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037 ダーメーでーすー!



 「ルキウスくん、この方どなたなんですか?」とグレタが尋ねる。



 「フェリシア・F・オーウェン。昨日来ていたオスカーの娘です」



 (えっ? マスター・オスカーの娘さん? 貴族令嬢なの? これで? メイド服着てるし?)



  昨日アウラたちが帰るとき、ジョルジョがオスカーに「マスター・ランスのオスカー様ですよね?」と言って握手を求めていたので、グレタがルキウスに詳しく訊くと、オスカーは使用人ではなく同居人で、子爵位を持つ貴族だと教えてくれた。



 「ごめん。……さっきは言い過ぎた」とルキウスが謝っているのに、いつまでもメソメソと泣いている姿は親に叱られていじけている子供のようで、とても子爵令嬢には思えない。



 などとグレタが黙考していると……



 「まぁ、なんて素晴らしいんでしょう」とアウラの手紙を読んでいたステラが喜びの声を上げた。



 「お嬢さま、どうかなさいましたか?」



 「グレタさん。アウラ様から、フェリシアさんも住み込みで使って下さい、って。フェリシアさんは凄いんです。家事はなんでもできて、料理も得意なんですって。調理場に人が欲しかったんですぅ」



 「なっ! ダーメーでーすー! 何を喜んでいるんですか? 私はルキウスくんだってまだ認めてません。少しはお立場を考えて自重なさって下さい。だいたい、家事ができるぐらいではお店では通用しません」



 「えーっ、アーたちは賛成だよぉ。フェリシアお姉ちゃん、面白いし、遊んでくれるしぃ」



 (なっ、この娘たち、いつの間に手懐けられたの?)ウヌヌヌヌ、とグレタがフェリシアを睨む。



 「あっ、それなら心配ないですよ。フェリスはエデュカティオに通っているとき、宿屋や料理店で一時期働いていたんです。だから、調理場でもホールでも何でもできると思います」とルキウス。



 「お嬢、それは凄い。即戦力です。昼の営業からお願いしましょうよ」と、ステラに続いて調理場から出ていたジョルジョも賛成をする。



 (うっ、なんか嫌な予感がする……)昨日の悪夢がグレタの頭をよぎる。



 「や、宿屋や料理店で働いていたとしても料理を担当していたとは限らないじゃないですか? いかがなのですかデリシェット子爵令嬢?」と丁寧に質問をするグレタ。



 「……デリシェット子爵令嬢? 誰のことですか?」しらっとした顔で問い返すフェリシア。 



 「えっ? あ、貴方様のことですが」



 「わたしは、デリシェット子爵令嬢なる者ではありません! わたしは、ルキウス様専属のお世話係。ルキウス様のおはようからおやすみまでと、おやすみからおはようまでの全てをお世話する者。そう、ルキウス様専用フェリシアとお呼び下さい!」



 (…………バカ、なの?)




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