オーク「念願の女騎士を手に入れたぞ!」 女騎士「んほぉぉぉぉ!! 私以外の女騎士としたら殺すぅぅぅぅ!!」 オーク「しまった!こいつヤンデレ女騎士だ!!」
出オチには……させない!!
蝋燭の明かりだけがその場を照らす洞窟の奥深く。虫が沸くほどに腐り果てたオークの死体の山が連なっていた。
「私以外の女騎士と浮気しやがって……」
死体の山の一番上に、今し方絶命したオークの首無し死体を荒々しく投げた。
彼女の名は【アヘッティーナ・イグゥゥル・ヤンデレー】。名は体を表すが如く、ご多分に漏れず酷いヤンデレである!
自ら進んでオークの巣窟へと脚を赴き、自ら進んで身を委ねる。しかし決まって気に入った一人のオークとしか事を為さず、しかもそのオークが他の女騎士と関わることを酷く嫌った。
そしてアヘッティーナは次なるオークの元へと足を運ぶ―――
「誰だ!!」
オークの巣窟の前で、見張りに止められたアヘッティーナ。
「女騎士だ……」
アヘッティーナがそう一言発すると、見張りのオークは目の色を変えて仲間の元へと走って行った。
「おーい! 女騎士が来たぞー!!」
「!?」
「女騎士!?」
「女騎士だと!!」
我先にと狭い洞窟内を駆けるオークの群れ。現れた大勢のオークの中から、アヘッティーナは物静かそうな優しい顔つきの青年オークを選んだ。
「貴方の……お嫁さんになります」
「……え!?」
青年オークの手を取り洞窟内へと引くアヘッティーナ。残されたオーク達からは遺恨怨恨怨み辛み妬み嫉みの声が連なっていた。
「貴方の部屋へ連れてって♡」
「お、おう……」
青年オークは何故女騎士が急に現れ、何故自分が選ばれたのか全くの謎だったが、女騎士から発せられる甘い香りに全てがどうでもよくなっていた……。
「ココがオレの部屋だ……」
「……あら? これは何かしら?」
アヘッティーナが目にしたのは見知らぬ女騎士と仲良く映る青年オークの写真立てだった。
「……昔助けた女騎士との記念だ」
「ふぅん……」
―――ビリビリッ!!
「な、何をするんだ!!」
アヘッティーナは写真を細かく破り捨てた!!
「私が居るんだから、もう昔の女騎士は要らないわよね?」
笑顔で話し掛けるアヘッティーナの奥底に、青年オークは地獄の底の住まう鬼より恐ろしい何かを見た。
(とんだ女騎士に目を付けられてしまった……!!)
青年オークはとても嫌な予感に襲われたが、最早逃げることは叶わぬ定め。
「さあ、始めましょ♡」
「……何をだ?」
「何って……♡よ。これからは朝昼晩の一日3セット、1セットで7回するから計21回ね。頑張れ♪」
「……えっ!?」
青年オークは狼狽えた! 仲間内でも伝説の性豪オーク【オンナキシ・オカスタメ・ウマレター】ですら一日に15回が限度だったからだ!!
「因みに、出来なかったら……削ぎ落とすからね?」
「…………(オワタ)」
「んぼぉぉぉぉ!!」
「ひぎゃぁぁぁぁ!!」
「うげぇぇぇぇ!!」
それからというもの、昼夜問わず青年オークの寝床からは燦々たる悲鳴が聞こえるようになった。そして青年オークは日に日にやつれていき、終には力尽き倒れてしまった。
相手の居なくなったアヘッティーナは次なるオークに狙いを定めた。しかしアヘッティーナを知るオーク達は巣から逃げ出し、アヘッティーナは一人孤独に自分の家へと戻った。
―――コト
アヘッティーナの部屋に並んだ大量のオークの頭蓋骨。
「また一人仲間が増えたわ。皆宜しくね?」
青年オークの頭蓋骨を一撫ですると、その頭部に優しくキスをした。
「皆に囲まれて、私ってなんて幸せ者なんだろう♡」
紅茶を嗜み静かに一人一人との思い出に耽るアヘッティーナ。彼女の闇が晴れることは……無い。
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