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俺はマルス。NPC。プレイヤーの彼女ができました。  作者: 雪卵
第1章 町の惨劇 (本編)
8/31

最終話(8話) ユイちゃんの笑顔とかけがえのない日々に感謝を。

 マルス視点に戻ります。

 今回で本編完結となります。

 一昨日は最高で日刊44位まで上り詰める事ができました!応援ありがとうございました!

 え、短い?まあ、もともとこの作品は短編で書く予定の作品が長くなっちゃったものだから、仕方ないですね……。すみません。

「マルス!」

やってくる少女が、俺の名前を呼ぶ。あれはたしかにユイちゃんだ。

「ユ、ユイちゃん!?ユイちゃんなのか?」


「ごめんね、なかなか会えなくて。私もずっと会いたかった!」


ああ神様、これは夢じゃなかろうか。夢なら覚めないでくれ。

 ほっぺたをつねるが、夢じゃないらしい。


「ユイちゃん!」


俺達はしばしの間、抱き合った。



「にしてもなぁ。ほんとよく生きてたなぁ。」

「だから言ったじゃん、プレイヤーは不死身なんだって。それより、マルスが酒飲んでるの珍しいね。」

「ああ、ジャンに誘われてな。酒でも飲めば少しは気が紛れると思ったんだ。いや、その、ユイちゃんはもうこの世にいないんだと思ってたから……。」

「もう、信じてくれてなかったんだぁ。私信用されてないなぁ。」

「ご、ごめんって。」

「でも、大幅に弱体化しちゃってさ、ここまで来るのにも凄い時間がかかったよ。それに、事情があって宿にも入れないしさぁ……。ほんときつかった。

でも、マルスに会えて、辛いことも全部ふっとんだよ!生きててよかった!」

「ユイちゃん……。

 俺、この一週間、ずっと思ってたんだ。ユイちゃんに支えてもらって、ユイちゃんにいっぱい元気をもらったのに、俺はユイちゃんに何も返していない。ユイちゃんに迷惑かけただけだった。でも、そんな俺についてきてくれてありがとう。俺、もっともっと、ユイちゃんを大事にするから!ユイちゃんのために生きるから!」

「じゃあ、私と町のみんなのどっちかをとれっていったらどうする?」

「そ……それでも、ユイちゃんのために俺は……」

「無理しなくていいよ。困ってる人がいると放っておけなくて、町のみんなが大好きなマルス。そんなマルスだから、きっと私は好きになったんだよ。」

「ユイちゃん……。」

「でもね、私、うれしいな。今まで、私は、親からも友達からも、嫌われてはなかったけど、特別大事に思われたことは無かった。いないならいないでいい人でしかなかったの。

でもね、マルスは私を必要としてくれてた。私はマルスの役に立ててた。それがわかっただけで、わたしもう、十分だよ。」

「十分なんて言うなよ、ユイちゃん。俺、もっとユイちゃんを幸せにするから。一緒に幸せになろう?」

「そうだね。私ももっとマルスを幸せにするね。一緒に幸せになろっ。」


「あー、甘酸っぺえなあ……。」


「ああ、ジャンさん、放置してた……。ごめんねっ。」

「いいさ、久しぶりのマルスとの再会だもんな。そうだ、折角だから手料理でも作ってやれよ。」

「あ、あ……。それなんだけど……。」

ユイちゃんが真っ赤になった。

「プレイヤーってね、生き返る時に、『デスペナルティー』っていうので、ちょっと弱くなっちゃうんだよね。で、ステータスとかだけじゃなくて、スキル熟練度も下がっちゃって……。料理スキルも0になっちゃって……。えっと、で、私実は、えっと、もともとスキルなしだと料理はあんまり上手じゃなくって……。」

「ああ、ひどかったよな!」

「ジャ、ジャンさん!?」

「ああ、わりいわりい。どうする?もう一度学んでみるか?」

「もちろんです!ジャンさん、よろしくお願いします。」

「いいってことよ。またいつか、マルスに手料理作ってやれよ。」

「ユイちゃん……。俺なんかのためにそこまでしてくれて……。別に俺はその……。」

「私が!私がマルスに手料理を食べさせたいの!だからマルスは心配しなくていいの!またガンガン料理スキルのレベル上げて、おいしい料理作れるようになるんだから!」

ユイちゃんはこぶしを作って上に突き上げるようなしぐさをした。かわいい。

「ありがとう……!俺もユイちゃんのためになにかできること考えたいんだけど、そもそも俺ってユイちゃんのこと意外と知らないんだよね……。過去の事とか故郷の事とか、いろいろ教えてくれよ。少しずつでいいから。」

「うん、わかった。約束ね!」

「ああ!」

「マルスっ、」

そういって、ユイちゃんはふっと近づいて俺を見上げるような体勢になると、細い腕をからませてきた。いつになく積極的で、ドキドキする。

「幸せになろうね!」

「ああ!」


一度は失ったかと思った、大切な人の笑顔。これは、当たり前に見られるものじゃない。ユイちゃんも、俺も、生きていられることに感謝して、毎日を大切に生きていこう。

そして、ユイちゃんが俺にくれた幸せを、少しでも返していくんだ。



 俺はマルス。NPC。プレイヤーの彼女ができました。 完


ここまでで本編は完結となりますが、予想以上の応援をいただき、続編を執筆致しました!


マルスとユイ達のその後、そしてプレイヤーの関わりで変化していく世界、ぜひお楽しみください!


 ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


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