拳対拳、たまに剣
オレはお嬢様に戦いを挑んだ。
お嬢様は自分より強いやつが好きらしいからな。
だから、オレは絶対に勝って交際する!
いや、してみせる!!
「いくぞ、お嬢様!」
「来てごらんなさい、下民くん!」
お嬢様の能力は割れている。
それは【動作予測】だ。
簡単に言えば、すべてのモノの動きがわかるだけの能力だ。
だがお嬢様の剣術を加味すれば、不可避の剣となる。
剣といえば間合いを詰めて戦うのがセオリーだが、【動作予測】のせいでそうもいかない。
でも男なら、男だったら拳で勝負だ!!
オレの能力は相性がいいからな。
タネが割れる前に勝ってみせる!
「ふっ!」
オレは右拳を放つために、間合いを詰める。
女の子を殴るのは少し抵抗があるけれど、これは試合だ。
そして、【能力発動】!
お嬢様がファイティグポーズをとり、こちらに近づいてくる。
「なんですの……? 身体が勝手に……!」
「【解除】!」
「かはっ!」
オレの右拳がお嬢様のボディにクリーンヒット。
たまらず刀を床に投げ捨て、お嬢様はうずくまる。
「な、何なんですの……」
「オレと付き合ってください!」
「ま、まだですわ! 【動作予測】!!」
「まだやる気ですか?」
「ええ、まだ血を吐いてすらいませんもの」
なかなかわかってるじゃないか。
だが、お嬢様の能力じゃあ、オレには絶対に勝てない!!
オレの能力は『自己強化系能力』には無敗なんだ!
「どうやら、拳で戦った方がよさそうですわね」
「……そうこなくちゃ!」
「いきますわ!」
お嬢様は右拳を当てにくる。
オレはそれを躱そうとするも、お嬢様の拳が頬をかすめる。
どうやらこっちもイケるようだ。
「やるね!」
「謙遜はよしてくださいまし!」
やれやれ、こうなったら能力を発動させるか。
相手にも同じことが起こるから嫌なんだけどなー。
「能力を使ってくださいまし! 叩き潰してあげますわ!」
お嬢様は左拳を繰り出す。
その拳は無事みぞおちに当たった。
どうやら出し惜しみしている余裕はないようだ。
「【リバース】!」
「何ですの!?」
これですべてが逆転する。
さて、混乱してるうちに勝負を決めよう。
オレはお嬢様の顔面に右ストレートを決めると考える。
すると、お嬢様は右ストレートを顔面に向かって打ってくるので、おれは屈んで避ける。
「【リバース】って何ですの~!?」
あっ、しまった。
リバースについて考えてしまった。
これでタネが割れる。
【リバース】!
それは思考や動きをオレと逆転させる!
つまり、相手の考えていることが筒抜けになるのだ。
だからこそ、相手が引っかかることもある。
「仕方ない! こうなったら……【リバース】!」
「もう何をしても無駄ですわ! 右に打ってくるなら……躱わすだけ!」
そう言うが、避けようとしたのはオレの方だった。
「えっ……? あっ!」
お嬢様とオレの動きを【リバース】した!
これで、相手の動きを予測することは不可能!
「親切ですのね! 思考が筒抜けなんですのよ? それは余裕かしら?」
「オレはフェアなプレーをしたいだけだ」
「なら、刀を使いますわ」
「好きにしろ」
お嬢様はこう考えている。
『思考を入れ替えているのなら、【動作予測】は意味がない』と。
そういうやつはやりやすい。
オレは刀の軌道を想像する。
といっても、オレは剣術のエキスパートってわけではない。
だが考えてみる。
そうだな……。居合でとどめを刺してやるか。
「居合ですのね」
「ああ。【動作予測】がないなら、それしかないだろう」
「でも、下民くんが居合をしなくちゃ意味が……」
「やってやるよ。好きなやつに斬られるなら本望だ」
お嬢様の顔つきが変わる。
「いくぞ!」
よし、突っ込んできたところをぶった斬ってやる!!
オレの身体は勝手にお嬢様に向かって走り出す。
喰らえ!!
オレは刀を抜く。
からの……
「【リバース】!」
「あなた、馬鹿です……わ!? 刀が止まった……?」
「うおおおおらぁぁぁ!!」
「ひっ!?」
右拳を腹の位置で寸止めする。
すると、お嬢様は疲れたのか、それとも負けを認めたのか、降参した。
「まいりましたわ……」
「よしっ!」
「最後のは何だったのですの?」
「お嬢様は向かってくることを考え、行動に移した。オレは逆に刀を素早く抜くことを行動に移した。それを【リバース】させた!」
「要するに、刀を抜くイメージをしてなかったわたくしが悪かったんですわね」
「いやいや、そんなことされてたらマジで死んでたから」
「ふっ……わかりましたわ。お付き合いしましょう」
「ああ!」
こうしてオレとお嬢様の交際が始まる。
だが、トレーニングばかりに付き合わされ、恋人らしいことが出来ずに悩むことになるだが、それはまた別のお話。
読んでいただきありがとうございました。
能力バトルものを書きたくて書いてみましたが、難しいですね。
色々とおかしいところはありますが、バトル描写を優先しました。
その描写も微妙なんですがね。




