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041 覚醒(その3)



 「おい、起きろ!」



 ジーノは、寝ている三人を順に蹴飛ばす。



 「ふわぁぁ、もうちょい寝かせて……」などと起きようとしない三人。



 「チッ。しゃあねぇ」



 ジーノは目を閉じてから数回、ゆっくりと呼吸をした。そして、目を開く、金色の瞳の目を。



 「起きろ、俺の衛士ども!」



 ジーノの言葉と共に、三人はバネじかけの人形のように飛び起きた。



 「あっ、えっ、なに?」



 三人は、突然立ち上がった自分に驚き、慌てて周囲を見回す。



 「フフッ。効くな。よし、いける」ジーノは飛び起きた三人の姿を見て一人で喜んでいる。



 「えっ? ジーノ、どうした?」いまだ夢覚めやらぬのか、チロが寝ぼけ眼をこすりながら訊く。



 「おい、おめえら。よく聞け。俺らは冒険者を辞める」



 「はぁ? ジ、ジーノ、何言ってんだ?

辞めてどうすんだよ。どうやって食ってくんだ。俺、し、借金あんだぞ」リザイアが慌てて訊き直す。



 「金なら心配すんな。作れる」



 ジーノは「見てろ」と小さく笑うと、両の手を開いて何も持っていないことを見せてから「おい、右手に小銀貨を載せろ」と指示をした。



 「返せよ」と言いながらチロがジーノの右手に小銀貨を載せると、ジーノは両方の手を握って目を閉じ、「ムウゥゥッ」と力むような声をあげる。



 そのまま動かなくなったジーノは、何かを念じているのか、眉間には深い皺が刻まれ、額には汗が浮かんでいる。



 「はぁーっ」



 二シィ(二分半)ほどが経ち、脱力したようにジーノが目を開く。



 「見ろ」



 ジーノが左手をゆっくり開くと、そこには小銀貨が一枚載っていた。



 「それって俺が置いたやつじゃないの?」と訊くチロ。



 ニヤリと笑ってジーノが右手を開いた。



 「あぁっ!」三人から驚きの声があがる。当然だ、ジーノの両の手のひらにはそれぞれ小銀貨が一枚ずつ載っているのだ。



 「あ、兄貴、手品?」目を皿のように開いてフランコが訊く。



 「ちげえよ。作ったんだ。俺が。見ろ、俺の目を」と言ってジーノは三人に顔を突き出した。



 「きん、いろ?」と呟くリザイア。



 「意味がわかるか? 俺は、竜眼主になった」



 竜眼主になったジーノは間違いなく小銀貨を自分で作ったのである。新たに覚醒したウラ・リュウオンシ〈サクセイ〉の力を使って。



 〈サクセイ〉の力はリュウ継嗣に与えられる〈ソウゾウ〉の力よりもはるかに低い。しかし、新たに作りたいものを明確にイメージしながら〈サクセイ〉を発動させると無から有を作りだすことができる。



 また、その際自身にもともと与えられているリュウオンシを一緒に発動させたり、そのリュウオンシから得たものをイメージに組み合わせて〈サクセイ〉を発動させると、より質の高いものを作り出すことができる。



 ジーノが元々持っているリュウオンシは〈知識〉である。ジーノは自分が知っている銀の知識と、銀貨の鋳造方法や含有率などの知識、それに小銀貨そのものの正確なイメージを合わせて新たに小銀貨を作り出したのだ。



 「おめえらも聞いたことがあるだろう。竜眼主は自分で想像したものを作れるって。俺が作った銀貨は本物だ。ほらよ」ジーノはチロに小銀貨を二枚とも渡す。



 まだ信じられないという顔をしている三人にジーノは「両替商で大銅貨に替えてこいよ」と言った。




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