000 プロローグ
★ 23/1/31『後書き』を追加いたしました。
日ミツル半世界には夜がない……
千年紀を十積み上げたよりも古には夜があった。
昼を統べるのはヒリュウ、夜を統べるのはゲツリュウ。
交互に行き交う聖なる竜が昼と夜をもたらしていた。
あるとき、世界のある場所で争いが起きた。地上の争いだった。
空にいる竜たちは、それを見ながらも、ただ昼と夜を繰り返し続けた。
争いは海に広がった。
それでも空にいる竜たちは昼と夜を繰り返した。
あるとき、空が火に覆われた。
竜の空が穢された。
竜たちは怒った。
そして世界の全てが争いに巻き込まれた。
長きに渡る争いは全てのものを狂わせ、竜同士さえもが争うようになった。
やがて人の子たちも二つに分かれた。
ヒリュウに庇護されし子たちとゲツリュウに庇護されし子たちに……
争いは長く長く続いた。
多くの人と生き物が死に、陸も海も空も世界の全てが荒廃した。
竜たちも傷つき力が尽きかけていた。
世界はこのまま滅びてしまうのか――誰もがそう思ったとき、ヒリュウは最後の力を振り絞り世界を半分に割った。
そして世界の片方に、ゲツリュウとその庇護されし子らを閉じ込めて封印を施した……我が身を犠牲にして。
それが一万年前……
世界の半分から――夜はなくなった……
◆千年暦九九六年
ハヅの月三日
アカツキの四十四(午前四時五十五分)
竜ショウ国ヒリュウ祭祀殿(竜宮)
霊代の巫女によるヒリュウの御霊のご霊言大宣布式
「聞け、日ミツル半世界の全ての民よ。これより、我らが庇護者、ヒリュウの御霊が降ろされたご霊言を伝えるゆえ、心せよ」
『我が身が朽ちて十を数える千年に終日のときが迫り、新たな千年の開闢を迎えるときがきた。
古き千年に溜まりし悪しきものは捨て、新たなる世に相応しき良きものを持て。
現し世を常世と変えるは我が庇護の子の力。
我はそなたらに未来を託す。
故に我が力の種子を与えよう。
芽吹かせよ、育てよ、咲かせよ。
次なる千年を創造せし、我を嗣ぐ子へと進化せよ。
そして、ヒリュウの礎に自らの意志を注ぐのだ。
さすれば、新たなる千年は、我が継嗣の意志に従うであろう』
「我らがヒリュウの御霊は、貴人の子になれと申された。
力を覚醒せし者は、立たねばならぬ。
次なる千年を創りし継嗣へと進化を遂げるのだ。
この半世界を駆け巡れ、戦え、死力を尽くせ。
己が魂をヒリュウの血で燃やし、勝ち上がるのだ。
我、霊代の巫女がここに宣言する――ヒリュウ継嗣戦の始まりを」
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