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俺はマルス。NPC。プレイヤーの彼女ができました。  作者: 雪卵
第3章 NPCという存在の現実
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17話 偽物のお祭り

まずは、お詫びをさせてください。10か月もの間、更新できず、本当にすみませんでした。

小説を書こうとしても、なにも浮かんでこない。そんな日々が続いてしまいました。

もう誰も待ってないかもしれませんが、それでもなんとか第二章完結までは書こうと思っています。


前回までのあらすじ

第一章

マルスはNPCで、街を守る騎士。最近、ユイというプレイヤーの可愛い彼女ができた。ある時、街に襲撃を受ける。マルスはモンスターの相手を買って出ようとするものの、ユイに逃げてと頼まれ、勢いに押されて逃げてしまう。死んだのではないか、そう思って悲嘆にくれる日々の中で、ユイの大切さを思い出す。

 しかし、ユイは生きていた。というか、プレイヤーは実はHPが0になっても死にはしなかったのだ。二人は再会を喜び合った。

第二章

 ユイ達は、被害を受けた街を復興しつつも、平穏な日々を送っていた。NPCの間で、復興のシンボルにもなるという夏祭りがあるという。そのお祭りで、プレイヤー側も何かで店を出して、NPCとプレイヤーの交流会を行うことになった。


 慌ただしく準備は進み、ついに、お祭り当日がやってきた。

「お見合いかぁ……。」

「ふふふ、プレイヤーの可愛い子と俺は……。」

「レントさん、クライスさん、あくまでお見合いはおまけですからね。女の子が集まるかわかりませんし、場合によっては愛奈とユウだけでやってもらうかもしれませんよ?」

「その場合はみんなで愛奈ちゃんを取り合うだけだな!ガハハ。」

「ちょっと、ウチのことは取り合ってくれへんって?」

「わ、ユウちゃん、いつのまに?」

 初登場のレントさんとクライスさん(NPC)は勿論、久しぶりな更新の上にキャラの薄いユウも皆さん「誰それ?」状態だと思うんだけど、私、ユイが居るパーティのハンマー使いの子。今まで明言してなかったけど、女の子ね。少なくとも、この世界では。

「ところで、リズちゃんは参加せえへんの?」

「リズちゃんは嫌みたいよ、好きな人がいるんだって。」

 どんな人なのか聞いたら俯いて黙っちゃったけど、あの子どんな人が好きなんだろう?


 

 しばらくの間、お祭りは穏便に進んでいた。しかし、マナーのいいプレイヤーばかりではないことを、私達は忘れていたみたいだった。

 

 (ケイタ視点)

 俺は、俺が声をかけてきてもらったプレイヤー二人の応対をしていた。

「なんだよ、NPCの祭りってこんなもんかよ。」

「こりゃ運営が特にイベント扱いしてねえわけだわ。」

「なんだと!」

「まあまあ待ってくださいよレントさん、下手に怒らせるとまずいんで。」

「そうか、ケイタ君。すまんな。」

「お、ケイタ、久しぶりだな。武器販売会ってそっちでやってるのか?」

「あ、ああ。ただあくまでNPCとの友好のためにやってるんです、そういう態度だと行かせるわけには……。」

「あ?俺らは武器販売会のために来たんだぞ?」

「NPCなんてただのプログラムと友好とか正気かよ。」

「そこからかよ……。このゲームのNPCは実際に生きてるって言ってるじゃないですか。」

「ケイタ君、プログラムってなんだい?」

「レントさん、その話はあとで。えっと、かっかしないでさお二人さん。とりあえずこれでも食べなよ。」

「お、うめえじゃねえか。」

「これ、愛奈ちゃんがこの前イベントで配ってたやつだよな?」

「ああ、でも今回その料理を作ったのは愛奈さんじゃない。彼だ。ジャンさーん!」

「はいはーい、ジャンと申します。そこにある建物の一階で料理店やってるから、よかったら食べに来てくださいな。」

「料理店?こんなところで?」

「もしかしてNPCか。」

「うん、NPCが作ったものだと褒めづらい?」

「そんなことはねえよ。店売りの料理だって旨かったしな。ただ、あれはそうプログラミングされてんだろ?」

「うーん、俺はそうは見えなかったけどな。ジャンさんが努力している姿を見てきたし。」

「ケイタ、だからそれはそういう風にプログラミングされてるんだって。」

「だからプログラミングって言わないでって……。」

「ケイタ、ちょっと耳貸しな。」

客のプレイヤーの一人が、俺に耳打ちする。

「このゲームのNPCは人間らしく感情豊かに作られている。だから、本物の感情がある、と思うのもわからんでもない。だがな、俺は見てきたんだよ。リアルに作りすぎたAIに人権を主張されて悩んで病んだ研究者を!AIに本気で依存して、AIが壊れたら狂った親友を!」

 もはや耳打ちの意味がない音量で叫んでいた。

「お前、一体どういう……。」

「ケイタ、俺はここの運営にも知り合いがいる。間違いない。ここのNPCも、この世界も、プログラマが作ったAIが機械学習で作った、プログラムだよ。NPCに情を傾けすぎるな。警告だ。」

「自分で機械学習した結果できた人格は、もはや生きているって言っていいんじゃないか?」

「いや、言わない。」

「彼らは本当に心を持っているようにしか見えないんだけど?それなのに人間として認めないのか?」

「豚や牛にだって心はある。だが、人間じゃない。殺したって殺人罪にはならない。人間じゃない生き物にまで人権を認めてられねえんだよ。ましてや、あいつらは心を持ってすらいないんだぞ?」

「だからそんなこと……。」


 だんだんと、言い返せなくなっていた。


 NPCが心を持っていない証拠はない。心をプログラムで作り出す技術はあるのかもしれない。でも、心を持っている証拠もない。だとすると、NPCはプレイヤー全員から人間と認められる存在ではないのかもしれない。


 俺達の計画は、甘すぎた。


 このお祭りからは、早急に手を引こう。

 このまま悪意を持ったプレイヤーと触れ合わせたら、NPCとプレイヤーの関係は、完全に壊れる。


 俺は、ユイに事の顛末を話しに行った



 以外にも、ユイはそれを受け入れた。


「ごめんね、マルス。これだけ手伝ってもらったのに……。」

 今は、ユイは、関わったNPCのみんなに謝罪して回っている。人望のあるユイだから、怒られはしないけど、ちょっとがっかりしている人は多いようだった。


 ただ、必死で事故処理に没頭するユイは、今にも壊れそうに見えた。


自分でも思ってもいない方向に話が向かってしまってすみません……。

やはり最初から話の流れを決めないで書くと妙なことになるようです。

期せずして、予定より早く話の根幹に迫ることになってしまいました。

次回、ケイタとユイのプレイヤートーク。(一応執筆済みですが、その続きができてから投稿します。)

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