047 新しい能力の情報(その2)
祭祀殿や祭祀舎には、竜眼主や継嗣戦に関する過去の資料が保管されており、誰でも自由に閲覧ができる。これは日ミツル半世界に住む者ならば誰もが知っていることだ。
リュウオンシが〈知識〉であるジーノにとって、調べものは最も得意とする作業である。膨大な資料の中からおさえるべきポイントを効率よく抜き出し、一日もかけずに当面必要と思われる知識のほとんどを習得することができた。
だが、どれだけ探してもはっきりしないこともあった。例えば、感知範囲についてなら、『概ね街一つ分程度』と書かれた資料しか見つからなかった。
それだけではない、他の能力についても距離や数量といった数値的な部分は、全て記述が曖昧なのである。
引き続き色々と調べてみるとある資料に、
『――リュウ継嗣になるための儀式であるヒリュウ継嗣戦には二つの段階がある。
第一段階は、日ミツル半世界全土を使った遭遇戦である。この段階で、最初に覚醒したウラ・リュウオンシ〈サクセイ〉を、まず〈ソウシュツ〉に進化させねばならない。
第二段階は、〈サクセイ〉を〈ソウシュツ〉に進化させた者だけで行う最終戦で、これに勝利した者がヒリュウ霊に認められるとウラ・リュウオンシ〈ソウゾウ〉が与えられる――
(中略)
――竜眼覚醒時の〈サクセイ〉の力(レベル)は、覚醒者自身の元々のリュウオンシと同等か少し高い程度であり、ウラ・リュウオンシを進化させるには〈サクセイ〉の力を上限まで上げる必要がある。
その方法は二つあり、一つはリュウオンシと同じく修練を重ねることで力を上げる方法だ。
しかし、この方法で〈サクセイ〉を〈ソウシュツ〉に進化させるには果てしない時間がかかってしまい、数年しかないヒリュウ継嗣戦の間ではまず不可能と考えられる。
もう一つは、他の竜眼主から力を奪い、自身の中に取り込むことで力を上げる方法だ。
力が増す程度は、奪った相手の力に依存するため、力の高い竜眼主から奪えばそれだけ早く力を上げることができ〈ソウシュツ〉への進化も早まる。
これは竜眼覚醒時に得た他の能力の力についても同じである――』
と記載されていた。
どうやら、ここに書かれていることが、数値的な部分が曖昧な表現になっている理由といえそうだ。
すなわち、新しく得た能力の数値的な部分に固定した値はないのだ。
竜眼覚醒時点のそれぞれの能力の数値的な部分は、その時点のリュウオンシの力(レベル)に対応した値になる。
そして覚醒後は、竜眼主の力の上昇に比例して、それぞれの能力の数値的な部分も変動する、ということだ。
感知範囲をそれにあてはめると、竜眼が覚醒した時点の感知範囲は、その時点の竜眼主の力に対応した広さになる。
そしてその後は、竜眼主の力の上昇にともない感知できる範囲も比例して広がる。
だから曖昧にしか表現できない。と理解するのが妥当であろう。
(そういうことか……)
とは思うものの、それで素直に納得できるか、というと正直不満は残る。だが、出来ないことに文句を言っても仕方がない。
やむを得ないのでジーノは、探索範囲を絞り込むのを諦めて、王都全域を探索することに決めた。




