第2話 追放、というより避難?
失踪してました申し訳ありません。それもこれもレポートとテストが悪い。
皆さん、あけましておめでとうございます!これからものんびり投稿していきます。今年もよろしくお願いします!
他の人たちのステータスはこんな感じだった。
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掌拳 《拳闘士》 Lv.1
HP 550 攻撃 1500 防御 900
魔力 300 魔法防御 900 筋力 600
スキル
拳闘士の誓い:武器を使用しない戦闘の際、ステータ
スの実数値に2.5倍の補正をかける。
言語理解 :この世のあらゆる言語が理解できる。
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荒木藍那 《狂戦士》 Lv.1
HP 350 攻撃 2500 防御 150
魔力 600 魔法防御 200 筋力 500
スキル
狂戦士の魂:防御系の実数値を半分にする代わりに攻
撃系の実数値に3倍の補正をかける。
言語理解 :この世のあらゆる言語が理解できる。
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内藤柊叶 《守護騎士》 LV.1
HP 600 攻撃 300 防御 1000
魔力 200 魔法防御 1000 筋力 400
スキル
守護騎士の誇り:防御系の実数値に2倍の補正をかける
守護結界 :結界を張る。耐久値は自分のHPに依
存する。
言語理解 :この世のあらゆる言語が理解できる。
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復田健治 《回復者》 Lv.1
HP 600 攻撃 200 防御 500
魔力 1000 魔法防御 600 筋力 200
スキル
回復者の祈り:回復系魔法に限り魔力を消費しない。
魔力増幅 :魔力の実数値に2倍の補正をかける。
言語理解 :この世のあらゆる言語が理解できる。
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復田癒衣 《回復者》 Lv.1
HP 600 攻撃 200 防御 500
魔力 1000 魔法防御 600 筋力 200
スキル
回復者の祈り:回復系魔法に限り魔力を消費しない。
魔力増幅 :魔力の実数値に2倍の補正をかける。
言語理解 :この世のあらゆる言語が理解できる。
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みんな強いなあ。それに比べて僕は……。
「弱いなあ。」
「翔、そんなに気にするなって!」
「気にするよ……。0ってなんだよ0って。」
こんな時にも勇はボクを励ましてくれる。嬉しい限りだ。
それにしてもやっぱり《愚か者》という職業が気になる。それから見ることができないスキルも。どれだけ考えても身に覚えがないのだ。これらはいずれわかっていくもの……なのかな?
周りを見るとステータス以外のことに興味を向けているらしかった。
「うわあすっごい眺め!ほんとに異世界に来たんだなぁ!マ~ジでテンション上がる⤴︎!」
「あいなぁ!ホントに恥ずかしいから子供みたいなマネしないでよぉ!」
ショートボブにメガネの人が荒木藍那さん、おさげに結んでいる人が内藤柊叶さんだ。二人とも同じセーラー服を着ている。
荒木さんは落ちるのではないかというくらい窓から身を乗り出している。あの様子を見る限り、内藤さんはいつもあんな感じに振り回されているのだろう。
窓の外はオレンジ色になっていて、元の世界とこの世界の時間が全く違うのがよくわかる。
「癒衣!このお菓子美味しいぞ!どうだ?」
「お兄ちゃんは何でそんなに楽観的なの!?すこしはこう……焦ったりとかしないわけ!?学校にも行けなくなったのに!お兄ちゃんは大学の単位とかどうするのさ!」
「大……学……?単……位……。」
「あっ!ごめんお兄ちゃん!謝るから泡吹くのはやめて!」
私服で短い茶髪の男性が復田健治さん、その隣にいる紺色のセーラー服を着た黒髪ストレートの女の子が妹の復田癒衣さんだ。
どうやら健治さんは大学生らしい。ていうか単位は自分で決めるか先生が決めるかの違いなだけで僕たちも同じだと思うんだけど……。
「うーん……。やっぱりGPSも反応しない……。本当に異世界なのか、ここは……?」
部屋の隅で項垂れている大柄の男性が掌拳さん。掌はそれだけで「たなうら」って読むこともあるんだなあ。
その時、部屋の扉があけられ、鎧を着こんだ兵士さんがやってきた。
「王がお呼びです。ついてきてください。」
☆・☆・☆
連れて行かれた先は、さっきの部屋を召喚の間とするなら、王座の間、というべき場所だった。赤いマントに身を包み、王冠を被ったいわゆる王様というような男性が豪華な椅子に座っている。王様とは言うが、まだ年若いように見える。
「突然の召喚、申し訳なく思う。まずはこの世界の現状を説明しよう。あちらを見ろ。」
王様がそう言って指さした先には、天高くそびえたつ山があった。いや、もはや壁と言って差し支えないだろう。その頂を見ることはできず、もちろんその向こう側は見えない。薄くもやがかかっているように見え、ここからどれだけ遠いかがわかる。
「この世界はここ、王都を中心として町や村が存在している。そして今見せたあの聖山を境に、向こう側は魔族が棲む領土となっている。人間と魔族は互いに交わることなく平和に暮らしてきた。しかし、最近になってこちら側に魔族が攻め込むようになってきたのだ。理由はわからない。ステータスは強き者で平均700程度、ほとんどが大した魔法も扱えない人間にとって、これは脅威となった。だからこの襲撃に対する手段として君たちを呼び寄せたのだ。どうか、私たちに協力してほしい。」
王様はついぞ頭を下げるようなことはしなかった。この場にいるのが僕たちだけならともかく、ほかにも偉そうな人や兵士さんたちがいるためだろうか。少なくとも王様としての体裁を守るためには、この場で頭を下げてはならないと思う。
「私は八代勇と言います。質問をさせてください。」
「許す。唐突に呼び出したのは私たちだ。疑問などいくつもあって当然だと思う。」
「ではまず……解決するかしないか以前に、私たちは元の世界に帰ることができるのですか?」
「それは……。」
言葉に詰まる。それはないと言っているのと同じだ。
「……わかりました。では次に、襲撃の証拠があれば、お見せいただけませんか?」
「そうだな……。わかった。あれを持て!」
王様が手を叩くと、兵士さんが水晶玉のようなものを持ってきた。水晶玉から空間に映像が映し出される。それはおよそ人間とは思えないような形をした何かが町を襲っているものだった。
内藤さんなんかは目を背けるほどだ。
「申し訳ないが証拠となりそうなものはこれしかない。今は聖山の近くで食い止めているゆえ、そういった物品がないのだ。」
「これは……。わかりました、完璧に、とは言えませんが、ひとまずは信じることにします。」
「そうしてくれるとありがたい。他にはないか?」
「そうですね……。」
勇は懐からステータスプレートを取り出した。
「先程、人間は魔法は大して使えない、とおっしゃいましたが、私たちの世界にこのようなものはありませんでした。これは魔法とは別なのですか?」
「ふむ……。それは神具と言ってな。大昔から存在しているものだ。構造はいまだにわかっていないため、神がお創りになられたということになっている。」
「ということは、このほかにも存在するということですか?」
「ああ、そうだ。それらはまた後程見せよう。」
ステータスプレートは神具の中の一つ、ということか。で、神具はほかにも種類があると。この分だと構造がわからないものはすべて神具扱いされていそうだ。
「他にはないか?」
「私はありません。皆さんはありませんか?」
勇の問いに皆がうなずく。実際、質問しないといけないことが浮かんでこない。帰る方法、襲撃の真偽、魔法に関して……。他に何があるだろう?
「では次だ。君たちのステータスを知りたい。一人一人ステータスプレートを見せてほしい。」
ああ……。やっぱりあるんだそういうの……。いや、まあ見せるけどね?
「僕から行くよ。みんなのすごいステータスを先に見せると僕のが見せづらくなるからさ。」
「大丈夫か?」
「勇は心配しすぎだよ。大丈夫。死にはしないと思うから。」
そういって玉座に向かう。
「これで、いいですか?」
「うむ……?これは……。あー、その、何だ。まさかこれほどまでとは、思わなかったぞ。」
それだけ言ってステータスプレートを返してもらった。相当気遣われてるなぁ、これは。
他の6人のステータスはとても驚かれていた。当たり前だ、全員どれかの数値が1000を超えているのだから。
「君たちのステータスはよく分かった。部屋へ案内しよう。今日のところは英気を養ってくれ。
玉座の間ではそれを最後に部屋を出た。
「後からショウを私の部屋に連れて来い。」
そんな不吉な言葉が最後に聞こえた。
☆・☆・☆
「翔、一人で大丈夫か?」
「大丈夫。何て言われるかわからないけど、勇に絆のスキルがある限り死にはしないと思うから。」
兵士さんの案内の下、一人に対し一部屋が与えられていた。……僕以外。僕はこれから王様の部屋に行くことになっている。仕方がない、というものだろう。
「それもそうか!」
絆のスキルは対象の生死が判断できる。僕が死んだら勇がどうなるかわかったものではない。このことから、僕が死ぬことはまずないと思う。もちろん確定したわけじゃないけど、あの王様ならたぶん大丈夫だろう。
「それじゃあ、また明日。」
「おう!おやすみなー!」
それからしばらく歩き、荘厳な扉の前にたどり着く。一目で王様の部屋だとわかる。きっと僕じゃ及びもつかないくらいに位が高い人なのだろう。
「お連れしました。」
「入るのはショウだけでいい。」
「かしこまりました。」
扉が開けられる。部屋の中に入るや否や扉が閉められ、王様と一対一で向き合った。
「呼ばれた理由はわかっているな?」
「はい。私のステータスが低すぎるからでしょう?」
「そうだ。そのステータスはこの世界の人間の平均をわずかに下回っているのだ。君に戦わせることはできない。」
王様は哀しそうな顔をしている。優しい人、なのだろう。
「城から出て、城下町で暮らしてほしい。死者を増やしたくはないのだ……。」
「それは……事実上の追放、ということでよろしいですか?」
「っ!それは……!」
「いいのです。ステータスが低いのは事実ですから。ただ、勇にはちゃんと本当のことを伝えておいてください。追放された、だけの理由ではきっと怒りますから。」
勇は昔からそうだった。正義感が強くて、まるでヒーローみたいな、僕のあこがれの人。僕がこうなりたいと思った人。僕が追放されたと知れば、きっと直訴しに来るだろう。
「わかった。必ず伝えよう。それと、当面の資金を用意した。この世界で来たばかりの人間に、いきなり一人で稼げ、というのは無理な話だろう。受け取ってくれ。」
そういって差し出されたのは皮袋一杯に詰め込まれた貨幣だった。
「これは……この世界ではどれだけの価値になりますか?」
「何もしなければ二か月は遊んで暮らせるくらいになるだろう。その間に稼ぐ方法を見つけてほしい。」
二か月遊んで暮らせるって……。結構すごい量じゃないか?それでも僕に出せるお金はこれくらいなのだろう。
「私の部下には君のステータスは言わないことにする。それでどうか、戦いに巻き込まれないように穏やかに暮らしてほしい。」
「わかりました。じゃあすぐに出発したほうがよさそうですね。今夜には城を出ます。」
「……私としても、心苦しいのだ。」
「目を見ればわかります。」
「勝手に呼んでおいて、弱いから出て行け、など、虫のいい話なのは分かっている。」
「私のためですから。」
「本当に、申し訳ない。」
王様はそう言って頭を下げた。ああ……。この人は本当にいい人なんだなあ。優しさが体にしみこんでくるようだ。
「大丈夫です。一応私からも勇に手紙を書いておきますので。」
「わかった。ショウ、君が死なずに穏やかに暮らせるように、願っている。」
「ありがとうございます。失礼いたします。」
王様の部屋を出て、自分の部屋に案内してもらう。もっとも、すぐに自分の部屋ではなくなるのだが。
『勇へ
ステータスが低すぎるため、王様の提案で平穏に暮らすために城を出ます。一応追放という体
になるけど、王様は僕の身を案じてくれたよ。色々と頑張って。また明日って約束、守れなくて
ごめんね。でもきっとまたいつか会えると思うから。それじゃあね。あ、このことは秘密ね。
翔より』
ここに召喚された時は通学前だった。つまり、ノートも筆記用具も持っていたわけだから、こうして手紙を残すことができた。
「ちょっと寂しくなるなあ。」
リュックをしょって部屋を出る。勇は単純だから、暗くなったら寝る癖がついている。もうとっくに寝ているはずだ。勇の部屋の扉をたたくが、返事はなかった。
「やっぱり。……これでよし、と。」
部屋に入り、手紙をテーブルの上に置く。
「それじゃあね、またいつか。」
部屋の外に出て、そのまま城の外に向けて歩く。
城の道順は覚えてる。ここを通れば外に出られる。
城の外に出て、月明かり……でいいのかな?に照らされる城を見上げる。
しばらくはここに戻ることもないだろう。これからどうしよう。とりあえず宿を探さないと。いや、その前に服だな、学ランは目立つ。ていうか今日どうやって寝よう。王様には城下町で暮らすよう言われたけど、せっかくだし旅とかいいかもしれない。そんなことを考えながら、夜だというのにまだまだ活気がある城下町に溶け込んでいった。
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