー今綾音何歳?」
「16だけど...」
「えーっとねぇー...3歳の時から一緒だったから...13年の付き合いだわー!」
「「え!?」」
再び声が重なった。
「あーそうそう、優君。綾ちゃんうるさいけどさ、よろしくねぇー!」
...そんな事言わないでよ...ちょっと恥ずかしいじゃん...
「え、あ、はい、分かりました。」
「後さ、二人がさ、苗字で呼び合ってると私が気になるからさ、綾音、優君、お互いの事"呼び捨て"で呼びなさい。」
「「分か(りました)った。」」
「素直でよろしい!」
はぁ...もう迷惑だからやめたげて...
「優君引き留めてごめんねー!綾ちゃんよろしく頼むね!」
「分かりました。」
そう言うと親は満足したように家の中に帰っていった。優君が
「綾音ってさ、あの綾音?」
いや、分からん分からん。
「まぁ...綾音だけど、どの綾音か分からない...」
「お互いの家行き来したり、公園で砂山作って遊んだりした綾音?」
砂山...?
「あ!優君だ!あれ!優君が私の初k.....いや、なんでもない。」
あっぶなー...
「ん?ちゃんと言いなよ綾音。後さ、"幼馴染"って事分かったから敬語(?)じゃなくてもいいよね(圧)」
別にどっちでもいいけど...
「優君が好きな方にしていいよ。」
胡麻化せた―...
「あ、そろそろ母さんに怒られるから俺帰るな。一人称変わったのは気にするなよ、明日から一緒に学校に登校しないか?」
「一緒に登校してくれるの!?ありがとう!」
「っツ...」
優君は顔が少し赤くなりながらも笑っていた。私はやっぱり優君が好きだ。大好きだ。
「じゃーね!」
「おう!じゃーな!」
そう言って私達はすぐ近くのそれぞれの家に帰った。案の定親がドアにくっついていて、少し驚いた。
「綾音やっぱり優君の事好きなんだー^^」
「ちょっと!心読まないで!」
私の親には私の心を読むという特技を持っている。私からしたらただの迷惑だ。
「優君と同じ学校で良かったわね!」
話逸らしたな...
「うん、結構嬉しい。けど、本当に優君かは確定が付いてないからちょっとな...」
「よし、アルバム持ってきてあげる☆」
え、あ、親は私の手を引っ張り、押し入れの前まで連れて行く。そして勢いよく押し入れの戸を開け、箱を開ける。その中から出てきたのは幼稚園の卒園アルバムだった。私の隣に立って写真に写っているのは正真正銘、隣の家の藤井優だった。面影が残っている。親はもう一つのアルバムを無言で渡してきた。その中に"婚姻届"とひらがなで書かれた紙に私と優君の名前が書かれていて二人ともが笑っている写真だった。親はニコニコと隣で笑っている。
「優...君」
無言の時が過ぎた。
この静かな時を遮ったのはインターホンの鳴る音だった。
「はーい!」
親...社 弥香は外に出て行った。
「優君は私の初恋の人...あの優君が...こんなに近くにいたの?」
嬉しい...アルバムを胸に抱えたまま私はじっとしていた。
そうしているとまた頭の中でプツンという何かが切れる音がまた聞こえた。
私は何をしていたんだ?ま、いっか。忘れるような事なんだからそんなに大事な事じゃないだろうし...
弥香はいつの間にか戻って来ていて「夜ご飯は何の気分かなぁー?」とか聞いてきた。私は答えないままおでん、おでんと心の中で唱えていた。弥香は考えているようだ。
「よーし!今日の夜はおでんにするぞー!!」
「やったぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
はっ...食べたいものを思い浮かべてたのが作られるけど、それは弥香が特技を使ったからで...
「そんなに嬉しいのー?」
私は無言で弥香を台所へと押した。「作り終わったら呼ぶわねー」と言っているのが聞こえる。
「テストの点数丸付け終わったら言うね。」
「楽しみにしてるわね。」
そう弥香がいい、私は苦笑いをする。先生に特別に貰ったテストも丸付けするのだが、そっちが心配だ。
「数学...っと...満点、言うことなし、理科...安定の満点かぁ...次は社会っと...99...復習対象...英語...98...復習対象...国語...99...漢字ぃ...」
私はいつもこんな感じだ。今日はいつもより出来が悪い。"4"点も落としてしまっている...
「弥香になんて伝えよう...満点が二つしかなかったら怒るかなぁ...」
ま、先生に貰ってたテストの方も丸付けるか...
「数学...これ高校3年生か...だからこんなに簡単だったのか...満点...解きごたえ無かったもんな(苦笑)理科...97...知らない問題で躓いたか...要復習...っと。因みに大学2年か。意外と簡単だな...英語...99...スペルミスか。死刑に値する(笑)大学1年...こっちも簡単だな...国語...満点...これ...先生渡しミスってる...高校3年生だ...明日先生にでも文句言うかなぁ...ま、忘れるしいっか。社会...95...なんでだよっ!大学2年の問題の問題で、95,97なんで取っちゃうの...?要復習&再テスト...ま、復習したらどうせ全部覚えるんだろうけどなぁ...」
「綾音ーおでん出来たわよ~早く食べに来なさい!」
「はーい」と軽く返事をして、私は階段を下りていく。今日の夜ご飯がおでんとか本当に嬉しいなぁ...幸せの極み...。「優君と一緒に食べたらもっと美味しいんだろうなぁ...」とぼんやり考えながらふわふわとした気持ちで降りていくのだった。
もちろん、テストはいつも満点教科の国語を1点落としていることを驚いているようだったが、ニコニコとしていたので、特に言いたいことはないのだろう。先生から貰った方のテストは凄く褒めてくれた。弥香が頭を撫でる度に私の顔がとろけていくのは言うまでもなかっただろうか...?
勉強方面は鋭い私だが日常生活や"恋愛"方面に妙に鈍い...らしい。
そして時々記憶..が途切れるのかな。時々今までの記憶とかが途切れ途切れになっている部分がある。その際にあった事は次の時...途切れる前にあったもう一つの人格の方では覚えている。
...まぁ、いっか。
別に私にはいつか分かるでしょ。
...おでん楽しみだなぁ
この後に待ち受けている事とは何なのだろうか...?そしてこの後に起こる出来事を能力てんせいを使いながら切り抜けていくことが出来るのだろうか...そして"空音"という少女は何なのだろうか?




