表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/213

068 ヒリュウ継嗣線(その4)



 「殺せ!」ジーノのかけ声とともに、八人の死闘が始まった。



 八人の(あいだ)にはおよそ三十四トゥカ(40.8メートル)ほどの距離がある。互いに相手を見据えながら駆け、()を詰める。



 半分を切った、あと十六トゥカ(19.2メートル)ほどでぶつかる。なのに突然――ステラが立ち止まった。



 それと同時に、ジョルジョがアンナたちの前を斜めに疾走してチロの正面に、アンナはジョルジョの位置にずれてフランコの正面、グレタはリザイアとジーノの間に、全員が移動をした。



 しかも、アンナとステラとグレタは、移動しながら瞬時に、互いが持っている武器を交換している――



 この入れ替えは、あらかじめ決めておいた対戦パターンの一つである。



 ルキウスとフェリシアからジーノたち四人の情報を訊き、それを元にジョルジョが戦術を組み上げたのだ。



 「おまえら!」ジーノが歯噛みをするが、もう遅い。


 




 フランコの前に立つのはホースマンズ・フレイルを持ったアンナ。



 「……」言葉をなくすフランコ。どうしたらいいかわからずにジーノを見る。



 「()れ! 殺らなきゃ俺がお前を(ころ)す! ()れ!」視線に気づいたのかジーノが怒鳴る。



 (……そんな…………いたく、ないように……しないと……)



 フランコはウォーハンマーを手放した。



 「ちょっとあんた! 武器を手放してもアンナは手加減しないわよ!」



 (……か、かるくたたく、だけ……かるく……)自分に言い聞かせるよう心の中で唱えるフランコ。



 「すぅー」フランコはゆっくりと息を吸い込み、覚悟を決めた。



 (ごめんね、ごめんね……)心の中で何度も謝りながら前に出る。

 


 アンナの頬を叩いて気絶させよう。それがフランコの出した答えだ。



 確かに、ジョルジョにも匹敵する大男のフランコが、アンナのような華奢で小柄な少女を張り倒せば、気絶するかもしれない。



 アンナが、見た目通りなら――



 「なめんじゃない!」



 アンナは、ゆっくりと距離を詰めるフランコの(ふところ)に素早く自ら飛び込み、武器を手放しながらクルリと背中を向けた。



 (……えっ?)状況を飲み込めないフランコ。



 フランコに背中を向けながらもアンナは、右手でフランコの肘に近い右前腕を、左手でフランコの右手首を掴んでいた。



 前進を停めていなかったフランコがアンナの背中に、トンっ、と軽く触れる――



 「アリアをいじめたお返しよ!」



 怒鳴りながらアンナは、体をスゥーっと前に折り曲げて背中にフランコを背負い――投げた!



 「がぶぅっ――」顔面から地面に叩きつけられたフランコ。口から意味不明な声が漏れる……



 ――アンナがフランコの体から離れる。



 どさっ!



 顔で逆立ちをしていたフランコがゆっくりと、地面に倒れた……



 フランコは、ピクリとも動かない。



 「……あれ? やりすぎた?」



 ちょっと心配になったアンナが、うつ伏せで倒れているフランコに近づき、「よいしょっ」と仰向けに返す。



 「うわっ⁉ 顔ひど。いったそ」と言って眉をひそめる。



 これ誰がやったの? って顔でアンナは言ってるが、アンナだよ! と、アリアがいたらツッコんでただろう。



 うわぁー、とか言いながらアンナはフランコの胸にこわごわと耳を当てる。



 『ドックン、ドックン――』



 「よし、生きてる! セーフ」



 そう言うとアンナは、立ち上がってフランコを指差し――



 「あんたたちが悪いのよ! お返し!」



 と、決めゼリフ? を残してフランコに背を向け、「アリアー!」と叫びながら駆けていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ