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019 ルキウスとステラ(その4)



 ルキウスとジーノたちのプグナにその日の売上全てを賭け、一人勝ちしたお面の娘ステラ。



 「どうです、わたしすごくないですか」と店の従業員らしき大柄の男性に自慢をしているが、男性の顔はそうとう引き攣っている。それはそうであろう、昼営業分だけとはいえ、売上全部を賭けるなんて……



 でも、その横では「スぅ姉さま、すごーい!」と双子らしき少女たちが嬉しそうに拍手をし、お面の娘はますます調子にのっていた。



 打って変わってセイバーズの面々は、喧嘩を止めないんだ、賭けにのるんだ、しかも売上全部って、と呆然としていた。



 「あっそうだ。今日助けていただいたアリアがレオーネ様にお礼を言いたいそうなんです」



 お面の娘ステラが双子の少女の一人を手招きしながらルキウスに告げる。



 「えっ? ああっ」



 突然の話題転換にあわてるルキウスの前に、髪の右側にサクランボの髪飾りをつけた女の子が立った。



 左隣には全く同じ顔だが髪の左側にサクランボの髪飾りをつけた女の子が並んでいる。



(……どっちかな?)



 目を左右にキョロキョロさせているルキウスに「はい。わたしがアリア」と髪の右側に髪飾りをつけた向かって左側の少女が手を上げた。



 「今日は危ないところを助けてくれて」



 「ちょっと。『助けていただき』だよ」と髪の左側に髪飾りをつけた少女が小声でアリアを注意する。



 アリアは、しまった、という顔をしてから、ペロッ、と下を出し、えへへ、と照れ笑いをする。



 そして「えっとぉ。ごめんなさい。言い直します」と言ってペコリと頭を下げ、「今日は危ないところを助けていただき本当にありがとうございます。とても嬉しかったです」とお礼を述べて頭を深く下げた。



 それに続くように「姉を助けていただきありがとうございます。感謝いたします」と左側に髪飾りをつけた少女もお礼を述べ、アリアと一緒に頭を下げる。



 「いや、全然たいしたことしてないし。それより、けがはもう大丈夫なの?」



 「うん、スぅ姉さまがすぐに治してくれたから平気だよ」



 アリアは、ジーノに捻り上げられていた腕を上げて、ほらほら、とルキウスに見せる。



 「あの、失礼いたします」



 突然声をかけられてルキウスがそちらに目を向けると、さきほどお面の娘ステラと話していた大柄の男性がルキウスの前に進み出た。



 (大きい)



 ルキウスよりも頭一つは優に大きいその男性は、ルキウスの前に跪くと頭を下げた。



 「わたしは、ジョルジョ・コスタと申します。本日は我が娘アリアをお助け下さり心より感謝をいたします」



 「いやいや。ほんと大したことはしてないんで。や、止めて下さい」



 貴族か騎士にするような礼をされたルキウスは慌てて男性に立ってくれ、と頼む。



 「いえ、とんでもございません。アリアが襲われたとき、わたしは調理場にいてすぐに気づきませんでした。あなたに助けていただいたあとも、本来ならばあなたに加勢すべきところをアリアを優先し、出遅れてしまいました。この御恩は一生忘れません。わたしごときにできることがございましたら、何なりとお申しつけ下さい。誠心誠意努めさせていただきます」



 (こりゃまた丁寧過ぎるなぁ。どうしよう)



 正直ここまでされると、逆に申し訳なく思ってしまう。



 「い、いやぁまいったなぁ。あのぉ、うーん……。あっ。なら、まず、立って下さい。ね、立ちましょう」



 いや、しかし、などと躊躇するジョルジョ。



 「おい、ジョールジョよぉ。おめぇよぉ真面目すぎんだよ。ルキウスはなぁ、んなこといちいち気にしちゃいねえっての。おめぇはほんと面倒くせえな。ルキウスにうめえ料理作って食わしてやれよ。そんで全部オーケー。なっ、ルキウス?」



 銀髪のヒヨリ=ツキノが跪くジョルジョの肩に腕を回し、頭をピタピタ叩きながら言うと、突然髪が金髪に変わった。



 「そうよ。あなたの焼いたお肉、いつも美味しいわ。わたし好き。だからルキウスもきっと好きよ」



 「そ、そうです。今度美味しい料理を作って下さい。そうだ! 前祝い、ここでグールヒポダイルを退治した前祝いをすることになっていたんです。だから、その、美味しい料理をお願いします」



 そう言ってルキウスは、ジョルジョに手を差し出す。


 ジョルジョは、小さく笑うと、お任せ下さい、と言ってルキウスの手を取り立ち上がる。



 (やっぱでかい)



 すぐ目の前に立つジョルジョの威圧感は半端ない。



 (こんな大きな体なのに料理人なんだ。もったいないなぁ)



 「わたしアンナ」



 ルキウスがジョルジョを見上げていると、ジョルジョの後ろから髪の左側にサクランボの髪飾りをつけた少女が、顔を覗かせて笑顔を向ける。



 その反対側には同じ顔をしたアリアがいて、「これからよろしくね。ルキウスお兄ちゃん」と二人が同時にルキウスに告げた。



 「ああ、よろしくね」



 可愛らしい双子の姉妹にルキウスも思わず頬が緩む。



 「ち、小さい女の子は適用外にしておきます」



 フェリシアがちょっと(むく)れながら双子を見て言うのだが、適用外とはなんなのであろうか。




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