プロローグ 僕の日常の始まりの始まり
こんにちは、火皿木です。
今回は異世界日常もの書きます。よろしくお願いします
「あらぁ~ごぉめんなさい~❤間違えて君を召喚してしまったわぁ~」
開口一番の一言。
何が何だかここは何処なのかも分かっていない僕ー黒井幸田に若い女性の声が響いた。
幾度と反響して教会と思ぼしき場所に綺麗なソプラノの声が奏でられる。
触れること、引いては聴くことさえ憚られてしまいそうな声音でたぶん僕に向けてだろう。
やけにバカにしているようにも思えたが。
「あ、あの・・・ここは?」
そう。
僕はつい、今まで家でMMOをプレイしていた筈だ。
そして、トイレをしようと部屋を出たらここにいた。
・・・ってもう漏れてしまいそうなんだけど。
一瞬でも気を抜いてしまったら僕の我慢が無駄になってしまう。
だから、震える声で現在地を問うた。
「ん~? あぁ、ここは何処かですかってぇ? ごめんなさ~い私、小さくて汚らしいお声は聞こえないのよ~。
あ、別にぃ君がという訳じゃないんだけどね~、何でだろうねぇ~」
「・・・・・・は、はぁ」
露骨に嫌がっていてムカつく、がここで機嫌でも損ねさせたら敵わない。
それにしても・・・この僕を召喚した女の人、とっても可愛いなぁ。
元居た世界なら、つまり3次元にこんなのいなかったぞ。
金髪の腰まで届いたロングに蒼の瞳、小振り小さな華みたいな唇。
まず顔立ちから全然違って、そこから流れるようにスラっとした身体の作り。
ドレスを纏って最初に目に映るのがしっかり隠しておきながらも主張の激しい大きな胸元。
細すぎもせずバランスの良い肉付きは女性らしさを際立たせていて、生地に貼り付いた太ももはその量と質感を想像できて・・・エッチだ。
グラビアアイドルも顔負け、どころか昇天してしまう程の美しい女。
美、の体現そのものであると言える。
つまりはテンプレだ。
この時点でここが何処なのかと言う大まかな当たりはついた。
後は彼女自身から証言と一致するかどうかだ。
「ではぁ~教えて差し上げましょう!・・・こ・こ・は~君のいた世界とは違う、あなたの世界の言葉で言うと~"異世界"ってやつね。
驚いた?ねぇねぇ驚いた?」
うん、知ってた。
やっぱりここは異世界のようだ。
それはそうと、僕の世界の言葉を知っているとなるとこちらからの何らかの干渉もできるってことか。
召喚といい、最初に彼女が言った「間違えて」というのも気になる。
「あ、はい、驚きました。
ここが異世界なんて・・・・・それで、あの、何で僕が召喚されたのでしょうか?」
相手の事を第一に考え、自分はその次。
日本人らしさの行動文法のような立ち回りをする。
少女を会社の上司と考えて会話をするということだ。
それにしても。
尿意が・・・。
すると。
「召喚された理由? ん~純粋に間違えただけなんだけどねぇ」
「間違えたっていうのは?」
「君の家、アパートじゃん。
んで、君の部屋の一つ上の階の~304号室の人分かる?」
分かる。
304号室、僕の部屋の真上。
イケメン(・・・・)とのことで近所で有名だ。
意思表示にうんと頷いた。
「そそ、そこに住んでる彼ね。
生涯能力と対戦適性がとっても高かったのよ~!」
聞き逃せない単語があったが続けて話すようだ。
「それに!!超イケメン❤!!!!はぁ、顔も能力も良いなんて・・・・・・やっぱりイケメンに限るわぁぁぁ~❤」
・・・・・・やっぱりイケメンかよ。
え・・・ってことは。
「・・・・と言うことは・・・・まさか、僕って・・・」
「そうよ? 彼と間違えた、のよ。
ホントゴメンなさいね」
「-----------------------」
「あーあと、君の能力と適性も調べさせてもらったけど・・・・・・」
もう予想できる。
たぶん、いや絶対当たっているであろう次の絶望を。
「・・・・・せいぜい一般値程度ね」
一般値程度。
おそらく、普通。凡人。
そこら辺の冒険者と同じくらい。
「・・・・・・・そ、そうです、か」
「ま、気を落とさないでね? ただ君に普通の人程度の才能しかなかったってだけなのよ。
彼が特別ってだけぇ」
フォローになってねえ。
その無垢な笑顔で随分ズサズサ刺してくるぁ。
まあ、そう言うことなら、もういい。
またいつもの生活に、ゲーム三昧の生活に戻ろう。
ついでにトイレ行きたい。
「分かりました。
それじゃあ、元の世界に戻してもらっていいですか?」
短かったが素晴らしい体験をしたものだ。
帰ったらフレンドに自慢しよう。
しかし。
「うふふ~ごめんなさいねぇ~。
残念だけど君、もう帰れないわよ~~❤」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
声にならない声が教会に響いた、気がした。
ありがとうございました!!




