表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/213

013 駆け出し冒険者、喧嘩をする(その8)



 「きゃあー! ルキウス様のリュウオンシですぅ。速いぃ、ステキー!」



 フェリシアが激しく手を叩きながら、全くもって場にそぐわない素っ頓狂な声を上げる。



 さっき、ルキウスの左腿に走った激痛は、チロが指で弾いた小指の爪半分程度の鉄球が当たったからである。



 チロのリュウオンシは〈弾く〉。そのものズバリで、指で物を弾くととてつもない勢いで標的を貫く。二トゥカ(二メートル四十センチ)程度の距離ならば、厚さ一シーン(三センチ)ぐらいの木の板を貫ける。



 そんな鉄球を不意打ちされてはたまったものではない。思わず体が傾いてしまったが、瞬間的にリュウオンシ〈速さ〉を発動させて体勢を立て直した。そして、周囲を見回すと、フランコがウォーハンマーを振り下ろそうとしていたのだ。



 ルキウスは瞬時にフランコの正面に移動し、みぞおちに拳を打ち込んで昏倒させた。そしてすぐにチロの前に移動して、鉄球を持っている両手を封じたのだ。



 (こ、こんなにも、速いのか?)



 チロはジーノが手を伸ばせば触れられるぐらいの距離にいる。それなのに、チロが声を上げるまで全く気づかなかった。



 「はっ、はなせ! はなせ! ひきょうだぞ、てめぇ!」



 ルキウスから逃れようとチロが激しく暴れる。



 「何が卑怯なのかわかりませんが、あなたに卑怯と言われるのは心外なので放します」



 そう言ってルキウスは、チロの手を放した。



 だが、暴れていたチロは突然解放されてバランスを崩し、ルキウスのほうに倒れこんできた。



 「あなた邪魔です」



 そう言うとルキウスは、倒れこんできたチロの髪の毛を掴んで顔を上に向け、顔の真ん中に頭突きをくらわした。



 「ぐわっぷっ」わけの分からぬ声を上げ、チロはルキウスの足元に崩れ落ちた。



 「残るはあなたがた二人ですね」



 不敵な笑みを浮かべるルキウス。


 ジーノは焦っていた。四対一なら絶対に勝てると思っていた。



 ルキウスのリュウオンシは本人から聞いて知っていた。だが、見たことはなかった。



 だからジーノは、他の奴らより足が速い程度、としか想像していなかった。



 だが、ルキウスの速さは想像など及びもしない、常人の域をはるかに超えたものであった。



 (まずい……)



 ジーノの額を冷たい汗が伝い目の中に入る。だが拭う余裕などない。戦斧クレセントアックスを握る手にも汗が溢れ、さっきから何度も握りなおしているがどうにも気持ちが悪い。



 左隣にいるリザイアを横目で見ると、剣鉈を大きくしたようなファルシオンを持ってはいるが、完全にルキウスに飲まれて腰が引けている。



 (ま、負けてたまるか。あのときの恨みを晴らしてやる――)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ