025 あんた面白い娘さんじゃね
「えっ? ……それは何なのかね?」
突然現れたお面の娘を呆然と見つめるアウラ。
「えーと、あの、ウンボロゴロスの仮面です。……あら? グレタさん、こちらのお方は?」
「ルキウス・レオーネ様の御祖母様でアウラ・レオーネ様です。昨日のお詫びに来られたそうです」
お面を被ったステラの姿に軽い目眩を感じながら、グレタが答える。
「お詫び? 何のでしょう?」
小首を傾げて、何の? という感じをかもし出すお面の娘。
「ああぁ、えぇー、あなたさんが店主さんですかな?」
一応確認するアウラ。
「はい。店主のステラ・アクアフィリアと申します」と丁寧に頭を下げる。
「いやいやいや、頭を上げて下され。今日は詫びに参ったんでな。ほれ」
アウラが声をかけると老紳士が手を引いてルキウスをアウラの横に並べた。
「あの、ステラさん。また僕……あ、あの、気を失った、て、あの……本当に、本当に申し訳ありませんでした」
目隠しをしたルキウスが直角どころか、床に頭を打ちつけるかの勢いで頭を下げた。
それに続いてアウラと老紳士も深く頭を下げる。
「ほんとにもう、どう謝っていいかわからなくて。申し訳ありません。ほんとにほんとにすいません。あの、僕、なんでもします。どんなことでも言って下さい。なんでもやりますから」と頭を下げたままステラに申し出る。
「えーとぉ、その話は昨日終わりましたから。もう、いいんですよ。わたしは気にしていません。ほら、見て下さい。元気です」
お面の娘は両腕を横に広げて直角に曲げると手を握り、どうだ、と言わんばかりに胸を張る。
(お嬢さま。ちょっと違うのでは?)グレタがステラを見て小さくため息をつく。
「いや、でもその。僕また最後に……た、倒れたから」本当に情けない、ルキウスは穴を掘って隠れたいぐらいに恥じていた。
「あぁ、はいっ。あのあとフェリシアさんたちが連れて帰られたのですが、大丈夫なのかと心配しておりました。なので、こうして元気なお姿を見られて安心しました。あっ、でも、その目隠しはどうなさったのですか? 目が痛いのなら、わたしでよければ診させていただきますが?」
どうされました? と心配気な仕草でルキウスに尋ねるお面の娘。
二人のやり取りを見ていたアウラはお面の娘に興味を持ったのか、ふっ、と小さく笑う。
「ふぅむ、あんた面白い娘さんじゃね。勝手に押しかけといてなんじゃが、もしよければ少しこの婆さんと茶でも飲みながら話をせんかね?」
「いえ、あの」
「まぁ、それは素晴らしいです。ルキウスさんの目も診たいですし、お時間がよろしければ是非」
グレタは止めようとしたのだが、ちょっと空気が読めないお面の娘が、何かウキウキとした雰囲気を発して、了承をしてしまった。




