輝くということ
インビジブル
輝くということ
それは文字通り光る
あなたが生まれたときに
父や母が見たときに
あなたのはだのぷっくりとしたところや
あらあなたに似てるんじゃないのなんて
言われたり言われなかったりする
小学生になったわたしはいつもひとりで通学する
電車にはたくさんのひとがいる
今日も運ばれる
つり革につかまる男のひとは考えている
ああ取引先に送ったメールの返信がないな
おれなんかしくじったのだろうか
かつて彼にも若い頃があり
陸上の大会で入賞したりして
ぴかぴかのメダルを手にほほ笑んだりして
そういったキラメキの数々は
眠って越えてきた夜の数だけ
うすまっていくのか
映えていた面影はどんどん遠くなっていく
やがて時のフィルターが透かすことのない隔たりをうむ
わたしがつり革につかまる男の視界に入らなくても
キラキラしていることは
見なくてもわかる
こどもっていうだけで
ただそれだけで
すごく
すごいことだ
それは物理法則と同じだ
青かった太陽がくすぶりやがて赤くなっていくのと同じだ
内側からは太陽が地球の周りをまわっているようでいて
そのじつ地球が太陽をぐるり公転するのと変わらない
だからつり革につかまる男は
つり革につかまえられているのと同じだった
学校では国語を習う
算数や英語も
色とりどりのこどもたちは
なにかに染まっているときがある
むしろ光を放っていることもある
雪が降ってきた
わっと駆け出すこどもたちは
雪片の乱反射よりもまぶしい
家に帰る
父がめずらしく早く帰ってくる
クリスマスだからか
ツリーのオーナメントは妹がかざった
テーブルには
あなたと妹と母が座っている
赤外線ヒーターが足元をあたためている
ガサゴソとビニール袋がこすれるおととともに
母がリビングのドアを開け放つと
そこにはつり革につかまっていたはずの男が立っていた
あなたは漫然と男を見つめる
かぞくそれぞれの心にじんわりと明るさがにじんでいく
可視光のように
たいていの人にとってわかりやすくなくても
いいんじゃないか
すこしずれてしまっても
くすんでしまったとしても
それがあなたにとってのなにかになるならば
その輝きがだれかにひつようとされるならば
喜んでつり革につかまろうじゃないか
それが
輝くということ
無用の用




