僕の大男一家兄妹との日常 後
後編です
いつの間にか陽も沈みかけ。
汗びっしょりでクタクタになったウィルと木刀を家に戻し、次は妹のナヤちゃんと遊びに出る。
「よし!ナヤちゃん、何して遊ぼうか?」
腰に手をやって尋ねる。
少し気温も下がってきて、涼しいというより肌寒いと感じるようになった。
この辺りは気候の変化が激しいと行商人から教えてもらった覚えがある。
ある意味、季節等の節目のようなものがないのかもしれない。
「ん~えっとね~おにごっこ!!」
深く悩んだ挙句絞りだしたのは鬼ごっこだった。
そういえばウィルと遊ぶ前に言ってたような・・・・・・。
「あーごめんね、もう暗くなったから危ないよ」
「え~!? おにごっこしたいいい!!」
「ほら・・・・・・転んだりしたら痛・・・・・・・は、大丈夫か」
この一家の体質上問題ないかもしれないが、やはり何かあっては申し訳が立たない。
「・・・・・・・よし、じゃあお馬さんごっこしようか」
「ん~? お馬さんごっこぉ?」
急に閃いた名案、ならぬ迷案。
別に深い意味があってのものではない。
他にも考えれば何かしら浮かんでくるとは思うが、時間も限られているうえ、このまま何もしないで駄々をこねられるとどうしようもできない。
「そうだよ~僕がお馬さんになるから、ナヤちゃんはその上に乗って冒険する遊びだよ!」
そんなルールだったか・・・。
まあ、基本は合っているだろう。
「おお!楽しそう!私もやってみたい~!!」
どうやら興味を持ってくれたみたいだ。
本当に即興のものだが。
「よし、じゃあ早速始めるかぁ」
幸田はゆっくりと地に膝を着いた。
ここら一帯は地面に草がある程度茂っている為、生膝であっても痛みはない。
手も着けて、四つん這いの状態。
「じゃあ、僕はこれからお馬さんだ! ヒヒーン!! ほら僕の背中に乗って」
「わあああ!お馬さんだぁ!乗る乗る~!!」
そう言ってナヤの小さな手が幸田の背に触れ、そのまま足を広げて背中に跨った。
「おお!乗ったよ~」
結構軽いな。
「しっかり捕まっててね!」
「うん!」
肩に柔らかな感触を覚えると、「動くよー」と手と膝を前に出した。
それに合わせて身体も前へと動く。
「わあああ!動いたぁ!!」
手を叩いて楽しそうに笑った。
無邪気な声が耳後ろから聴こえてきて幸田も微笑した。
「よーし、もう一歩行くよ!」
「あ~い!」
近い方の手と膝を前に出す。
また大きな歓声が上がった。
「ねえ!もっともっと~!!」
「おっいいよ~もっと速くしようかぁ」
次は連続で歩いた。
カササッカササッと草草と膝と手の擦れる音。
くすぐったい。
それから暫くナヤちゃんの合図に合わせて円を描くように何周か周った。
たまに歩く速度を変えてみたり、身体を逸らせてみたりするとその度に期待以上の反応があった。
可愛い。
完全に暗くなった頃。
「二人とも~お風呂できたわよ~家に戻ってきなさい!」
家の中から女性の声が幸田とナヤちゃんを呼んだ。
どうやら二人のお世話は終わりのようだ。
「それじゃあ、戻ろうか」
馬乗りの姿勢でナヤちゃんに言った。
正直な所、もう少しナヤちゃんの柔らかさを感じていたかったが仕方がない。
このことから僕がいかがわしい性格であろうと思った人もいるだろうが、そんなことはない。
僕は真っ当な善人間だ、と思う。
するとナヤちゃんはうんと返事して僕から降りた。
一瞬軽くなったような感覚を感じ続いて立ち上がった。
掌や膝周りの草土の汚れを払い、待ちきれず先に家へ駆けて行ったナヤちゃんの後を追った。
「ちょ、ちょっと待ってナヤちゃん!少し汚れを落としてから入ろう」
「え~・・・・うん」
よく見れば背中が少々汚れていた為声を掛けた。
家からの明かりが照らしてくれたお陰だろう。
玄関前でナヤちゃんの汚れを払い。
「よし!オッケーだぞ!」
「は~い!」
幸田がグッドサインをすると嬉しそうに家へと入り、消えて行った。
幸田も一緒に入ろうと思ったが、ナヤちゃんが癖でドアを閉めてしまった。
これは喜んでいいのか、悲しむべきなのか幸田は苦笑してドアを開けた。
暖かい明かりと温もりが幸田を迎えた。
「・・・・・・・ただいま」
つい、そう口が呟いていた。
こんな感じで日常していきます。
次回から本格的にチートを目指していきます




