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プロローグ
暑すぎて夜クーラー消せないんだけど、器官よわっち過ぎて朝死ぬんですよね…。
―――ただ、知りたかった。
温もりを。
———ただ、確かめたかった。
自分の存在を。
わからない。何も。そう、何も。
喜びも、悲しみも。愛も、憎しみも。
何もない中に、ただ、知りたい、確かめたいと、感情のない欲望だけが、渦巻いていた。
…わたしは、何のためにいるの?
―――トロス帝国記に記された、ある英雄の話。帝国の民であれば、誰もが目を輝かせる話であった。
…しかし、どのような英雄譚にも、語れない面はあるものだろう。これは、英雄の、英雄となるまでの、僅かな者にしか知り得ない、物語である。
本文に続く!【完】