彷徨う小舟
掲載日:2026/09/20
緑色のかそけきかおりが
だれを選ぶ訳でもなくただただよっている
新しい葉にくるまれるように
やすらかな気持ちを運んで来てくれる
こころって
実るものなのだって
初めて教えられたとき
しゃがみ込みながら泣いていたのは
緑色のかそけきかおりに
やさしい小雨のあたたかさを感じたから
都会の森へと流れゆくひとの波波のなか
木漏れ陽のような清らなキラメキをみて
夢の中のような小雨のあたたかさを想う
何処までも辿りつけないのは
だれかのせいではなくじぶんのためだと
こころに住まうちいさな慈愛の願望を
遠くこころの森へと埋めにゆこうか
悲しみみたいな風が吹く木木を縫い
はるか遠くの春を慕い涙をこらえている
なにをかたればなにがどうなるのかが
わからないからかたりつづける
まるで彷徨う小舟のように
ゆくさきも無くただ白い波のゆくがまま
ゆくあてもなくやさしさだけを
じぶんを抱きしめるみたいに握りしめて




