プロローグ
僕はダメだ。何をやってもうまくいかない。上司に怒られ、悲しみの渦へと飲み込まれる。
そんなことなら、もうここで。
僕は、橋の上に立つ。
「さよなら、僕はどうしてだめな人間なんだろう。うぅ」
僕は泣きながら、橋から身を投げた。
心のなかでは死ぬんだ、もう、終わりだ。もっと楽しいこともあったんだろうって思う。
「さよなら、来世は普通の人生を送りたいな」
そうつぶやき、僕の記憶は途絶えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・ーい」
ううん、誰かの声?
「大丈夫?」
僕は目を覚ますと、そこには女の子が。キレイな黒い色の短い髪に、ほそぼそとした体格。それと服は何だか、獣の皮を使ったような感じ。
どうやら、僕は女の子にひざ枕されてたみたいだ。
「は!」
僕は女の子から距離をとる、そして自分の体を見る。
手も足もある、顔も、僕は確か死んだはず?まさか、生きていたのか?
「あの、大丈夫ですか?」
女の子が心配そうに見つめる。
「あ、ああ。ごめんね。直ぐにどこかに行くから」
と言い辺りを見渡すと、そこは
全く知らない世界だった。 は?
「ここは日本か?いや、日本にこんな場所なかったよな?
う~ん、僕は夢を見てるのか?そうなのか?分からんけど」
僕は自分の頬をつねる。
イタ!
痛みがある。ここは夢ではない。ということは?
「あの、本当に大丈夫ですか?先程から頭おかしい人に見えますが」
女の子はそう僕に言った。
あ、頭おかしい?まぁ、ぐうの音も出ねぇ。
「あ、ごめんなさい。状況を知りたくて。
ここはどこですか?」
僕は女の子に言う。
「ここは、フワっ島だよ。お兄さん見た感じここの島の人じゃないよね。
旅人?」
女の子はそう答える。
旅人?僕は普通の社会人だけど。
「あの、旅人では無いです。それに、なんですか?フワっ島?ふざけてます?」
僕は女の子に近づく。
「ふ、ふざけてなんかいません!」
女の子は少し泣きそうな顔をする。
え、少し近づいただけで?
「まぁ、信じるとして、日本に行きたいんだけど。空港とか、タクシー乗り場とか案内できる?」
僕が女の子に聞く。
「くうこう?たくしーのりば?」
女の子はよくわかってない様子。
え?このくらい歳なら空港くらいは分かると思うんだけど。
「じ、じゃあ、バスは?バス乗り場は知ってるでしょ?」
僕はバスの事を聞く。
流石にバスは分かるよね。
「ばす?」
女の子はバスもわからないようだ。
一体どうなってるんだ?バスもタクシーも空港も知らないなんて。
ここがとてつもないど田舎なのか?いや、ど田舎だとしても、バスやタクシーは分かるはずだ。
「ちょっと待って、ここ日本だよね?」
僕は一番知りたいことを聞く。
「にほん?何?2つ何かいるの?」
女の子に通じていない。
ま、ま、まさか!日本を知らないなんて。ぼ、僕は何処に来たんだ?
「ここはどこ?」
僕が聞く。
「だから、フワっ島だって言ってるじゃん」
女の子は頬を膨らまして僕に言っている。
「わ、分かったよ、信じる」
僕は女の子に向かって言った。
「じゃあ、案内するね。来て」
僕は女の子のちいさな手を繋ぎ、女の子がこの島の事を案内してくれるそうだ。
それにしても小さい手。かわいい。
この時、誰もが思う事がある。こいつ、ロリコンか?と。
僕は女の子に案内されるがまま着いていくとなんと村があった。
「え?村じゃん。村があるんだ」
僕は唐突な感想を言う。
だってそれしか思いつかなかったんだ。
「あるよ、ここが私が暮らしているココ村だよ。かわいい名前でしょ」
女の子は自信満々に僕に言う。
「そ、そうなんだ。かわいいね、それよりも中はどうなっているの?」
僕は作り笑顔で女の子に向かって言った。
「いいよ」
僕は女の子に引っ張られ、村の中へと入っていった。
村の中
「おかえり今日もいっぱい遊んだかい?」
おばさんが女の子に向かって言った。
「うん。いっぱい遊んだ」
女の子は嬉しそうにしている。
「それで、あんたは誰だい?」
おばさんがこちらをギロッと見る。
僕はピクッとしながらも
「この女の子に案内されている遥人と言う者です」
僕はおばさんに向かって言った。
すると、
「あははは、そんなにかしこまらなくていいよ。私の名は、ココ・ババだ。ココさんって呼ばれてるから、あんたもこれからはココさんって呼んでくれ」
ココさんは、僕に向かって言い自分の仕事に戻る。
「おばさん、面白いでしょ。あ、私の名前言うの忘れてた。
私の名前は、フリル・フローラだよ。フローラって呼ばれているよ」
女の子はフローラと言うそうだ。
ここで、バカ僕でも察してしまった。そう僕は、異世界転移してしまったのだ。
嘘だろ、異世界転移ってあの漫画とかアニメとかであるあれでしょ。
まじかよ。
なんと遥人は異世界転移してしまったのだ。これからどうなるんだろう。